1988年発表の本書は、NHKのTVドラマ「事件記者」(1958年~)の脚本も担当したジャーナリスト出身の作家島田一男の作品。1946年に<宝石>の新人賞を獲り、1948年からリアルなミステリーのシリーズを多数発表するようになった。1950年から山田風太郎・高木彬光らと同人誌「鬼」を発行するなど、戦後のミステリーブームの一翼を担った。多くのシリーズのうち、最も多い30冊ほどあるのが<捜査官シリーズ>。同一の主人公ではなく、いろいろな警察官の捜査をリアルに描いた作品群である。
タイトルに「○○捜査官」とあるのがシリーズの証。本書では、現場がショカツから離れていたため、捜査本部とは別に別働捜査班が組織され、それが題名の由来である。

東京・町田署管内の交番から、住み込み勤務していた41歳の巡査長が失踪した。家族も知らないうちに、拳銃や警察手帳、警棒などを持ったまま行方不明になったのだ。ショカツでは警視庁からの応援を受け、警官失踪捜査本部を設ける。現場が町田市街から離れていたために、現場に近いところで活動する別働部隊が必要だった。
巡査長の足取りを追ってため池を漉くったダイバーは、暴力団の女組長の死体を発見する。女組長が経営するクラブのNo.1ホステスも自殺に見せかけて殺され事件は急に大きくなるのだが、巡査長夫人は「どうせ愛人のところでしょ」と割り切っている。
しかし巡査長の制服・制帽に続いて、死体も発見された。肝心の拳銃はみつからず、ついに恐れていた事態が・・・。270ページほどの中に事件がいっぱい詰まって、最後は医学部の裏口入学疑惑まで出てくる。まあ、捜査陣の活動を描くのが趣旨なので、事件そのものの掘り下げは、ちょっと希薄。
日本の警察小説のパイオニアのような作家です。比較的短い長編が多く、高校生の時たくさん読んだのですが、ほとんど印象に残っていません。それにしても89歳で亡くなるまで執筆を続けた、息の長い作家でしたね。