新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

革服女とゴム服男の猟奇ビデオ

 1991年発表の本書は、ローレンス・ブロックの<アル中の元警官マット・スカダー>もの。このころのマットは、酒を断ちAA(アルコール自主治療協会)に通う日々。酒場にも顔を出すが、呑んでいるのはコーヒーかコーク(コカインじゃないよ)。高級娼婦エレインとは同居こそしていないが、いい仲を続けている。

 

 もちろんカネはないが、本人によると「生活費が安く、貯えが底をつきそうになると、事件が舞い込んでくる」そうだ。今回は不思議な依頼と、巻き込まれた事件が1つずつ。

 

        

 

 依頼は、数ヵ月前にTV局のプロデューサ夫妻が暴漢に襲われ、夫は縛り上げられて意識不明、妻はさんざんレイプされた後絞殺された事件。妻の兄が夫が殺した(殺させた)のではないかと疑い、真相を調べてくれというもの。妻には直前に生命保険が倍増されていたし、事故だと保険金がさらに倍額になる。事件の方は、知人が借りたビデオが改変されていて、革のズボンを穿き上半身裸でマスクをした女と、ゴム服を着て顔を隠した男が、少年をレイプして惨殺する映像が写っていた。

 

 このビデオは犯人の男女が、誰かに録画させたのだが、その誰かが自分用(脅迫用?)にダビングしておいたらしい。レンタルビデオを追跡したマットは、昨年路上で刺殺されたメディア出身の男がいたことを突き止める。

 

 そしてマットたちはボクシングの試合を見に行って、ビデオに写っていたと思しき男女を見かける。ただ、昔の警官仲間と相談しても「似ている」だけではどうにもならない。物語の後半、2つの事件が絡み合ってきて、より陰惨な犯行の実態が浮かび上がってくる。

 

 マットとエレイン、さらに飲み屋のオーナーであるミックらが、ニューヨークの闇社会を生きる姿が印象的な、作者独特の世界である。珍しく、決着をつけようとマットが拳銃を持って犯人たちに挑みます。13冊あるというこのシリーズ、半分近くは読むことができました。