MI5のプレストンは、ついに国防省高官で情報漏えいをしていた者を特定した。しかし彼は、友好国南アフリカの外交官に操られていただけだった。南アに飛んだプレストンは、この停年間際の外交官の素性を洗うために、南アじゅうを走り回る。
外交官はWWⅡでドイツの捕虜になり、脱走した過去があるという。彼のルーツやそのころを知る人の多くは死に、亡くなった人から聞いた話を集めるのに時間がかかった。しかしついにその名の男はWWⅡで死んでいて、ソ連のスパイが成りすましていたことが分かる。しかし英国諜報部はこの男を泳がせ、逆に情報を流すルートとしての利用を考える。
一方のソ連では、英国総選挙で労働党を勝たせる工作が始まっていた。超小型の核爆弾を何個か持ち込み、核兵器の事故に見せかけて爆発させる。被害の多寡は問題ではなく、市民が核廃絶の機運を高めることになればいい。

保守党・労働党はそれぞれ岩盤支持層を持っているが、中間に浮動層が30%ほどいる。このうち20%を労働党に持ってくることが出来れば、地滑り的勝利である。それまでに急進左派の代表にも、種々の工作をして例の「政策」を刷り込んでおけばいい。
ソ連内ではKGB局長にも知らされない極秘作戦が進行し、小型核爆弾の部品が少しずつ英国に運び込まれていく。時には失敗するケースもあり、起爆装置の一部をプレストンが押収した。彼はその特殊な起爆装置から、仮説を立てるのだが真相には容易に届かない。
ソ連は最終段階として、爆弾を組み立てる男を送り込み、現地の工作員に爆破させようとした。選挙戦は、米軍への批判と核軍縮を求める声を背景に労働党が支持率を上げていた。最後まで続く裏切りや逆転の諜報戦がすさまじい。現地工作員は、TVニュースで裏切り者の存在と自分が追い詰められていたことを知る。
ポピュリズム的な政策で英国経済を苦境に陥れ、しかも軍事力を削ぐというソ連側のプランは、現在でも使えそうなほどの迫力でした。ひょっとしてプーチン大統領は、これに倣った工作を「西側」に、今仕掛けているのかもしれません。