1993年発表の本書は、軍事スリラー作家トム・クランシーが米軍に取材してまとめた「現代の海の忍者の実像」。30年前の書ではあるが、本書で次世代艦と紹介される<シーウルフ級>は、今でも米軍のエース(*1)。だから本書の記述の大部分は、今でも参考になる。
WWⅡ時代まで「潜ることもできるフネ」だった潜水艦は、原子力という動力を得て事実上無限に潜航すること、水中でも30ノットを越える速力が出せることなどの能力を得た。米軍の全面協力のもと、当時の最新鋭艦<マイアミ>の全貌が紹介される。
◆マイアミ(SSN-755)
・原子力攻撃型潜水艦、改ロサンゼルス級
・乗員133名(士官13名、下士官兵120名)
・最大水中速力35ノット
SSNに課せられる任務は多様で、SSBN(弾道ミサイル原潜)を護ることと敵のSSNやSSBNを狩ることが最重要だが他にも、

・空母機動部隊や輸送船団の護衛
・敵水上艦隊への攻撃や移動阻止
・コマンドチームへの支援(敵地への潜入や脱出を助ける)
・情報収集、偵察(含む海底ケーブル通信傍受)
・敵の重要拠点への精密攻撃
・機雷の敷設や敵港湾の封鎖
・潜水艦乗員の救助
など、敵に探知されていない状態や他の船の行けないところに行ける能力を生かした任務が与えられる。米軍では、SSNに核兵器を積むことは可能だが、行われていないとある。ただ、これはロシア等については保証できない。上記の任務の範囲内では戦術級といえど、核兵器を持つ必要はないからだ。
地上目標への遠距離攻撃にあたっては、3本の魚雷発射管(*2)とVLSから15本のトマホークを同時発射できるのだ。リロードしてもう3発撃てるので、合計18発が目標に降り注ぐ。戦術核兵器に近い効果は得られると、米軍は考えている。
非常に精緻なミリタリー・ノンフィクションでした。「レッドオクトーバーを追え」でデビューした作者の真価と言えるでしょう。
*1:南シナ海での海戦? - Cyber NINJA、只今参上
*2:残り1本の発射管には万一に備えて、魚雷が装填されている