新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

スマイリー三部作のスタート

 1974年発表の本書は、昨年「寒い国から帰ってきたスパイ」を紹介した、英国スパイスリラーの巨匠ジョン・ル・カレの<ジョージ・スマイリーもの>。スマイリーは50歳代で、小太り短足のベテラン諜報員。「寒い国・・・」にも脇役で登場していたのだが、本書に始まる三部作では堂々の主役を務める。

 

 英国とソ連の諜報戦は水面下で激しくなっていて、ソ連情報部の大物カーラは英国情報部の上層部にモグラを送り込んでいるらしい。一方英国情報部も現チーフであるアレリン、前チーフであるコントローラーもソ連情報部に大物スパイ「マーリン」を送り込んでいる。互いに相手の手の内をある程度知りうるので、お互いのモグラの存在は分かっている。カーラの場合は、WWⅡ以前からこれと目を付けた英国の若い諜報員を味方に引き込んでいたらしい。

 

        

 

 スマイリーは引退していたのだが、コントローラーの病死もあってモグラの正体を暴くために現役復帰する。カーラとは因縁深い関係なのだ。アレリン以下、ロンドン本部長のビル、その補佐官ロイ、点灯屋(*1)の責任者トビー、首狩り人(*2)の責任者ピーターが、英国情報部のBig4。この中にモグラがいるようだ。

 

 スマイリーは、東南アジアで活動していたターという首狩り人が、香港でロシア人協力者を失った件を追及して、カーラの動きを探り同時にモグラに迫ろうとする。また、今は片田舎で小学校の教員をしているが、かつて任務中東欧で銃撃された諜報員ジムからも手掛りがつかめないかと考える。

 

 クライマックスは、セーフハウスにBig4を集めてモグラを追及する本格ミステリー風の大団円までついてきました。派手な立ち回りなどなく、カーラ同様小柄で戦闘力も高くないスマイリーの地味な思索と活躍が目立つ作品です。以後、スマイリーもの三部作は作者の最高傑作という評論家もいます。残り2冊を探してみます。

 

*1:偽装や監視、行動分析などをする役

*2:スパイに仕立てる人などをリクルートする役