新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

恐怖の殺し屋ウェズリイ

 1989年発表の本書は、「ブルー・ベル」に続くアンドリュー・ヴァクスの<バークもの>の第四作。次々に新しい敵、それも強力な敵が登場するのが、この種のシリーズものの宿命だが、今回バークが対峙するのは悪魔も同然の恐怖の殺し屋ウェズリイ。

 

 このシリーズはやはり順番に読まないと、面白さが半減する。本書も、バークと仲間たちが前作で非業の死を遂げた女ブルーの恨みを晴らすシーンから始まる。また第一作のフラッド(*1)の回想シーンもあるし、第二作のストレーガは再び登場し「魔女」の名前通り、バークに憑りつこうとする。

 

 しかし本書のヒロインは、バークの幼馴染であるキャンディ。15歳の娘エルヴィアラがいるのだが、シリコン注入などで若さを保ち、20歳代に見える。職業は売春婦。

 

        

 

 バークは前作で凶悪な空手家モーティを殺したのだが、その件で警察に疑惑を持たれている。そこにキャンディからの依頼があり、エルヴィアラがカルト教団に拉致されたので取り返してほしいという内容。

 

 バークが用心棒のマックスを連れて交渉に行くと、意外なことに翌日娘を帰してくれた。ただ、バークにはウェズリイからの呼び出しがかかる。マックスでも子ども扱いされてしまう相手ゆえ、バークは死を覚悟して出かけた。

 

 するとウェズリイは、モーティを狙っていたのにバークに先を越されたと文句を言う。しかもカルト教団も彼の目標らしく、手を引くように言い渡されてしまった。しかし、キャンディから「またエルヴィアラが教団に行ってしまったの!」と電話が来て、さしものバークも逡巡する。

 

 このシリーズ、必ず児童性的虐待が出てくるのだが、今回の教団はもっと悪質。10歳代半ばの子供たちに赤ん坊を作らせ、これを闇マーケットに流す(*2)のだ。怒ったバークは仲間の助けを借りて教団を叩き潰そうとするのだが、ウェズリイが見逃すはずはなかった。

 

 醜悪極まりない物語なのですが、バークたちの矜持とユーモラスなやりとりで、ある程度気楽に読み進めてしまいます。本当は怒りながら読まないといけないのでしょうが・・・。

 

*1:バークに惹かれながらも、日本に行ってしまった

*2:白人なら5万ドルになるとある