新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

身も心も傷ついた同士が・・・

 2013年発表の本書は、脚本家・ハードボイルド作家(*1)として鳴らしたロバート・クレイスが新しい主人公を得て書き始めたシリーズ第一作。その主人公とは、

 

・パトロール中相棒の女性警官を殺され、自らも重傷を負った巡査スコット

アフガニスタン自爆テロを受けて、管理者を殺され負傷した警備犬マギー

 

 のコンビである。ロサンゼルス市警の警官であるスコット達を襲ったのは、覆面をしAK-47で武装した5人組。スコットは九死に一生を得るが事件は未解決のまま。9ヵ月経ってようやく人並みに動けるようになったスコットは、警備班に転属になる。

 

 マギーはジャーマンシェパードの雌。爆発物検知の訓練も受けていたが、爆発音に過敏になりやや脚を引きずることもあって、軍から警察に回されてきた。警備班でも採用を渋る意見もあった。

 

        

 

 どちらも相棒を守れなかったことで、体以上に心が傷付いている。その辺りが通じ合ったのか、スコットは頑健な犬ではなくマギーを相棒にしたいと上司に申し出る。警備犬はボスである相棒と、24時間一緒に暮らす。スコットはマギーの傷跡や所作を見てその苦悩を知り、マギーはスコットの体臭や声の調子で痛みを共有するようになる。

 

 前半は傷ついた者同士の交流が深まっていくさまで綴られ、とてもミステリーとは思えない。後半は訓練と称して9ヵ月前の事件を、マギーを連れてスコットが調べてゆく。現場の遺留品から、マギーの鋭い嗅覚は犯人グループ以外にも目撃者がいたことを突き止める。しかし犯人グループは、スコット達を罠にはめて事件を追えなくなるように仕掛けてきた。

 

 430ページがあっという間の感動巨編でした。SF・ファンタジーでもないのに、マギーの視点で語られる章がいくつかあるのにはびっくり。それが違和感なく読めるのは、この作者は相当な実力の持ち主だということですね。

 

*1:私立探偵コール&パイクものは、パーカーの<スペンサーもの>にも匹敵するシリーズだという。