本書は、2024年までの警察活動及び今後の展望をまとめた「令和7年版警察白書」。警察庁から縁あって送ってもらったもの。A4版250ページのうち、巻頭特集「SNSを取り巻く犯罪」が20ページを占めている。
誰もが使うようになったSNSは、従来型の犯罪(強盗・窃盗・ロマンス詐欺・投資詐欺・麻薬取引・ポルノ等)に利用され被害を増やしている。高校生以下のSNS性的被害については、全体件数は減っているが小学生被害が10年で4倍に増えた。警察ではSNS上の有害情報の探索分析にAIも活用し、サイバー特捜部は暗号資産の追跡技術も磨いている。
・新たな捜査法(例:仮想身分捜査)を導入
・サイバー人材の体系的育成
・国際捜査の徹底、外国当局との連携
・効果的な広報、啓発の実施
に努めていくとある。

数年前からサイバー犯罪に1章が割かれるようになったが、今年も20余ページが充てられている。サイバー犯罪の検挙数は、2024年には1.3万件を越した。5年間で3割増である。インターネットバンキングの不正送金は、件数・被害額とも2023年に急増(前年比4~5倍)した。ランサムウェア被害件数は、2024年に222件。前年と同水準だった。被害企業の2/3が中小企業。
インターネット上の違法/有害情報対策として、ホットラインセンターを設けて市民からの通報を受け付けている。2024年には違法情報2,186件の削除を要請し、1,991件を削除させた。重要犯罪密接関連情報(例:自殺の仕方)についても9,488件の削除要請をして、8,024件を削除させている。
ACD法成立に先立ち、警察官職務執行法を改正し、警察庁・都道府県警に所属するサイバー危害防止措置執行官が、外務大臣との事前協議や第三者機関たるサイバー通信情報監理委員会の事前承認を得て、サイバー攻撃に関するコンピュータを(たとえ国外にあっても)無害化することができる体制を整えた。例えば、
・不正プログラムの消去
・コンピュータのシャットダウン
・攻撃者の再ログイン防止のための設定変更
をするのだ。
意外にサイバー犯罪が増えていないように思えますが、水面下の事件なども体制の整備や官民連携で焙り出していけるよう、期待したいです。