新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

性的狙撃犯をインディアナで追う

 1990年発表の本書は、アンドリュー・ヴァクスの<前科27犯の探偵バークもの>の第五作。前作「ハード・キャンディ」で最強の敵ウェズリィを倒し(正確には自滅させ)たバークだが、ウェズリィは背後霊のようにバークに憑りついている。何かの折に、ふと彼のことを考えてしまうのだ。

 

 今回の事件は、ムショで仲良くなり兄弟同然であるヴァージルが困ったことになっていると、彼の妻が訴えてきたことから始まる。インディアナの片田舎で、若いアベックを滅多撃ちにして殺す事件が連続していた。容疑を掛けられたのがヴァージル夫妻が育てている親戚の青年ロイド。彼のライフルは、凶器ではなかったので一旦保釈されていたが、なぜか逃亡してしまった。ヴァージルも彼をかばって逃走中。妻はヴァージルから「バークに助けてもらえ」とのメッセージを受けて、ニューヨークにやってきたのだ。

 

        

 

 兄弟分のピンチに、バークは手持ちの仕事を早々に片付けて単身インディアナに飛ぶ。土地の勝手がわからず、仲間の協力も得にくいのだが、バークはなんなくヴァージルらを見つける。ロイドは無実を主張し、バークも信じた。

 

 単独捜査を続けるバークは、カフェのウェイトレスであるブロンド美女ブロッサムと知り合う。小競り合いでバークが怪我をした時も、ブロッサムは顔色一つ変えず、手際よく治療して見せる。看護師かというバークに対し「あたしは医師、事件で妹を殺されたので犯人を見つけるためにこの街に来た」と彼女は応える。

 

 毎回ヒロイン(時にはバークの恋人)の名前がタイトルになっているが、今回は珍しくインテリ女性。バークも時折やり込められてしまうが、その姿が意外に可愛い。ただ犯罪者心理については、バークの右に出る者はいない。今回の銃撃犯を「自動火器などで人を撃ちまくることで性的快感を得るタイプ」と目星をつけ、自ら性的狙撃犯の気持ちになって、犯人の実像に迫る。

 

 少年院あがり、ムショと暗黒街で生きてきたバーク独特の捜査が、とてもヴィヴィッドでした。それに今回のヒロインが初めて美女だったのが嬉しかったです。