2021年発表の本書(シリーズ)は、大艦巨砲作家横山信義のWWⅡもの。何作も同じテーマで戦艦同士の砲撃戦を描いている筆者だが、毎回趣向は凝らしている。このシリーズの趣向は、日独伊三国同盟が史実より早く締結され、しかもそれが対ソ連に制限されなかったというもの。史実通り独伊が欧州を席巻しても、ソ連は中立を保ったまま。米国も参戦しないうち、日本は連合国唯一の国である英国に戦いを挑む。
蘭仏が影響力をなくした東南アジアで、残っているのは英国のみ。連合艦隊は全力を持ってシンガポールからセイロン島への進撃を開始する。それでも帝国は、背後にいる中立国米国の動静には気を配っていた。

緒戦では<世界のビッグ7>と言われた、英国の「ロドネイ」「ネルソン」と日本の「長門」「陸奥」の対決が見られる。英艦2隻は沈めたものの日本海軍も痛手を負い、参戦してきた米国海軍の戦艦隊を、「長門」ら抜きで迎え撃つことに。
結局は南太平洋(ニューギニア・ソロモン諸島あたり)で、日米の主力艦隊同士の殴り合いが続く。主力艦を失うことなく相手の主力艦を再三沈めた日本海軍だが、損傷艦の補修に追われるうち米国の新鋭艦隊の登場で防戦一方になる。これは史実よりうまくやっている帝国海軍にとっても仕方ないところ。
盟邦ドイツからレーダーやⅢ号戦車など新兵器の供与もあるが、兵器の使い方で工夫もみられる。8~9名の搭乗員を必要とする陸攻に代わり、「月光」を戦闘攻撃機として採用し雷撃もさせる。搭乗員3名で犠牲も限られるし、何しろ高速で20mm機関砲も持っている。
このシリーズでは特定の艦種(巡洋戦艦・防空巡洋艦など)の活躍はなく、正規空母と艦載機の殴り合いの後は、その時使える最大の水上艦艇の撃ちあいになる。何シリーズも同じテーマを追い続ける作者の粘り強さにも敬服しますが、買う方も買う方だよねとも思います。実は次のシリーズも、3冊まで買い貯めました。