2023年発表の本書は、大衆社会の病理を観察する作家適菜収氏の「安倍政権批判」。長期政権だったこともあり故安倍元総理の批判本は数多いが、ここまで辛辣な批判を加えた書は初めて読んだ。筆者は単に安倍氏を非難しただけではなく、小沢一郎著「日本改造計画」以降の主な政治家すべてが国をダメにしたと主張する。
新自由主義が嫌いなようで小泉改革に厳しく、維新の会も「維新の会の政治家が問題をよく起こすのではなく、政治家になってはいけない人が集まるのが維新」と一刀両断である。そして、なってはいけない人の最たる者が安倍氏という政治家だった。第二次安倍政権は、嘘とデマで国家を(最終的に)破壊した。その典型が以下に挙げる3つの事案である。

1)2015年安全保障法制の議論で、国を運営する手続きを破壊
2)省庁をまたがる大規模な不正が相次ぐ(森友事件の公文書偽造・スーダンPKOの日報隠ぺい・裁量労働制や入管法に関わるデータ捏造等々)
3)2017年南スーダンで戦闘行為を武力衝突と言い換え、憲法を無視
追及されるとその場しのぎの嘘をつき、相手を貶めるためにデマを流すのが日常だったと筆者は安部氏のことを断じている。その証拠にと並べ立てた発言・案件・事案は、本書の後半全てを覆いつくすほど。正直よくも集めたものだと思う。本書の章立てを借りれば、夜郎自大な外交・デタラメな経済政策・幼稚な政治観・究極の無責任男・バカ発言を繰り返す無能さ・・・という次第。経歴詐称もあり毛並みだけで政治家になったものの能力は追い付かず、結局「政治家を演じていた(*1)」だけの人だったと筆者は主張する。
「保守」というのは、いろいろな人たちが暴走しないように熱を冷まして調和を図ることだとあります。「こんな人たちに負けるわけには!」と叫んだ安倍氏は、えせ保守政治家だというのが筆者の主張。うーん、それでは先進国全てから保守政治家は駆逐されてしまったのでしょうか?
*1:昭恵夫人自身「夫は演技が上手い」と言っている