新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

大都会中心部の「孤島」

 1996年発表の本書は、乗馬と考古学が趣味という北アイルランド在住の女流作家ジョー・バニスターのミステリー。著作は20冊以上あるとのことだが、他の作品はお目にかかっていない。

 

 ロンドン「シティ」の中心街、建造中の40階建てホテルのペントハウスに、7人の男女がやってきた。TV記者リチャードは、危険な地域での生々しい取材を得意としていたが、テムズ川で溺れかけている女性を見殺しにしてしまった。そのトラウマを抱えている彼は、妻の勧めもあってペントハウスで開かれる2泊3日のカウンセリングに参加することにしたのだ。

 

 他の6人は、高所恐怖症の弁護士ウィル・広告代理店経営者シーラ・エージェントのタリク・初老の印刷業者ジョー・内科医のテサ・テニスコーチのラリーである。工事中ゆえむき出しのエレベータで階上に上った彼らは、カウンセラーのDr.ミリアムと世話係に迎えられる。

 

        

 

 ミリアムの誘導によって7人は各々の体験を話し始める。皆リチャード同様、何らかのトラウマを抱えていて、誰かの勧めで会合に参加したのだ。途中で抜けたいというものも現れたが、工事関係者がエレベータを週明けまで止めていることを知り断念する。

 

 しかしその夜から奇妙なことが起こり始め、9人の他に何者かが40階にいるのではないかと思わせる。さらに話し合ううち、20歳そこそこで死んだテニス選手キャシーに関わっていた人物が多いことも分かってくる。誰かが自殺したキャシーに報いるため、7人を集めたのかもとの疑惑も出てくる。脱出しようにも、エレベータシャフトは奈落への道。大都会中心部の「孤島」に閉じ込められた9人は、次々危機に見舞われる。姿を見せない襲撃者は、この中にいるはずなのに・・・。

 

 クリスティ「そして誰もいなくなった」に挑戦したようなミステリーでしたが、中盤までは興味を惹いたもののやや竜頭蛇尾の感じ。まあ、挑戦した相手が悪かったのかもしれません。