2日連続で「そして誰もいなくなった」をモチーフにした作品を紹介したので、今日は本家のご紹介を。1939年発表の本書は、女王クリスティの最高傑作であるとともに、ミステリー界に巨大な足跡を残したもの。孤島インディアン島に集められた10人の老若男女が、姿を見せない殺人鬼に殺されていくサスペンス・ホラーであり、名探偵こそ登場しないものの見事なトリックの本格ミステリーでもある。
U.N.オーエンと名乗る人物から、旧友に会える・秘書や執事として雇う・調査を依頼するなどなどの案内状で島に集められた10人。過去に誰かを死に追いやったことがあり、それらの罪状をとがめられてしまう。インディアンの10人の少年が消えていく数え歌にのって、次々に殺される犠牲者たち。一人が死ぬたびに、飾ってあった10体のインディアン人形がひとつずつ消えていく。

比較的若い男として、医師、元警部、冒険家の3人が島や屋敷を捜索するが、隠れている犯人を探し出すことはできなかった。リーダー格の老判事が言う「オーエンは生き残った我々のうちの一人なのだ」が恐ろしい。
オーエンからの依頼によって島に持ち込まれた医師の毒薬、冒険家の拳銃が消えオーエンが凶器を持っていることがほぼ明らかになる。残り4~5人になってしまった後の登場人物の疑心暗鬼はすさまじい。ひとりを除いて、自分が犯人でないことだけはわかるのだが。そしてついに残り2人になった時・・・。
女王の大仕掛けが決まる驚嘆のラストまで、息もつかせぬ350ページあまりで「本家の凄み」を感じた。解説を作家の赤川次郎が書いていて「一番好きな作品」として本書を挙げ、これをつねに目指しているという。時代は経ても、間違いなくミステリーベスト3には入る作品だと思う。
高校生の時に読んで感動し、学園祭の演劇に仕立てたことがあります。女王には無断でしたので、申し訳なかったと思っておりますよ。