1953年発表の本書は、レイモンド・チャンドラーの最高傑作として名高い作品。MWA(米国探偵作家クラブ)賞最優秀賞を獲得したフィリップ・マーロウものである。多くのファンが本書を「マーロウもので一番好き」というが、理由は一番長く(600ページ近い)て長い間マーロウと過ごせるから。
出版業界の億万長者ポッターの娘シルヴィアは、赤毛の放蕩女。テリーという夫がいるのだが男狂いが止まらない。テリーもシルヴィアのカネがないと遊べないで、腐れ縁が続いている。マーロウは何度か酔いつぶれたテリーを介抱してやり、愚痴を聞いているうちに親しくなる。
ところがある夜銃を持ったテリーがやってきて、メキシコへ逃がしてくれという。空港まで送り届けたマーロウは、すぐに警察に拘束されてしまった。シルヴィアが射殺体で見つかったのだ。

警察はテリーを重要容疑者とみて、逃走を助けたとおぼしきマーロウを逮捕したのだ。ところが依頼もしないのに、有能な弁護士が現れマーロウを釈放させる。ポッターが手を回したようだ。やがてメキシコでテリーの自殺死体が見つかり、事件は幕を下ろしたかに見えた。
しかしマーロウはテリーが妻を殺したとは思えず、シルヴィアの姉ローリング夫妻、ベストセラー作家のウェイド夫妻の周りを嗅ぎまわる。ポッターやギャングのボス、警察からも手を引けと警告されるのだが、マーロウは警句を吐きながら捜査を止めない。
ウェイドも酒癖が悪く、執筆のストレスもあって暴力を振るう。マーロウは彼も介抱するのだが、やはり銃で死んでしまった。金持ちが酒に狂って殺しや自殺をする・・・そんな事件の中、マーロウは真実を見出す。
翻訳を村上春樹がしていて、40ページ以上の解説まで書き下ろしている。学生時代からのファンだったようで、原本も何度も読んだとある。魅力的な文体ゆえの、翻訳の難しかった点も紹介されていた。
・100人のうち2人にとっては、結婚は素晴らしい
・さよならを言うことは、少しだけ死ぬことだ
などの警句は本当にカッコいい。やはり高校生のころ読んだのですが、当時感慨はあまりなかったです。今読み返してみると、人生のヒントがいっぱい隠されていましたね。若いうちは分からなかったのでしょう。