2024年発表の本書は、「防大女子」という著書のある防大経験のある女性ジャーナリスト松田小牧氏の「自衛官のセカンドキャリア」レポート。自衛官を辞める人は年間6,000名ほど、ほとんどの人が50歳代で第二の人生に入るという。
よくTVのコメンテータとして自衛隊OBが出ているが、ほとんどは将官以上。幕僚長や将官は、民間企業幹部(or顧問)や大学教授に転身する例も多い。防衛装備品関連企業でなくても、OBを顧問等で迎えるケースはあるが、
・能力を買い、危機管理や地政学などでの知見を期待している
の2通り(中間を入れれば3通り)がある。このあたりは、霞ヶ関キャリア官僚の再就職に似ている。

佐官クラスだと、自治体の防災関連職に就くこともある。熊本県の有浦防災監は熊本地震の対処で、知事から全権限を与えられたという。自衛隊OBから見た行政の危機意識は全く希薄、即応力はゼロだという。災害等に逢っても平時の「合規・適正・公平・平等」にこだわり、現状維持をしたがる。
そのような違いを埋められ、現場で受けいれられる幸運な人は多くないようだ。僧侶になったり、海外で地雷除去などしたり、警備会社など興したり、校長等に転身したり、特殊な例を本書は挙げるが、多くの自衛官OBは再就職先とのミスマッチに悩む。
民間に比して定年が早いので、それなりの準備はする。自衛官といっても多くの職種があって、自らの経験を活かすために資格を取りまくることもある。問題は援護協会が斡旋してくれる企業が、希望や準備状況に沿わないこと。援護チームも自衛隊の一部で、自衛官の「言われたことだけする」気質に変わりはない。援護せよと言われたので、職場と定年自衛官を深く考えずにマッチングさせようとすることもあるからだ。
再就職してからも、この「言われたことだけ」の気質はマイナスに働く例が多い。自衛隊の規律は、知らないうちに彼らから「自ら考え、切り拓く」意識を奪っているようだ。
僕も元自衛官という人は何人も知っています。現役時代のことはほとんど教えてくれないのですが、おおむね一佐以上でした。下士官・兵卒の人のセカンドキャリア、勉強になりました。