僕も20歳前後まではそうだったのだが、ミステリーマニアとして「Best○○」という言葉には弱い。その中に自分が読んでいない本がどれだけあるか、リストから消込みをして本屋通いをすることになる。
2012年発表の本書は、文春文庫が日本推理作家協会員やマニアのクラブ等、約400名へのアンケートで日本&海外ミステリーの「Best100」を選考したもの。実は1986年にも同様の発表をしていて、1/4世紀を経てのUPDATEである。
日本編では、100冊のうち約70冊が新顔となった。Best10にも、宮部みゆき「火車」綾辻行人「十角館の殺人」京極夏彦「魍魎の匣」が入っていた。1位「獄門島」2位「虚無への供物」は不動、3位に「占星術殺人事件」が上ってきた。島田荘司を始めとする新本格世代の台頭が印象的だ。

海外編では、100冊中新顔は半分ほど。Best10にはウンベルト・ユーゴ「薔薇の名前」トマス・ハリス「羊たちの沈黙」が入った。1・2位は入れ替わり、「そして誰もいなくなった」が「Yの悲劇」を逆転している。3位には「シャーロックホームズの冒険」が上ってきた。上位は旧作(特に本格)が多く残っているが、下位には非常にバリエーションの多い作品群が選ばれている。
Best10の新顔2作に見られるように、映画化された作品が新登場したり順位を上げたりしている。実は番外として200位までが紹介されているが、海外編200作品を見ると、スパイスリラーはほとんど見られない。軍事スリラーも少なく、あれだけベストセラーを出したトム・クランシーは見当たらず、「鷲は舞い降りた」「女王陛下のユリシーズ号」「シャドー81」が上位に顔を出す程度だ。
絶版になって手に入らない本もあるので、数えてみると日本編で6割、海外編で8割は既読か入手済みでした。未入手のものを探すのに、この書は大事にとっておきますよ。2040年ころに第三版がでるまで(!)はね。