新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

ペイパーバックの傑作サスペンス

 本書は<Hard Case Crime>というペイパーバックシリーズの1冊として2004年に発表され、翌年の米国探偵作家クラブ賞最優秀ペイパーバック賞を受賞した作品。作者のドミニク・スタンズベリーは、人生の暗黒面・呪われた面を書くことに長けたサスペンス作家である。

 

 主人公の「私」ことジェイクは、カリフォルニア州で一流の司法心理学者。今回も検察官マイナーの依頼で、恋人を殺した容疑に問われている男の精神鑑定をしている。ジェイクは容疑者に「お前は何者だ!」と何度も迫り、その返答の様子で精神状態や容疑に関わるヒントを得る。その結果を陪審員に説明するのが、主な仕事だ。

 

 しかしジェイク自身も、精神に不安定なところがある。

 

・子供の頃から、まれに記憶を失う期間がある

・最初の妻を亡くし、今は富豪で年上の妻と暮らしているが、家庭は不安定

・若い弁護士の愛人サラもいて、過激なセックスに溺れている

 

        

 

 知り合いの女性に性的暴行を加え、ネクタイで絞殺するという事件が州の周辺ですでに15件起きている。1/3ほどは有罪判決が出ているのだが、容疑者が浮かばないケースもある。今マイナーとジェイクが担当している事件もそのタイプ。

 

 そんな中、ついにジェイクの不倫が妻にバレ、別居を言い渡される。しかし妻も不倫していて、相手はなんと検察官のマイナーだった。ジェイクはサラにすがるが、サラも暴行を受け絞殺されてしまった。ジェイクには犯行時刻の記憶がなく、サラの局部からはジェイクの精液が検出されてしまった。

 

 ジェイクは自らと読者に「私は信用できるのか?」と問い続ける。ジェイクが雇った<呪われたクイーン>の異名をとる女辣腕弁護士は、マイナーと妻の不倫をタネにジェイクを救う奇策を放つ。

 

 サイキックな味付けもあり、終盤のスピーディなサスペンスは一流でしたね。また、辣腕(悪徳?)弁護士の法廷戦術も面白かったです。