新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

真の「情報産業」に脱皮するには

 2022年発表の本書は、MUFGで30年以上勤務し主にシステム関連を担当した静岡大学遠藤正之教授の「銀行DX論」。30年前にビル・ゲイツは「銀行機能は必要だが、今の銀行は必要ない」と金融業界の改革を促したとされる。

 

 店舗を設け、バックヤードで紙幣を含む大量の紙を扱い、その合理化のためのITを導入する銀行ではなく、デジタル技術を使って金融の本質「融資と回収」をいかにスピーディにタイムリーに行うかを進めたものだろう。

 

 筆者が入行したころ、すでに日本の大手銀行は「情報産業」だったが、巨大なシステムを持ちエンジニアも多く抱えていても、デジタルデータ活用に踏み込むに至っていなかった。その後銀行は3つの外圧にさらされる。

 

・FinTechのように一部機能を奪うものが現れる

・決済も銀行を通さないもの(○○Pay)が出てくる

・一般企業が銀行機能を保有するようになる(*1)

 

        

 

 本書では、メガバンク・地銀・新興企業・ビッグテックらの近年の動向を分析しているが、新興サービスについては行き詰まりや廃業が目立つとある。しかしその失敗の中から、新しいトレンドが見えてきた。結論として日本の銀行(*2)は、固定費(店舗等)を削減するとともに、

 

・融資系サービス 

・投資支援系サービス

・個別のコンサルサービス

・システム自体の販売

 

 で収入(&収益)を増やすべきだとある。そのために利用できるのが、長年培った顧客層と信用。さらにこれらの目に見えない資産を、デジタル活用で十二分に生かすことだという。簡単に言えば利用者のデータをどう生かすかなのだが、すでに個人・法人の(ファクタリング)データはキャリアやテック企業の方が持っている。

 

 銀行改革論ではありましたが、経営視点ではなくシステム改革のレベルにとどまっていた印象です。本来は、

 

銀行業のトランスフォーメーション - 梶浦敏範【公式】ブログ (hatenablog.jp)

 

 で示した大手地銀のような経営改革が最初にあるべきと思うのですが。

 

*1:私の勤務していた企業Gr(製造業)は、グループ会社の便益のため貸金業免許を持っていた時期がある

*2:メガバンクから大手地銀までくらいの範囲と思われる