新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

不老不死研究の最前線

 2023年発表の本書は、ノンフィクション作家河合香織氏の「不老不死研究最前線レポート」。不老不死は古来為政者の希望だが、Googleの共同創業者が「寿命を100年伸ばす研究」に15億ドルを投資したニュースもあった。

 

 ヒトはなぜ老いるかというと、不要なタンパク質(*1)が体内に蓄積しこれを分解する能力<オートファジー>が衰えるからだとある。なだらかに老化するのではなく、34歳、60歳、78歳ころに大きく老化が進むらしい。

 

 これまでの最高齢記録は、フランス人女性の122歳。115歳が限界とする説もあるが、それを越ええて生きた人もいるのだ。ではどんな人が長寿なのかというと、

 

・DNA復元力が大きい(*2)

代謝が低い

・生殖能力が低い

 

 体質が有利だ。人工的に生殖能力を落とした宦官も、寿命は長かったと言われる。

 

        

 

 その上で、よく眠り、腹八分目で、脂っぽい食事を避け、適度な運動をし、適度なストレスがある生活をすると寿命が延びる。若返りを謳ったワクチン、サプリメントなどが発売され、点滴クリニックも増えているが科学的根拠はあまりない。そもそも老化が病気なら、それを可視化出来ないといけないが、可視化の研究はあまり進んでいない。

 

 体のいろいろな部分をケアしていけるようになったのだが、問題は「脳と中枢神経」である。これらを入れ替えることができるなら、寿命は大きく伸ばせる。脳の半分をコンピュータに入れ替えたり、意識をコンピュータ上に移す研究も進んでいる。そこまでしなくても、運動しながらクイズを解くようなことで脳にタンパク質が溜まるのを防ぐこともできる。100歳以上で元気な人を調べると、タンパク質が溜まりにくい遺伝子を持っていることが多い。

 

 長寿の生き物(ゾウ、ハツカデバネズミ、ベニクラゲ等)を対象にした研究は面白かったです。ただ最終章が「長い人生の生き方論」になってしまった(*3)のは拍子抜けでした。もう少しデクノロジーよりの結論を期待していたので。

 

*1:これが脳にたまるとアルツハイマー認知症を発症しやすくなる

*2:例えばゾウは非常にこの能力が高い

*3:例えば「もう一度思春期を取り戻す」