2025年発表の本書は、メディア研究の著書が多いジャーナリスト下山進氏の「旧メディア生き残り策」。2021年から「サンデー毎日」などに2ページのコラムを書いてきたものから35篇を選び、それを書下ろし原稿でつなげる形式で編集したものだ。
2017年までの10年で、新聞は1,000万部減った。さらに次の10年でもう1,000万部減り、往時の半分になると予想された。1日15分以上新聞を読む人は、30歳未満では1割に満たず、最も多いのは70歳以上。
最大規模の読売新聞社でも年商は3,000億円に届かず、7,000億円近い収入のあるNHKに太刀打ちできない。そのNHKも、新しい時代の波に乗れているとは言えない(*1)。週刊誌の多くは休刊に追い込まれているし、地方紙はどこも事業継続が難しくなっている。

米国にも多く見られた、調査報道を地道にしてきた記者を辞めさせ、短期的に収益を上げようとしたものの、コンテンツの魅力を失って廃業・・・というパターンである。紙媒体からデジタル化して成功した例もあるが、デジタル有料記事を売るのはとても難しい。いくつか成功例はあるが、いずれも小さな事業規模。
英国のフィナンシャルタイムズは、いち早くグローバル化して生き残りを図り、日経紙が買収している。同じく英国のエコノミスト誌は、予測報道を得意とし主観を前面に出している。この2社は「持続可能なメディア」の例である。
日本の全国紙は日経ともう1社しか残らないとも言われるが、その一部でもあるテレビ業界も含め、筆者は生き残るための5ヵ条を提案している。
1)イノベーションのジレンマに囚われていないか
2)技術革新を適切に受け入れているか
3)そこでしか読み/見ることができないものを提供しているか
4)買収が可能で、横の流動性があるか
5)孤立を恐れていないか
プラットフォーマー成長の時代は終わり、これからの成長株はコンテンツ産業です。BBCなどはそちらに舵を切っているのですが、日本メディアはその波に乗れるのでしょうか?