新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

旧日本軍の兵器とその開発背景

 2005年発表の本書は、以前「パールハーバーの真実*1」などを紹介した軍事ライター兵頭二十八氏と、歴史評論別宮暖朗氏の共著。WWⅡで使用された旧日本軍の兵器は、速戦即決型の戦争を戦うために開発されたもので、長期の戦争に耐えるものではなかった。特に陸軍の兵器は、対ソ連用のもので、熱帯ジャングルなど太平洋島嶼で闘うことは想定していなかったとある。

 

 WWⅡの前段階で、日本陸軍が対峙したのは中国軍。ドイツ製やチェコ製の高性能兵器を持っていて、兵器の質では敵わなかった。しかし兵の士気が低く、すぐに銃や砲を放り出して逃げてくれた。チェコ製のLMGを、兵士は重宝したとある。

 

        

 

 しかし、ノモンハン事変で相手にしたソ連軍だと、中国軍のようにはいかない。戦車も砲兵も性能が段違いである。その上弾薬の保有量も、長期戦・大規模戦を予想しておらず非常に少ない。「弾切れ」が続出した。そんな中で、兵員のキルレシオがほぼ1対1だったのは、ソ連軍が大粛清の後で弱兵だったからだ。

 

 例えば戦車だが、15トンを超えるものは道路や輸送手段の問題があって、実用化できなかった。幸いこの時は、ソ連軍もT-26やBT-7など軽戦車ばかりだったが。

 

 ついに米軍と戦うようになると、兵器の差は誰の目にも明らかになった。決して精度は良くないが、米軍はBARなどの自動火器を使い、砲兵の能力も圧倒的だった。日本軍にも数は少ないがMGはあったが、しょせん馬匹輸送が中心では大量の実包を消費する戦闘は支えられなかった。

 

 38式歩兵銃が口径6.5mmだったことが、威力が小さいと批判されるが、1発で殺す必要はなく小口径でも傷つければ戦闘力を奪えて合理的だった。後に米軍もM-16では5.56mmを採用するようになる。

 

 ひとわたりは知っていることの再確認でしたが、長期戦を戦うのは無理な軍隊の仕様でしたね。ちなみに海軍関係の記述もあった(*2)のですが、それらはすでに多くの書で紹介しているので本稿では省略しました。

 

*1:冷徹な技術者の結論 - 新城彰の本棚

*2:潜水艦の用法など