新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

<歴史街道>のWWⅡ分析記事

 2019年発表の本書は、PHP研究所の月刊誌<歴史街道>に掲載された、太平洋戦争関連の記事15編を収めたもの。初出は2008~2019年と様々だが、歴史研究なので古い記事でも参考になると考えて買ってきた。著者は複数の記事を書いた人もいるので12人。したがって、何か統一された主張をするものではなく、紙幅の関係で深い分析ができるわけでもない。

 

 開戦の事情については、

 

・日米両国は太平洋の覇権をめぐって50年間緊張関係にあった(中西輝政氏)

・経済学者が対米戦を無謀としたが、陸軍がこれを無視して開戦したとの通説は誤り(牧野邦明氏)

ヒトラーが英国との和平を望んだのを拒否し、米国とともに戦うことを進めたのはチャーチル。実質WWⅡを主導したのはチャーチルルーズベルト(渡辺惣樹氏)

 

        

 

 などとあり、興味深い。確かに日本としては米国を含めず単に英蘭に宣戦布告し太平洋の西半分からインド洋でのみ作戦すれば、勝ち目はあった。それを英米不可分とチャーチル(の情報操作)に思い込まされた結果、2人の陰謀にはまったわけだ。

 

 続いて有名な「零戦」と「戦艦大和」についての分析記事がいくつかあるが、これらについては特に目新しいことはなかった。ただ、戦術ではなく戦略として「大和」をインド洋の通商破壊戦に投入したら(平間洋一氏)という「IF」は面白かった。

 

 史実では南雲機動部隊(損傷していた「加賀」を除く空母5隻)がセイロン島を空襲し、この海域の英国海軍は壊滅していた。アフリカの英軍(ロンメルの相手)はインドから補給を受けており、ここに「大和」が居座って輸送船団を阻止すれば、ロンメルが勝利したかもしれないという。まあ、当時の海軍が艦隊決戦の切り札と考えていた「大和」を通商破壊戦に使うなど、ありえなかったのだが。

 

 <新常識>とタイトルにあったので買ったのですが、ちょっと期待外れでしたね。残念・・・。