2019年発表の本書は、マーク・グリーニーが海兵隊大学指揮幕僚カレッジの副学長H・リプリー・ローリングスⅣ世と共著した軍事スリラー。極東から欧州、アフリカまで含めた広い舞台で、米露を中心とした正規軍の殴り合いが繰り広げられる。まさにWWⅢであり、上下巻1,100ページを越える大作だ。
ロシア特殊作戦群司令官ボルビコフ大佐は、かつてケニアにある世界最大のレアアース鉱山を占拠しながら、政治の弱腰で撤退せざるを得なかった。スペツナズの精兵は10倍のケニア軍など連合軍に負けるとは思っていなかったのに・・・。
大佐は復讐の意味を含めて、かの鉱山をロシアのものにする奇策を考案する。核兵器を使い、もし撤退せざるを得なくなったら鉱山全部を放射能汚染させてしまう「人質作戦」だ。

機会は意外に早くやってきた。中国が台湾で謀略作戦を展開し、極東に緊張が高まった。米国は空母打撃部隊を派遣するのだが、その米軍に問題が持ち上がる。太平洋方面の陸軍の将軍が女提督とW不倫し、その生々しい映像が流出した。将軍のPCがハックされていて、そのカメラがベッドシーンを捉えていたのだ。
ボルビコフ大佐の計画はとても手の込んだもの。二人の電撃戦ができる陸軍大将のうち、一人をイランの港からケニアに向かわせる。もう一人はポーランドから南ドイツへと侵攻させてNATOの作戦遂行能力を削ぐ。その前にAPT部隊を使って、NATO他の通信システムを一時的に無力化するし、豪華列車に偽装した軍用列車をベラルーシから複数走らせ、機甲部隊への補給と防空にあたらせるというものだ。
機甲部隊はポーランドを席巻し、ニュルンベルグの航空基地を破壊し、シュトゥットガルトのNATO司令部を急襲する。ここにはNATOのアフリカ担当官が集結していて、彼らが捕虜になったことでNATOのアフリカ戦線の能力が落ちた。
一連の動きは、米国国防総省の戦略部門(J5)のコナリー中佐らが察知したのだが、ロシア軍の電子的な妨害によってワーニングが間に合わなかった。NATOを混乱に陥れたロシア軍は「休戦」を持ち出し、ドイツ侵攻部隊を引き揚げさせよとする。本作戦であるアフリカ侵攻準備が整った以上、支作戦は撤収すべき時なのだ。
<続く>