2025年発表の本書は、米国ハドソン研究所上席研究員の村野将氏が、米国の戦略家4人と2022~24年に対談した記事に書下ろしを加え、トランプ2.0政権の対中戦略(のあるべき姿)を描いたもの。その4人とは、
・クレピネビッチ元国防長官顧問
・マクマスター元大統領補佐官
・コルビー現国防次官(*1)
・ベックリー教授(タフツ大)
である。微妙な意見の相違はあるが、大局は共通している。米国にとって最大の脅威は中国の台頭であり、これに対処するためにウクライナ戦線その他で消耗してはならないし、誰が始めるかは別にして、核戦争は十分あり得るというもの。かつて2正面作戦が出来た米軍は、いまは1正面対応が精一杯。正面装備はともかく、兵站面で大きく衰退した。

印象的な意見として、
・核戦力は米露の2極体制から、米中露の3極体制になる
・中国は1,000発の(戦略)核弾頭を持っても、それに満足することはない
・将来的にはインドも加えた4極体制になり、組み合わせが問題
・日本の防衛力3文書改訂は力強い、太平洋の北半分は日本の防衛力に期待
・米軍の生産力(*2)が衰勢、パトリオットの供与など日本の生産能力にも期待
・とはいえ日米韓の3国連携に期待しすぎないこと、日本はGDP比3%の軍事費が必要
・核兵器が使われた後が重要、戦略原潜がカギだがこの生産も計画の7割ほどに縮減
・日本の「核を持ち込ませず」は見直し要、原潜の北太平洋での運用に日本の力が要る
・中国は「ピークを付けた国」、衰退がはじまる前にコトを起こす可能性が高い
・台湾侵攻は認知戦の後、リスクある着上陸よりは封鎖して降伏を誘う作戦による
・米国は必要とあれば核兵器を使うが、都市やダムではなく集結した軍事組織を狙う
やはり工業力で劣化した米国は、日本の兵器生産(特にミサイル等の弾薬)に期待していますね。加えて他のエリア(含むウクライナ・中東)で米軍の兵站が消耗しないことを最も気にしているようです。
*1:リアリストの「Strategy of Denial」 - 新城彰の本棚
*2:ジャベリンは発注から納入まで7年かかる