2025年発表の本書は、インターネット上の組織犯罪の実態を、元マル暴刑事の櫻井裕一氏と「闇Web」に詳しい高野聖玄氏が明らかにしたもの。
「トクリュウ」とは匿名流動型犯罪の通称で、ルーツは「オレオレ詐欺」などのチーム犯罪。電話を掛ける者、モノを受け取る者、ATM等から現金を引き出す者などの分業で、その時々で集まり散っていくチームだ。従来の組織犯罪との違いは、
・暴力団 強固な階層組織と規律を持つ
・半グレ 緩やかな仲間内で協力し合う
・トクリュウ ごく緩やかなつながりで一時的に協力する
というもの。トクリュウを可能にしたのは、匿名性が高く迅速に連絡が取りあえるSNS等インターネットインフラがあったから。

この種の犯罪が注目されるようになったきっかけは、2023年狛江市で発生した強盗殺人事件。後年「ルフィグループ」と呼ばれた犯罪集団で、闇バイトで募った実行犯が指示役に言われるまま、凶悪な殺しをやってのけた。実行犯はズブシロなので、空き巣に入ってカネを探させるより、在宅時を狙ってカネの在りかを吐かせる方が確実と指示役は考えたのだ。
その凶悪さに2024年に警察庁長官は、トクリュウの実態解明に全力を挙げるよう指示を出した。暴対法で暴力団が小さくなり半グレも減っていたから、トクリュウは当面する市民の最大脅威だったわけだ。
警察庁が各国警察組織との連携を強化して、国境を越えて暗躍する組織犯罪の摘発に成果を上げているのは事実(*1)で、それにはリアル空間での捜査実績の蓄積が寄与しているとある。例えば新宿歌舞伎町は、治安が良くなったとはいえ怪しい者が蠢いている。サイバー空間で得た(身代金の仮想通貨などを)マネロンする拠点は、例えばここにある。
被害者にならないために、スマホやPCを手放せない庶民は、犯罪の背景に目を向け、新しい手口を知るべきだとあります。フィッシング詐欺や偽アラート、SNS上の誹謗中傷など、基本的対処と警察に相談するタイミングが紹介されていました。