2020年発表の本書は、元対戦車ヘリのパイロットであるドン・ベントレーのデビュー作。シリアのアサド政権下で起きる化学兵器開発阻止のため、元レインジャー大隊員でいまは国防情報局(DIA)員であるマット・ドレイクが満身創痍の闘いをする。そのリアルな活躍を描いた力作である。ただでさえ液状化したシリアには、政権・IS・反政府勢力等々が入り乱れて無法の限りを尽くしている。
米国大統領選挙の投票が4日後に迫った時、CIAがシリアの化学兵器工場を急襲した作戦は失敗に終わった。レインジャー隊員3名が死亡、一人は帰還したが後に化学兵器に侵されて死亡、もう一人はISの捕虜となり非道な扱いを受けている。化学兵器の開発者で暗号名<アインシュタイン>という科学者は、情報をもたらす代わりに亡命したいとマットを指名して救出を要求してきた。彼は捕虜の所在も知っているという。

DIAはマットの派遣を決め、マットもかつての戦友フロドの助けを受けて現地に赴く。しかしこの件が選挙投票日までに公になると再選が危ないと思った大統領首席補佐官のピーターは、マットの行動を妨害し始める。そもそもCIAキャッスル長官の急襲作戦が、大統領の再選阻止を狙った陰謀だと彼は捉えている。
ピーターが軍の上層部に圧力をかけたことでマットは進退窮まるが、シリア部隊の指揮官フィッツパトリック大佐は本国の指令を無視してマットを送り出す。アインシュタインと逢うまでに足首を骨折、手首をねんざ、太ももに貫通銃創と満身創痍となったマットだが、なんとか捕虜のもとにはたどり着いた。投票2日前に事態を知らされた大統領は、
・ピーターの勧めに従って、捕虜とマットを見殺しにするか
・自らの第二期を危うくしても、2人を援けるか
の決断を迫られる。
冒頭「レインジャーには降伏の2文字はなく、倒れた戦友を決して敵に渡してはならない」との金言が示されていました。戦闘機からチェーンガン、ライフルや拳銃に至るまで、多くの兵器が登場するアクション大作です。フロドが片腕を無くすシーンなど、戦闘場面のリアリティは抜群だと思いました。続編を探してみることにします。