新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

1作だけ登場した相棒小川みゆき

 1987年発表の本書は、アリバイ崩しの大家津村秀介の<浦上伸介シリーズ>。比較的初期の作品で、まだ後年の<伸介&美保>のコンビになっていない。<週刊広場>記者の伸介(このころまだ20歳代)が<毎朝日報>の先輩谷田実憲とひたすら呑みながら真犯人を追う話だ。

 

 ただ本書には、1作だけ登場した<毎朝日報>の新人記者小川みゆきが登場し、伸介と一緒に事件にあたる。小柄で活発なキャラだったが、多分作者の「作品に華を添える」試みだったのだろう。彼女は、横浜出身で郡山市局勤務、猪苗代湖畔で起きた、

 

・妍のある美女理美の絞殺

・遊び人風の男曽根の毒殺

 

 二重殺人事件を担当することになる。やり手の支局長青木が捜査陣から入手したのは、曽根が持っていた8名の氏名住所が載ったリスト。理美の名前もあり、4名が東京、4名は横浜の住民だった。

 

        

 

 横浜がらみということで<週刊広場>は伸介を派遣、若い2人の相棒による捜査が始まる。当初、8名の関係が見えないかったのだが、猪苗代湖畔の別荘地の所有者だったことが分かる。理美にも曽根にも前科があり、チンピラ・ヤクザに聞き込みを続けるうち、理美が青酸カリを入手していたことが分かる。

 

 理美が曽根を殺したとして、では理美は誰に殺されたのか?理美が使っていたチンピラの証言から、リストに載っていたガラスメーカの重役の妻が捜査線上に浮かぶ。彼女の不倫相手が疑わしいのだが、猪苗代湖の事件の時その男は、多治見~豊橋~東京~大宮と出張先から自宅に戻る途中だった主張する。豊橋と大宮で食事をした店の証言があり、その間にどうすれば現場に行けるのか?

 

 このトリック(というか犯人の足取り)は分かりました。何しろ地元民ですから。なぜ豊橋なんだっけと思ったのですが、時刻表にまだ三河安城駅がありません。なるほど、一番名古屋に近い新幹線駅だったのですね。