新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

WWⅠでのフランスレジスタンス

 本書は、フランスのスパイ小説作家ピエール・ノールのWWⅠもの。激戦地ソンムの(ドイツから見て)背後にある町サン=コランタンは、ドイツ軍の占領下にあった。占領軍司令官ニーデルシュトフ大佐がプロシア貴族(伯爵)で、戦果には満足しているものの、プロシア軍人ではないハイム中尉の暴力的な統治を苦々しく思っていた。

 

 一方、町全体に対する占領軍の統治は不安定化しつつあった。大佐の通訳でもあるネネスという男は、変装をして抵抗組織の中に入り込むことを提案する。レジスタンスの跳梁に手を焼いていた大佐は、この作戦を承認する。

 

 しかし、ネネスは数日後死体となって発見された。捜査にあたるコンパルス中尉は、この街に大規模なレジスタンス組織があり、ネネスは彼らの手にかかって死んだと確信する。捜査によって、レジスタンスの一人と目されるゲヤール神父が第一容疑者として浮かび上がる。

 

        

 

 しかし神父には微妙なアリバイがあった。ネネスが死んだ当日は、離れた村に出かけていたらしいのだ。さらにドイツ軍司令部の機密情報が、ソンムの前線を飛び越えて素早く連合軍戦線に送られていたことも発覚した。レジスタンス組織は、航空機による情報(アナログフィルム)伝送手段ももっているらしい。 

 

 コンパルスはゲヤール神父に双生児の兄弟がいることを突き止め、神父のアリバイに穴をあけた。加えて司令部の誰かがレジスタンスの一味で情報を流している可能性にも思い当たる。彼は部下を連れてレジスタンスが集まっていると思しき建物を急襲するのだが・・・。

 

 解説によると、かつてフランスではミステリよりスパイ小説が多く書かれたとのこと。作者はその時代(多分WWⅡ前)の代表作家で、80冊ほどの著作があるそうです。ただ日本での紹介は4冊ほどで、今は全く忘れられてしまっています。旧訳のせいか読みづらいところもあるのですが、それなりに面白かったです。装丁がぼろぼろの本書、見つけて嬉しかったです。