新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

地方検事局内の愛憎と野望(前編)

 1987年発表の本書は、連邦検察局の現役検事補スコット・トゥローのフィクションデビュー作。ベストセラーとなって、映画化もされた話題作である。地方検察局にはびこる愛憎と野望をヴィヴィッドに描き、主人公の私(ラスティ首席検事補)の眼を通じて、米国の法曹界を告発してゆく。「主人公は司法システムそのもの」と評した評論家もいた。

 

 ベテラン検事ホーガンが、かつての部下で元検事補のニコとの選挙戦を控えていたころ、検察局で性犯罪を担当していた美人の検事補キャロリンが殺された。何かで頭を殴られ、縛られてレイプされた後に死んだと思われた。犯人の精液は検出されたが、殴打した凶器は見つかっていない。

 

 ホーガン検事の命令で捜査を指揮するラスティは、妻がありながらキャロリンの魅力に負けて不倫していた。3ヵ月ほど付き合って、彼女に新しい愛人ができて別れたのだが、まだ未練が残っている。妻のバーバラは数学の博士論文を執筆中のインテリ、息子と草野球をしている時くらいしか安息の時はない。

 

        

 

 詳しい検視報告が届くと、奇妙なことが分かった。被害者は避妊していて、強引に縛った跡もない。少なくとも性交は和姦だったらしい。事件捜査が進まない中、ホーガンは選挙戦でニコに敗れた。検事に就任したニコは、腹心のモルト検事補を首席に任じた。それだけでなく、ラスティはキャサリン殺しの罪で告発されてしまう。

 

 陰険なニコとモルトのラスティへの面当てなのだが、キャサリンの部屋のグラスの一つにラスティの指紋が付いていたのが決定打になった。彼とキャサリンの不倫関係も、ニコたちは探り当てていた。キャサリンの新しい愛人が、ホーガン検事だったことも・・・。

 

 公判まで休職中の身になったラスティは、久しぶりにバーバラの愛に触れる。彼女は夫の無実を信じ、息子と共にサポートする決意を固めていたのだ。ラスティは一流の弁護士サンディと助手のジェイミーを雇い、無実を訴えて法廷で闘うことに決めた。

 

<続く>