1969年発表の本書は、以前「黄金猿の年」を紹介したコリン・フォーブズのWWⅡ戦記。1940年の5月、ドイツ軍の電撃戦でベネルクス3国やフランス北部が席巻されてしまう。かの地には英国の大陸派遣軍(BEF)もいたのだが、散り散りになりダンケルク目指して撤退することになる。
その撤退戦の中で、1両のマチルダ戦車(*1)と4名の乗員が仲間とはぐれて単騎行をする数日間を描いたのが、この小説である。原題の「Tramp in Armour」は、装甲を着た浮浪者の意味。
バーンズ軍曹が車長を務める<バート号>は、ブリュッセルの南でフォン・ボック将軍の軍団の猛攻にさらされていた。無線機が故障した中で、対戦車砲を片付け歩兵を追い払ったまではいいのだが、猛烈な砲撃を避けるために鉄道のトンネルに入ったところ崩落で閉じ込められてしまった。

何日もかけて岩を取り除く際、錯乱した砲手デイヴィスは岩に埋もれて死んでしまった。なんとか脱出してみると、周りはドイツ軍だらけ。生き残った3人は、味方の前線にむけて単騎行をする羽目になる。
ドイツ地上軍は遠くの戦線に行ってしまったのだが、空からの脅威はある。Me109の機銃掃射に遭ってバーンズ軍曹は負傷し、意識不明になってしまった。そんな3人を救ってくれたのがベルギー人医師。回復した軍曹らは連合軍の戦線を目指すのだが、苦難は次々にやってくる。
・ドイツ軍スパイの罠
・シュトルヒ偵察機の哨戒
そんな中<バート号>は、20余名のドイツ兵を満載したトラックを破壊したり、撃墜されたカナダ人の戦闘機乗りを収容するなど戦果も挙げる。これには連合軍に味方する地元の人たちの支援が大いに役立った。燃料や食糧のありかも教えてもらい、逃避行を続けられた。しかし戦闘で無線手のペン伍長も死に、隠れて英仏海峡を目指すうち、思わぬことからドイツ軍の英軍主力への攻撃を阻止する機会が訪れる。
リアリティのある戦記小説でした。でも500ページはちょっと冗長かな?その反面、もう少しドイツ軍の事情も詳しく書いて欲しかったです。
*1:歩兵戦車マチルダMk.Ⅱ、重量27トン、最高速度24km/h、2ポンド砲と機銃1丁が武装、装甲は厚いが、主砲は徹甲弾しか撃てない