新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

半魚人連続殺人事件

 2009年発表の本書は、以前に「カルトの狂気」を紹介した、CBSの人気TVシリーズCSI:マイアミ」の1編。前作同様、SF&サスペンス作家のドン・コルテスに手になるもの。マイアミ・デイド郡警察の鑑識部門、CSIのリーダーは爆発物が専門の鑑識官ホレイショ・ケイン。彼の指揮の下、個性豊かな鑑識&捜査官が難事件を追う。

 

 今回の最初の死体は、ダイビング用のマスクを着けただけの若い女性。浅瀬で発見されたのだが、肺や腸などの臓器は対外に出てしまっていて、魚などに食べられてしまったらしい。外傷はないのに内臓が引きずり出されたような、無残な死体だ。検視官の意見では、淡水の中でレイプされた上で溺死させられていたし、何かの歯が刺さっていた。

 

 死後、臓器を棄損したのは「シャーク・ダート」という鮫殺しの水中武器だという。圧縮CO2を体内に撃ちこんで巨大な内圧で、体内を破壊するというもの。痛感のない鮫を撃退するには、このくらいの武器が要るのだ。

 

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 さらに海に出た夫婦が行方不明になり、夫は射殺死体で、妻はやはりレイプされた後出血多量で死んだ遺体で見つかる。犯人は鋭利な刃物で被害者を痛めつけながら、レイプしたらしい。夫を殺したのは、水中でも使える拳銃。調査の結果、旧ソ連が使っていたSPP-1という回転拳銃だとわかる。.40口径の4連発、命中精度は高くないが水中では危険な武器だ。

 

 折から付近の街では、「半魚人フェスティバル」が開催されようとしていた。かつてモノクロ映画時代に半魚人の登場する作品が作られ、ロケ地がその街だったことにちなんだものだ。捜査陣は「シャーク・ダート」やSPP-1を誰が持っているか、ダイブショップや武器マニア店を巡る。一方フェスティバルに使われる「半魚人スーツ」が、鋭利な鉤爪を持っていることにも注目する。

 

 加えて環境保護団体「動物解放同盟」や、旧ソ連で水中工作班を率いていた人物が登場し、事件を混迷させる。最初の死体に残っていた歯は、バンドウイルカの歯に似ているが、複製されたものであることも分かる。

 

 好調なTVシリーズの雰囲気そのまま、スピーディで興味深い展開が続く。あまりポピュラーでない特殊な鑑識手法も詳述されていて、犯罪小説としても興味深いものになっていました。続編があるようなら、探してみましょう。