紀行・その他
本書は以前「京都ぎらい官能編」を紹介した、NHK「いけず京都シリーズ」の案内人井上章一国際日本文化研究センター所長が、2016年の新書大賞を受賞した記念作。筆者は京都市右京区嵯峨育ちゆえ、自己紹介欄に京都市ではなく京都府出身と書くという。外部の人…
今日2月22日は、忍者の日。2019年発表の本書は、直木賞作家姫野カオルコさんが、故郷滋賀県のことをやや自虐的に綴ったもの。筆者は1958年甲賀市生まれ、「昭和の犬」で直木賞を受賞し、東京と故郷を往復しながら作家活動を続けている。その滋賀県だが、あ…
今年のNHK大河ドラマの舞台は「源氏物語」なのだそうだ。そういえば、歴史好き読書好きの僕だが「源氏物語」は読んでいないし、あらすじさえ知らない。だからというわけではないが、Book-offでふと手に取ったのが本書(1993年発表)。弁護士作家和久峻三作「…
歌手の大橋純子さんが亡くなった。享年73歳。後に債権管理団体となる夕張市の出身で、夕張食堂のお嬢さんだった。高校生の頃、そのパワフルな歌声、特に爆発するような高音に驚いてファンになった。創元推理文庫の本格ミステリーを買うのを我慢(!)して、L…
今年、家内が大学時代の友人たちと京都に一泊旅行をしてきた。「大人の京都が割と良かった」とのことで、夫婦での京都旅行を計画しようと思う。その参考にと買ってきたのが本書(2012年発表)で、日経紙の京都支社が、 ・お勧めの京都 ・京都の楽しみ方 ・地…
京都の夏は暑いという。冬は底冷えするともいう。でも魅力的な観光地で、一度ちゃんと勉強したいと思っていた。そこで、2012年発表と少し古いものだが本書を買って来た。現地に詳しい11名の専門家の共著で、編者は説話伝承学芸会員の山嵜氏ら。秋になったら…
「梟の城」で直木賞を獲り「竜馬がゆく」などの大作で知られる作家司馬遼太郎は、戦後いくつかの新聞社で記者をしていた。30歳を過ぎたら作家になろうと考え、文章修行をしたのがこの時代。新聞記者はプロフェッショナルだが、サラリーマンでもある。若い大…
今日は鉄道の日(毎年10/14)である。明治22年に鉄道省によって制定された記念日だ。これまで多くの「鉄道愛」の書を紹介してきた宮脇俊三氏は、2003年に亡くなっている。享年76歳、戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」という。本書は作者が晩年に情熱を燃やした「…
大手の出版部長だった作者は、子供のころからの鉄道(というか汽車)好き。小学校入学前から時刻表を読みふけり、周囲は「神童」と思ったらしい。それが高じて日本中の国鉄全部乗るという快挙を成し遂げ「時刻表2万キロ」という著書で文壇デビューを果たし…
本書はサウスカロライナ州フローレンスを中心に大量猟奇殺人をして、1991年に電気椅子にかけられたドナルド・ギャスキンズ(通称ピーウィー:ちび)の口述を、作家のウィルトン・アースが編集したもの。編者は、できるかぎりこの死刑囚の言葉(翻訳なのでよ…
昨日、大前研一氏の「人生100年時代、自ら働き方改革をしてエクセレント・パースンになれ!」という書を紹介した。プロとしての生き様には参考になることも多いのだが、本書はもう少し内省的な「100年時代の計」。 著者の五木寛之氏は(紹介するまでもないが…
昨日「添乗員が参照するヒミツの参考書:魅惑のスペイン」を紹介した。面白かったのだが、バスク地方を始めとする北スペインの記述がないのが、残念だった。そこで、ちょっと趣旨は違うけれど北スペインを歩いた記録である本書を探してきた。著者の小野美由…
本書は、先月「ドイツものしり紀行」を紹介した紅山雪夫氏の紀行、スペイン編。1997年トラベルジャーナル社より出版された「スペインの古都と街道」を改題、文庫化したものである。馴染み深いドイツと違い、僕ら夫婦のスペイン体験は一度だけ。 マドリードの…
折角「With COVID-19」の雰囲気が北半球には広がってきたのに、ロシア・ウクライナ紛争で海外旅行のハードルがまた増えた。そろそろ欧州へ行きたいな、イタリアやスペインが・・・と思って<HIS>のサイトを見ると、航空料金が以前の1.5~2倍になっているよう…
本書は以前「フランスものしり紀行」、先月「ヨーロッパものしり紀行」を紹介した紅山雪夫氏の紀行シリーズ・ドイツ編。ローマ時代の遺跡(今でも使われているものも!)や中世の城塞、街並みを訪ねて回る旅行案内である。原本は1993年にトラベルジャーナル…
著者の紅山雪夫氏の紀行本は、何冊も持っている。日本旅行作家協会理事を務めた人で、特に欧州への旅行の助け(期待を膨らませることも含めて)となる著書が多い。本書の内容は、1991年に<トラベルジャーナル誌>に掲載されたものを再構成して文庫化されて…
先々月「ねずみとり」、先月「検察側の証人」を紹介したミステリーの女王アガサ・クリスティの戯曲第三弾が本書。1956年の作品で、これもロングラン公演を達成しているし、日本でも上演されていると解説にある。 構成は3幕4場で、場面はケント州の邸宅<コ…
ミステリーの女王アガサ・クリスティは、小説の他にいくつかの戯曲も遺した。小説のTVドラマ化や映画化も多いのだが、もともと戯曲として書かれたものにはそれなりの風情もある。1950年代、女王の地位を不動にし水準以上の力作を作者が書いていたころ、全7…
先月紹介した「麻雀放浪記」。これは実話をもとにしたフィクションだが、実際に「玄人(バイニン)」と呼ばれる世界で、20年間無敗の伝説を持つのが本書の著者桜井章一氏。どのような世界だったかは、上記フィクションを参照いただくとして、途方もない金額…
本書はアガサ・クリスティの手になる、いくつかの戯曲のうちでも最高とされるもの。1952年に初演されてから、20世紀中に2万回以上上演されたという。舞台はロンドンから50kmほど離れた田舎町、古民家を改装してマンクスウェル山荘という民泊を始めたモリー…
親父は1927年(昭和2年)の今日産まれた。その頃僕が通っているオフィス(丸の内・青山)あたりはどうなっていたのだろうか?良く通う霞ヶ関や大手町には何があったのだろうか?そんな思いで、いつの事だったか覚えていないが買ったのがこの「古地図」であ…
昨年からの「COVID-19」騒ぎで、すっかり海外出張・旅行に縁遠くなってしまった。もちろんフライトは飛んでいるし、検査結果がないと入れてくれない国ばかりではないのだが、心理的にも旅行に出ようという気にならない。僕が最初に行った外国は米国の西海岸…
僕ら夫婦の国内での旅行先と言えば、一番多いのは函館、次は宜野湾である。沖縄には10余年前に仕事で行って、それからちょくちょく通うようになった。一時期中国からの観光客(ビザ不要のエリアなので)に締め出されていたのだが、昨年3年ぶりに1週間の滞…
一昨年亡くなった内田康夫は多作家である。浅見光彦、信濃のコロンボ、岡部警部などのシリーズもののほかノンシリーズのミステリー、紀行文など作品は140冊にも及ぶ。累計発行部数は2007年の時点で1億部を越えている。ミステリー作家というと自らの私生活は…
昨年末、スパイ小説の巨星が墜ちた。代表作「寒い国から帰ってきたスパイ」を始め、リアルな現代の諜報戦を描き続けたジョン・ル・カレである。晩年はハンブルグとコーンウォールで過ごし、時にはベルンから奥に入ったスイスの山荘でも暮らしていたらしい。…
2018年発表の本書は、北京大学・香港中文大学への留学経験のあるジャーナリストの著者が、70万人もいるという在日中国人にインタビューしたものである。かつて在日中国人といえば、中華料理店のコックに代表されるようなエッセンシャルワーカーのイメージが…
「コロナ禍」のおかげで、世界中の国際線のフライトは90%近く運休・減便になってしまった。海外旅行が大好きな僕たち夫婦も、1月のローマ旅行以降海外に出掛けることができない。僕らは結婚してしばらくは旅行会社のツアーを利用していたのだが、慣れてく…
「時刻表2万キロ」という国鉄全線乗りつぶし紀行でデビュー(?)した作者は、一流出版社の役員を辞して次々と新しい鉄道の挑戦を行った。本書もそのひとつ、国鉄の最長一筆書き切符を購入し、実際に13,000余キロを完乗する話である。 今のJRでもそうだが、…
高校生の頃、本気でミステリー作家になろうとしていた僕は、普通の小説のほかにも関係しそうなものを乱読した。人はどうやったら死ぬのか、気を失うのかといった医学関係のもの、犯罪を犯しても罪を免れたり、軽く済ませる法律関係のもの、銃器や爆発物の作…
当時の国鉄総営業キロ数は、約20,800km。これを全線乗り潰すという愚挙とも快挙ともつかないことに挑戦する話を聞いたのは、大学に入った時。クラスメートの一人がそれを目指していて、高校まではほとんど遠出をしたことのない僕には全く新しい世界だった。 …