新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政治・経済書

政治は熱量、ではどう評価する

4年ぶりの総選挙が始まろうとしている。本書は2019年の発表で、 ・元大阪府知事、大阪市長、弁護士 橋下徹氏 ・山猫総合研究所代表、国際政治学者 三浦瑠璃氏 が日本の現代政治(&政治家)について対談したもの。橋下弁護士は「維新の会」の創設者で、大阪…

ダボス人間的世界観への挑戦

紫色に光る御髪と、ドスの効いた毒舌(!)が印象に残る論客、浜矩子氏。安倍政権を「妖怪アホノミクス」とコキ下ろし、「趣味は大量飲酒」とおっしゃる破天荒な経済学者である。本書は2017年の発表、安倍政権真っただ中で、米国にはトランプ政権が誕生、欧…

Green政策の処方箋

菅内閣の基本方針は「Green & Digital」だった。現下の国際情勢における方針として異論はないのだが、どうもGreenの方は僕は苦手だ。とはいえ食わず嫌いは良くないので、少々古い(2008年発表)書だが読んでみた。発表の前には「愛・地球博」や「洞爺湖サミ…

21世紀型経済の処方箋

先日水野和夫氏の著書「資本主義の終焉と歴史の危機」を読んで、今世界で起きていることの多くが説明できる説に驚いた。要は地球上からフロンティアが消え、これを前提としていた資本主義は維持できないというものだ。 超マクロ経済学による説明 - 新城彰の…

4つの分断がむしばむ民主主義

米国バイデン政権の支持率が下落傾向、某誌などは「支持率暴落」とまで書いている。きっかけはアフガニスタン撤兵のゴタゴタなのだが、僕はいずれやらねばならぬことだから政権の決断に拍手を送っている。バイデン政権を悩ませている問題はアフガニスタンや…

この国をどうするのか!

本書は政治ジャーナリストの権化、田原総一朗氏が2019年に発表した(ある種の)回顧録。マスコミ渡世60年の筆者が、政治家・経営者・思想家・科学者などにインタビューした中で、インパクトの強かったことを28編収めたもの。前半の政治家編に、正直目からう…

ポピュリズム政治は問題だが

本書は先年亡くなった中曽根元総理の、非常に短い回顧録である。小泉内閣時代の2003年に55年以上続けた衆議院議員を引退、その翌年に本書が発表されている。「引導を渡した」小泉総理への恨み言も書かれているが、85歳まで政治の一線におられたのだから引き…

知の巨人が示す世界の潮流

2018年発表の本書は、ジャーナリスト大野和基氏が世界の知の巨人8名にインタビューしてまとめ上げた、21世紀の世界の潮流。8名とは世界的に有名な、人類生態学者・軍事史学者・人材組織論の権威・分析哲学者・経済学者・元米国国防長官・女性地位向上の活…

日本人の格差意識2010

巷間「小泉・竹中改革」が日本の格差を拡大したと言われるが、竹中教授は「小泉内閣当時にジニ係数が下がり、それ以外の時代にはずっと上がっている」と反論している。本書は竹中教授が政府を離れ、民主党政権になっていた2010年に発表されたもの。当時の日…

平壌から見る世界情勢2018

本書は2018年に発表された、ジャーナリスト柏原竜一氏の国際情勢論。「北朝鮮発第三次世界大戦」というタイトルを見てかってきたのだが、内容は「世界大戦には至らないよね」というものだ。これまで他の書や情報源から聞いている話が3/4ほどを占めるし、特に…

寿司にはシャルドネが合う・・・かな?

本書は2019年に発表された、「ゴーン事件」の内幕を日産という企業の歴史にまでさかのぼってまとめたもの。著者の井上久男氏は朝日新聞出身のフリージャーナリスト、自動車業界に詳しくゴーン被告にも何度か直接インタビューをしている。 2018年末の日産グロ…

在京6紙のスタンスと新聞の使命

本書(2014年発表)のサブタイトルにあるように、新聞各紙の報道が二極化している。その傾向は、7年経ってむしろ強まっている。朝日を筆頭に毎日・東京は政権に批判的、読売と産経は政権よりである。本書によると、日経も政権よりのスタンスだとある。当家…

正論がどこまで浸透する?

秋の衆議院議員選挙に向けて、永田町はあわただしさを増している。正直「COVID-19」感染拡大より、選挙の方が忙しい状況だ。菅政権の「五輪強行」と「COVID-19」対策への批判が集まり、公明党はもちろん自民党内からも糾弾の動きが出てきた。こうなると普通…

習政権、二期目の課題

本書は以前「巨龍の苦闘」を紹介した現代中国の研究者津上俊哉氏の、2017年発表の著書。「巨龍の」から2年を経て、米国にはトランプ政権が誕生、「Brexit」も成り国際情勢が激変したこの時期、著者は3ヵ月ほど米国に滞在し米国の視点から中国を見たという…

小さくとも光る国

まだ20世紀だったころ、米ソ両大国の狭間にあった日本について、ある政治家が「小さくともキラリと光る国」でありたいと言った。当時の日本人はまだ日本が「小国」だと思っていたのだが、人口1億人を超えていたのだから当時から「大国」の素質はあったのだ…

松沢流東京再生計画

本書の著者松沢成文参議院議員(維新の会)には、神奈川県知事時代に一度パネルディスカッションをご一緒させてもらったことがある。場所は茅ヶ崎市、テーマは東海道新幹線が相模川を渡るところに、新幹線の新駅を作ることだった。他の駅間に比べて新横浜~…

まだ「一億総中流」だったころ

本書の著者飯田経夫教授は、僕の母校で有名な経済学者。たまにノーベル賞学者がでる大学だが、全部理系。文系で有名な先生は、この人くらいかなと思う。僕の学生時代も教鞭を取っておられたのだが、僕自身は受講したことはない。サークルの同僚が、経済学部…

「COVID-19」対応に見る日本の病理

本書は感染症専門医で「ダイアモンド・プリンセス号」に乗り込んで、その実情をYouTubeに公開した岩田健太郎医師が、2020年3月に緊急出版したもの。「COVID-19」とは何かから始まり、巷間言われる感染対策のうち意味のあるもの・ないものを示したうえで、危…

CNBC "Disrupter50" に学ぶ

デジタルを始めとする先端技術が、社会を変えつつある。スタートアップ企業が価格破壊や価値創造で、業界地図を塗り替えることも珍しくない。米国のニュース専用放送局CNBCは、毎年業界構造の破壊者(Disrupter)たりうる企業50を紹介していて、本書はその20…

株式会社3.0を目指して

2017年発表の本書は、「公益資本主義」を掲げて安倍内閣からの諮問で「目指すべき市場経済システムに関する専門調査会」の会長代理を務めた経済人、原丈人氏の手になる者。著者はシリコンバレーでベンチャーキャピタリストをし、英米型の資本主義に限界を感…

「安い国」で暮らすということ

先月後半から、日経新聞が「安いニッポン」と題した連載を始めた。その主張はおおむね本書のそれに沿ったものだ。2019年末に「年収1,400万円は低所得」とする記事が出たが、IT産業らが隆盛な西海岸ではある意味当然のこと。これに反して日本は「年収1,200万…

温故知新の政治学

昨日、竹中教授の平成時代を俯瞰した書を紹介したが、本書も平成時代を総括したものである。「サンデープロジェクト」や「朝まで生TV」の司会でお馴染みのジャーナリスト田原総一朗氏と「ミカドの肖像」などで知られ元東京都知事でもある作家の猪瀬直樹氏の…

「激変の平成」を俯瞰する

「小泉・竹中改革は格差を広げ、貧しい日本を作った」と何人かの評論家が言う。僕は竹中先生には直接薫陶を受けているからだけではなく、この批判は当たらないと思っている。では竹中先生は、改革とその前後をどう総括しておられるのか、令和の時代にはどう…

政治家たちはどう考えたか

昨日「Brexit」を巡る2016年の国民投票について、労働者たちはどう考えて投票したか、その背景を「地べたからの解説」してくれる書を紹介した。最大の関心事は移民問題だが、移民が憎いというよりもキャメロン政権の極度な緊縮財政で公共サービスが減り、減…

半固定の階級社会と移民

「Brexit」の流れで、スコットランド独立の気配が出てきてしまった英国。北アイルランドはもちろんウェールズにも怪しげな動きがあり、本当に4つの国になってしまうかもしれない。国際政治やサイバーセキュリティで学ぶところの多い国だが、内政に関しては…

主要国の「サイバー戦略」

今日本でも「次期サイバーセキュリティ戦略」の策定が急がれているが、従来より安全保障色の強いものになっていると聞く。その背景は、サイバー空間での国家レベルの暗闘が激しくなっていること。2019年発表の本書は、その実態をヴィヴィッドに描いたもので…

2年間で変わったこと

本書は日経編集委員の滝田洋一氏が、亥年の始めに当たり国際情勢を俯瞰して見せた書(2019年1月出版)である。トランプ先生と習大人が表紙でにらみ合っているかのように見えるが、これが本書のキーワード「チキンゲーム」である。どちらも内外に弱みは見せ…

これなら争点になるのだが・・・

近づく総選挙、野党の中でも維新の会は「ベーシック・インカム」と消費減税を掲げて戦う姿勢。野党第一党の立憲民主党は「枝野ビジョン」は出たものの、抽象度が高い。共産党との合同出版も延期となり、政策の基本線が見えてこない。 2017年の総選挙直前、民…

中国の人口はまだ4億人

本書(2017年発表)の著者川島博之氏は、東大大学院農学生命科学研究科准教授。専門は環境経済学、(土地)開発経済学。食糧危機対策や日本の農政改革に係る著書があるが、中国に多くの教え子がいて彼らを訪ねてかの国の地方を巡った経験が豊富。 出版のころ…

なるほど右翼はこう考えるのね

「小さな政府 vs. 大きな政府」が遠くなってしまって、いまや「大きな政府 vs. もっと大きな政府」の選択肢になってしまっていると嘆いている僕だが、政治家(政権ではない)の選択には「保守 vs. 革新」というものもあったことを、本書のタイトルを見て思い…