政治・経済書
2020年発表の本書は、国際政治学者友原章典氏の「移民論」。欧米で移民排斥の声が多くなる中、日本も今後移民問題と排斥運動の激化が予想される。一部に感情的な議論があることから、本書の「道義的な観点を外し、純粋経済的な面を見て」のスタンスに期待し…
2017年発表の本書は、堺屋太一最後の小説・・・ではあるが、小説の形をとって僕たちに「あるべき&ありたき日本像」を示してくれた書だ。2026年、政府債務は1,500兆円(GDP比3倍)に達し、毎年40兆円の国債を発行しなくてはならないところまで日本政府は追い詰…
これまで長期政権だった「アベ政治」を評価する書を複数紹介した。アジア・パシフィック・イニシャティブの「検証安倍政権*1」が最もフェアだと思った。2023年発表の本書では、コンプライアンスの鬼ともいうべき郷原信郎弁護士(*2)の目から見た、安倍政権…
2022年発表の本書は、女性米国政治研究者が集めた「現地女性たちの声」。自由の国米国のはずだが、そこにはいくつもの差別や偏見が残っている。○○(*1)だから、声を挙げられなかった人たちが、米国を変えようとしたことをレポートしたもの。テニスの大阪な…
2018年発表の本書は、リベラル派の論客である山口二郎法政大学教授の、日本の民主主義への警鐘。筆者は旧民主党のブレーンであり、野党共闘の推進者市民連合の中心人物でもある。現政権を歪んだものし、その問題点や政権を維持させているのは何かを論じてい…
2021年出版の本書は、今回の自民党総裁選に意欲を見せながら、推薦人が集まらず立候補できなかった青山繁晴参議院議員の外交エッセイ。ある経済紙に、小泉内閣末期から東日本大震災(菅内閣)までの間掲載した記事を集め、インタビュー等を加えたもの。著者…
2024年の台湾総統選挙を受けて、その後の台湾海峡の展望を記したのが本書。著者の峯村健司氏は朝日新聞出身のジャーナリスト、現在はキャノングローバル戦略研究所の主任研究員である。以前紹介した「ウクライナ戦争と米中対立」では、インタビュアーを務め…
2022年発表の本書は、シンクタンク<アジア・パシフィック・イニシャティブ>の安倍(長期)政権検証。これまで<アベ政治>に批判的な書(*1)も紹介したし、内側にいた人の秘録(*2)も読んだが、バイアスがかかったり踏み込み不足なものだった。しかし本…
2023年発表の本書は、毎日新聞記者高橋祐貴氏の「TAX Eaterレポート」。財政逼迫なのに市民は「もっとよこせ」といい、増税と言えばもう批判を浴びる。しかし税金が行くべきところに行っていないとの印象はあっても、じゃあ(行くべきでない)どこに行ってい…
2023年発表の本書は、すでに10冊ほど紹介しているジャーナリスト大野和基氏が世界の知性にインタビューするシリーズ。今回のテーマは資本主義。欧米の学者8名がインタビューに応じていて、環境・経済・倫理・金融などの専門性から新本主義はどうすべきかを…
本書は2010年に発表されたが胡錦涛政権では発禁とされ、習近平政権になった2013年に再版され、2020年に加筆されたもの。日本語訳(2023年)以前に米国では翻訳書が出版され、米国国防予算を50億ドル増やすことに寄与したという。著者の劉明福は山東省生まれ…
2021年発表の本書は、北京特派員経験もある朝日新聞記者福田直之氏の、中国デジタル社会レポート。「20世紀はオイルの世紀、21世紀はデータの世紀」と言われるように「Data Driven Economy」時代になっているが、データの利用にはいくつかの制約がある。特に…
2019年発表の本書は、同志社大学教授白戸圭一氏(国際関係学)の現代アフリカレポート。日本人が通常持っている、アフリカのイメージを一新するものだ。筆者は30年近くアフリカに係り、その変化を見てきた。帯にあるように「もう援助は要らない。投資してく…
英国<エコノミスト誌>が、所属の編集者たちに「2050年の世界を予測する」企画を課し、2012年に出版されたのが本書。邦訳にあたり船橋洋一氏が解説を付けている。これも長く本棚に眠っていたものだが、世界の激動を見ているうちに探して再読する気になった…
戦略学の権威で国際政治学者のサミュエル・ハンチントン博士が、「文明の衝突」を著したのが1996年。「21世紀日本の選択」は1998年の発表だった。本書は2000年に邦訳出版され、新刊書で買った記憶がある。それを再び読む気になったのは、おおむね四半世紀が…
2022年発表の本書は、マクロ経済学が専門の東大経済学部渡辺務教授の国際経済論。今も世界経済はインフレにあえいでいて、欧米各国は政策金利を5%ほどにまで上げ引き締めを図っているが、容易にインフレ退治は出来そうもない。 石油や穀物といったコモディ…
今週、パリ五輪が幕を開ける。前回の夏の東京大会が1年遅れだったこともあって「もう来たのか」との印象がある。その東京五輪だが、途方もない金満集団IOCによって「アスリートそっちのけの商業イベント」になってしまったとする書(*1)も紹介している。 2…
本書は、安倍元総理暗殺事件の直前に4人の識者(*1)が集まって、官邸主導の道筋・残る課題などを議論したもの。対談は2022年7月に行われ、翌年出版されている。民主党政権での3・11危機管理から、第二次安倍政権の安全保障政策推進、官邸強化の経緯や内在…
自民党の裏金問題は、政治資金規正法の微修正で決着がつきそうになり、有権者の不満が高まっている。このところの選挙は負け続け、都議選補選も惨敗と評されている。裏金に絡んで昔読んだ本があったなと、探して見つけたのが本書。「小さな政府」に向けた改…
2023年発表の本書は、読売新聞記者小林泰明氏の「GAFAM対政府録」。米国では<ビッグテック>と呼称されるこれらのグローバル(&インターネット)企業たちは、世界中で各国政府とコンフリクトを起こしている。筆者は日本と米国で、7年間にわたって政府と彼…
2021年発表の本書は、ノンフィクション作家塩田潮氏の、日本維新の会を中心に据えた、この10年余りの政党離合集散史。断片的にしか知らなかった、改革政党「維新」の紆余曲折と、現状課題の理由を知ることができる。 種々の問題はあれ、やはり政策を掲げて実…
2022年末発表の本書は、以前「ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略」を紹介した、中国問題グローバル研究所長遠藤誉氏による中国の新しい政治局常務委員7人(チャイナセブン)の紹介と、習近平後継者についての考察である。前振りとして、 ・習近平に…
2023年発表の本書は、早稲田大学教授(公文書研究)有馬哲夫氏の「NHK論」。NHK受信料問題は、時折国会でも取り上げられ是非が問われる「広義の税金」。筆者は、各国の公共放送の実装やスタンスを論じながら、NHKのあるべき姿を提案する。1世紀前に「私設無…
2022年発表の本書は、いずれもジャーナリストである安田浩一&安田菜津紀氏の共著。外国人差別の現場を取材し、日本人のヘイト意識などを問題視したレポートである。やや情緒的に過ぎる部分もあるので、事実と主張点を中心にまとめてみた。 冒頭、名古屋入管…
今月改正入管法が施行されたが、移民・難民問題は日本でも大きな論点である。きょうから2日、入管法関連の書籍を紹介したい。2019年発表の本書は、法務省難民審査参与員でもある名古屋大学講師の浅川晃広氏の入管法解説。 冒頭「外国人は日本政府の許可に拠…
本書は元財務官僚で、嘉悦大教授の高橋洋一氏の政策論入門編。筆者がYouTube上の<高橋洋一チャンネル>に2022~23年に挙げた内容を書籍化したもの。政策からみの時事ネタを分かりやすく解説したもので、数字に強い財務官僚(*1)らしくEBPM(*2)の手法で、…
本書は2022年1月から2023年6月までの間、朝日新聞(&デジタル)に掲載された岸田政権関連の記事を加筆修正して集大成したもの。衆院補選で3連敗しても怯む様子を見せない岸田総理について、 ・聞くことは聞くが、進言を受け入れることはない ・現実主義…
自民党が裏金問題を受けて派閥解消を掲げたが、そもそも規定に「派閥、分派を許さず」と明記している政党がある。それが、日本共産党。党としての行動を一致させるために有用な規定ともみられるが、逆に硬直した組織になって党首が長く居座ることになりかね…
2020年発表の本書は、「永遠のゼロ」の作者百田尚樹氏の憲法論。以前「偽善者たちへ*1」を紹介していて、巷間言われるほど偏向した論客(要するに極右のこと)ではないと思った。憲法論としてはこれまで、 ・政治家(石原慎太郎) ・法学者(長谷部恭男、佐…
2021年発表の本書は、英国在住のコラムニスト、ブレイディみかこ氏の「女性の政治指導者論」。2018~2020年にかけて<小説幻冬>の連載した記事を集めて、各国の女性政治家や運動家の姿を通した政治のありようを記したものだ。 英国で女性参政権が認められた…