新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政治・経済書

World Intelligence 2019

本書は、元NHKワシントン支局長でジャーナリストの手嶋龍一氏と外務省で「ラスプーチン」のあだ名で呼ばれた主任分析官だった佐藤優氏が、当時の世界情勢を語ったもの。「中央公論」2019年8~11月号の記事向けに行われた対談がベースになっている。 題名は…

シルクロード経済圏構想

AIIBこと「アジアインフラ投資銀行」は、2013年APECの会場で習大人が設立構想を説明し、本書が出版された2015年に正式に発足している。筆者の真壁昭夫氏は元第一勧銀の銀行マン、第一勧銀総研などを経て信州大学経済学部教授となった人。中国が「シルクロー…

手近な最後のフロンティアか?

いろいろな国のこと(米国・欧州・英国・中国・韓国)を、何冊もの新書で勉強してきた。しかし手近なところの1国はまだ手付かず、それが北朝鮮だ。トランプ政権の宥和とも見える政策がバイデン政権に代わってどうなるのか、かの国の指導者は心配しているは…

何も高齢者ばかりを責めなくても

本書は「失われた20年」がどうして起きたのか、その処方箋は何かを筆者なりの視点で提案したもの。筆者の藤野英人氏は投資信託ファンドマネージャー、「レオスキャピタルワークス」を立ち上げて日本の成長企業に投資している人だ。 本書の前半は日本の産業界…

財政再建はもちろん必要

本書は「霞ヶ関埋蔵金伝説」で知られた、ユニークな経済学者髙橋洋一の初期(まだ財務省勤務だった?)の著作。実は僕の一番の苦手が「お金」、自分の生活に必要なくらいのものは理解できるのだが、デジタル技術や軍事戦略と違って大きなお金のセンスには自…

10万円一律給付要求のルーツ

以前、NPO法人「ほっとプラス」の藤田孝典理事の「下流老人」を紹介した。本書はその続編、貧困老人を量産するようになってしまった社会の構造改革はこうあるべきだとの「解決篇」である。著者は現在「10万円一律給付」を求める記事を毎日のように投稿してい…

オーバーバンキングって本当?

「COVID-19」騒ぎだけでなく、総務省接待問題など出て来て手が回らないのかもしれないが、菅政権の政策目標のひとつは「金融再編」だったはず。最近その報道があまり見られない。ただ日本の地域金融機関の経営はかなり苦しくなっていて、再編を求める声は大…

独特のメンタリティ

昨日東日本大震災当時の官邸内部のことを官邸内部の視点で示した書を紹介したが、本書には同じことを官僚の目で見たことが書かれている。ただ著者の古賀茂明氏が言いたかったことは、官邸内の迷走よりもそれを生んだ官僚たちの生態(筆者の言う独特のメンタ…

攻めの広報、守りの広報

本書の著者下村健一教授は、TBSのニュース番組から各種の報道に関わった後、民主党政権菅内閣の時に内閣広報官を引き受け、2年公務員の職にあった。本書はその時経験したことを2013年に綴ったものである。 著者は学生時代から、社民連という小政党で一年生…

投資家から見た日本・中国・ロシア

2日続けて「中国は覇権国になれない」とする、政治・経済の専門家と軍事の専門家の著書を紹介してきた。今日は「いや覇権国になれる」とする意見も紹介しよう。以前「お金の流れで読む日本と世界の未来」を紹介した、伝説の投資家ジム・ロジャーズ氏が「お…

逆説的論理による中国分析

昨日日本の中国問題の専門家の著書を紹介したが、続いて本書は軍事戦略の専門家が見た中国事情である。以前「戦争にチャンスを与えよ」を紹介した元CSIS上級顧問エドワード・ルトワック氏に、奥山真司氏がインタビューしてまとめたもの。 「戦争に・・・」でも…

中国の方がブレたのだ!

本書は、中国問題の専門家津上俊哉氏の2015年の著書である。昨年秋に直接ご教示いただいて深い洞察を持った方と思っていたので、本書を大森のBook-offで見つけて即購入した。著者は経産省OB、在中国大使館勤務の後、北東アジア室長を経験している。経済産業…

超マクロ経済学による説明

本書の著者水野和夫氏は、三菱UFJモルガンスタンレー証券のチーフエコノミストだった人。その後内閣官房審議官などされ、現在は日大教授。僕はマクロ経済学では、一番分かりやすい解説をしてくれる人だと思っている。本書も何気なく買ってきたのだが、読んで…

「集団」と付いているゆえの混同

本書の発表は2014年、安倍政権が「集団的自衛権」を行使できるように閣議決定をした、その後の混乱期に発表されたものである。この決定は従来からの憲法解釈を変えるもので、護憲政党や一部メディアの猛反発を招いただけではなく、一流紙からTVのワイドショ…

小さな政府を標榜するシンクタンク

半月ほど前紹介した渡瀬裕哉氏の「すべての増税に反対すること」を政治家に求める話は、それなりに面白かった。再びBook-offで著者の本を見つけたのが本書。2019年末に発表されたもので、2020年の米国大統領選挙を予想しながら米国の政治(選挙)状況や外交…

一極集中是正のヒント

別ブログでではあるが、東京一極集中の危険性を書いてみた。欧米諸国では人口1,000万人をこえる都市は珍しい。安全保障面からもこのような集中は避けるべきというのが、都市計画の裏にある。今回の「COVID-19」騒ぎでさらに拍車がかかったのが、一極集中是正…

やはり世界中「カネ余り」

緊急事態宣言の広がりもあって、「#二度目の一律現金給付を求めます」がトレンド入りしたらしい。これに麻生副総理・財務大臣は「銀行預金が増えるだけ、経済効果は期待できない」と消極的である。さらにこのところ銀行の預金総額が急増しているとの報道も…

「下流老人」への反論

昨日、藤田孝典著「下流老人」を紹介したが、不幸な人たちの例を次々挙げ、 ・彼らが「自助」出来なかったことを責めるのではなく、 ・人間関係が薄くなり「共助」にも頼れない今、 ・もっと税金を投入して「公助」を拡大すべきだ。 という論調には同意でき…

社会保障改革要、そこまでは同意

2015年発表の本書は、当時流行っていた「ピケティ理論」にも乗って、日本の格差社会を告発してブームを巻き起こした書である。筆者の藤田孝典氏は生活保護や貧困対策に注力するNPO代表で、Web上の論客としても有名だ。 本書は高齢者間の格差が広がり、現役時…

Leave Us Alone Coalition

本書も昨年10月末に初版が出たばかりの新書、とはいえこれは貰い物ではなくBook-offの100円コーナーで手に入れたものである。どうしてそんなに新しい本がと思うのだが、2020年11月と書き込みがあり本文中に傍線を引くなどしてあったから100円コーナーに回さ…

中国と日本のこれから

米国の分断大統領選挙や、欧州・ロシアの混迷についていくつかの本を読んできた。さて残ったエリアがある。アフリカやオセアニアもあるのだが、どうしても中国は避けて通れない。それに日本そのものの問題もある。そんな思いで手に取ったのが本書(2016年発…

とどめはEUそのものの病

フランスや英国の視点から、EUの課題を勉強してきた。多くの国が言うのは「ドイツの一人勝ち・自分勝手」ということ。ユダヤ系フランス人のトッド先生などは、「メルケルのドイツ第四帝国」と呼ぶ。そこでドイツ事情に詳しい音楽家の川口恵美さんの書を読ん…

そして、イギリスの病

昨日フランスの識者の目から見た欧州の問題を取り上げたのだが、今日は英国駐在の日本人が見た英国の病と欧州の問題を見てみたい。筆者は産経新聞社の記者で、かつてモスクワ支局長を務め、本書発表(2016年)の時点でロンドン支局長の職にある。昨日のトッ…

ドイツの病、フランスの病

本書は以前「グローバリズム以後」を紹介したフランスの「知の巨人」エマニュエル・トッドが、欧州について語った記事を集めたものである。トッドは歴史人口学者で家族人類学者。本書でもドイツの長男継承の家族主義とフランスの核家族化個人主義を比較して…

地球という乗り物で未来へ

本書もこの10月末に出たばかりの本、なぜ読めたかというとこれも筆者と長い付き合いだったから。白井均氏は企業系シンクタンクの長を長く務めた人。偶然にも同期同窓だが文系・理系の違いがあり、学生時代に出会っているわけではないし、仕事の分野が接して…

国家レベルのサイバー攻撃

大学で Computer Science を学び、IT産業に就職して約40年。一方で Simulation War Game を、100余り買い漁った僕。最近デジタルと戦争の分野での専門家と会う機会も増えているのだが、デジタルの専門家に対しては戦争の話を強調し、軍事専門家にはデジタル…

民意を汲むことの難しさ

米国を赤と青に分断した大統領選挙も、一応の決着をみた。しかし分断は終わっていない。上院・下院選挙では共和党が善戦したため、バイデン次期大統領は難しい政権運営を迫られるだろう。米国国民は、トランプ先生のもう4年は困るが、民主党にも期待できな…

総裁選向け緊急出版

2週間ほど前、横江公美著「隠れトランプのアメリカ」をご紹介した。11/3投開票だが、郵便投票などもあり簡単には決着しない。それを狙って10/31に緊急出版されたものだ。本書はもっと切迫した緊急出版、突然の安倍総理の辞任に伴い「安部後継」を自認してい…

あと4年、悪夢は続くのか

本書は発行日2020年10月31日の、まさに出たばっかりの本。Book-off専門の僕が、なぜそんな本を持っているかと言うと、著者に送ってもらったから。横江公美東洋大教授とは20年来の知りあいで、15年ほど前に僕がタフツ大フレッチャー校との交渉役を務めた時ず…

大きな政府=小さな国民

筆者の渡部昇一教授は、英語学者。「隷従への道」などで知られるノーベル賞経済学者ハイエクら知の巨人と交わり、歯に衣きせぬ論客として鳴らした人である。本書はその数ある著書の一冊(1996年発表)だが、なぜ書棚に残っていたのか記憶にない。多分「歴史…