新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政治・経済書

密接に連動する「ドル・石油・暴力」

2020年発表の本書は、経済ヤクザ出身の評論家菅原潮氏(通称猫組長)の投資指南書。「COVID-19」禍と米中戦争で、世界経済は大きな打撃を受ける。今できる最善の投資は「投資しないこと」だというのが本書の主張。 高校時代から株式に興味を持ち、バブルに踊…

共同体社会復活への提言

2024年発表の本書は、東京大学名誉教授(財政学)神野直彦氏の「社会再生論」。厳しい新自由主義への批判が込められていて、それが共同体社会を壊し、格差を広げて人間相互の信頼関係を失わせたとある。財政を単なる国家の「勘定」と思っていた僕には、大き…

噂話を煮詰めてみると

2023年発表の本書は、評論家佐高信氏とノンフィクション作家森功氏の対談集。日本の怪物として、 ・カルト宗教、統一教会 ・闇の帝王、許永中 ・国商、葛西敬之 ・ロッキード事件、児玉誉士夫と小佐野賢治 ・総利権化の権化、竹中平蔵(本書の紹介のママです…

民主主義のためカネに着目

2024年発表の本書は、朝日新聞出身のウェブメディア運営者鮫島浩氏の「政治とカネ論」。主張ポイントは「民主主義を守り(有権者が)政治を自分事化するために、カネの流れに着目しよう」ということ。具体的には、政治献金などしていない一般市民も税金とい…

健康社会学の視点で日本を診る

2024年発表の本書は、健康社会学者である河合薫氏の日本の労働実態レポート。健康社会学とは、人は環境で作られ、環境を変えることもできる相互作用に着目し、人の幸福感や生きる力を研究するもの。 本来社会は、頑張ったら報われ、助けてと声を上げられる人…

東大法学部でなければ人にあらず

2021年発表の本書は、ベテランジャーナリスト岸宣仁氏が、長年の大蔵~財務省人脈を使って財務省の人事から見る歴史を綴ったもの。作中人物のほとんどに('xx)と付記があるのは、入省年次の意味。大蔵大臣として登場する福田・大平元総理などにもその付記が…

改革にあたり第三の選択肢とは

2024年発表の本書は、京都大学大学院教授諸富徹氏(経済学)の税と社会保障改革に関する提言書。増え続ける社会保障の財源を、社会保険料に求めれば現役世代に、消費税に求めれば低所得層に大きな負担を強いる。第三の道はないのかというのがテーマ。 日本政…

サイバー関連法務の必読書

本書の初版は2023年末に出版されているが、サイバーセキュリティの分野は(犯罪者にとっても)進歩が著しい。100ページほどを書き足して、2025年秋に第2版が出版された。主筆著者が交友ある山岡裕明氏であったので、出版にあたって1部送っていただいた。 …

禁じ手だったはずの経済政策

2023年発表の本書は、朝日新聞記者原真人氏の「アベノミクス検証」。金融・財政・政治・行政・歴史・思想などを専門とする13名の論客の助けを借りて、第二次安倍政権の経済政策とそれに協力した日銀の経済・財政運営がもたらしたものは何だったかを問うてい…

「Tax Eater」を減らした事例

1999年発表の本書は、京都大学人文科学研究所の落合弘樹氏の「明治維新行革史」。江戸時代の士農工商制度は、多くの「Tax Eater」を抱えたものだった。近代国家に生まれ変わるにあたり、税金(年貢)で生活している士族を減らすことは急務だった。しかし誰し…

海外のエリートから見た日本の課題

2024年発表の本書は、1977年からフロリダ州で勤務した経験もある東洋大学名誉教授サム・田渕氏の日本への「喝」。米国・欧州・アジア諸国・中東/アフリカ諸国のエリートとも付き合いのある著者は、日本の病巣を外からの眼で焙り出そうとした結果が本書であ…

日経紙の「TAX Eater実態調査」

また秋の臨時国会で「規模ありき」の補正予算が組まれる怖れがあるが、昨日の「コロナ利権の真相」に続いて「TAX Eaterの実態調査」をご紹介したい。<日経紙>では2021年から「国費解剖」と題した連載を始め、国の予算の病巣を明らかにする調査報道をした。…

104兆円を食べたのは誰だ?

2023年発表の本書は、医療ジャーナリスト鳥集徹氏らがまとめた「COVID-19対策費の検証」。安倍政権は、国難だとして膨大な予算をつぎ込んだ。その規模104兆円は、東日本大震災の復興予算が32兆円(10年間計)だったことからも、ケタ違いの金額だったことが分…

数々の選挙と戦争の先には

2023年は世界で多くの選挙が行われた。そして東欧や中東での戦禍も収まらない。2024年発表の本書は、民主主義が揺らいでいる状況で未来はどうなるか、7人の知の巨人はどう考えているかのレポート。インタビュアーの大野和基氏による同様の書は、これまで何…

やはり21~22年がピークだった

2024年発表の本書は、産経新聞編集委員田村秀夫氏の中国経済「数字」解説。オールカラーのグラフ60枚を駆使して、中国経済の実態を明示しようとしている。 グラフが示しているのは「中国経済のピークって、2021~2022年だったよね」ということ。「COVID-19」…

畏友トフラー氏を偲び、日本に「喝」

2024年発表の本書は、ご存じ日本人コンサルタントの草分け大前研一氏の「AI革命考」。「第三の波」で有名なトフラー氏とは世代を超えた交流があり、氏が存命なら今の時代を「第四の波」と称するだろうと考えて発表したもの。内容は、日本政府・産業界・教育…

5年前、国際情勢は「お花畑」だった

本書は、国際政治学者藤原帰一教授の国際情勢時評。2020年から足掛け6年かけて朝日新聞に1回/月投稿された記事を収めたものである。この連載は10年以上続いていて、筆者によれば2020年までは「リベラルな国際秩序とは程遠い不安が世界を覆った」時期だっ…

安倍最強官邸が遺したもの

2024年発表の本書は、以前「人を救えない国*1」を紹介した、立教大学教授金子勝氏の日本政治批判。前著では「中央には頼れないので地域分散ネットワークで日本を救う」としていた筆者だが、事態はその後もひっ迫してきて、その根源である「2015年体制」を何…

政治家になってはいけない人

2023年発表の本書は、大衆社会の病理を観察する作家適菜収氏の「安倍政権批判」。長期政権だったこともあり故安倍元総理の批判本は数多いが、ここまで辛辣な批判を加えた書は初めて読んだ。筆者は単に安倍氏を非難しただけではなく、小沢一郎著「日本改造計…

税金貰ってるなら、ちゃんとしろ!

この言葉が、全ての政治家に対する筆者の言いたいことである。2024年岸田政権下で緊急出版された本書は、多数の著書がある憲政史研究家倉山満氏の「政治改革指針」。タイトルには「自民党・・・」とあるが、立憲民主党(当時は泉代表)ら野党も含めた、国会議員…

プアホワイト、真実の物語

2016年発表の本書は、米国現副大統領J・D・ヴァンス、31歳の時の「回顧録」。トランプ現象を読み解く書としてベストセラーになり、2020年には映画化もされている。アイルランド・スコットランド系移民の子孫である筆者は、アパラチア山脈の街ジャクソンとラス…

移民問題の整理と移民の必要性

2022年発表の本書は、日本国際交流センター執行理事である毛受敏浩氏の「移民受け入れのススメ」。1960年代には日本人の平均年齢は30歳以下だったが、2022年現在48.6歳。日本社会の衰退を防ぐため、移民は必要不可欠だと筆者は主張する。 人口減少社会になる…

リアリストの「Strategy of Denial」

2024年発表の本書は、米国シンクタンク<マラソン・イニシャティブ>の共同代表エルブリッジ・コルビー氏の「対中国戦略論」。筆者は元CIA長官ウィリアム・コルビーの孫、国防総省や国務省で政策立案をし外国勤務も多い。40歳代の気鋭の戦略家であり、トラン…

朝日地球会議2023の議論

2024年発表の本書は、昨日紹介した「2035年の世界地図」同様、朝日地球会議の議論をまとめたもの(2023年版)。エマニュエル・トッド、マルクス・ガブリエルの2人はそのまま、米国の政治学者フランシス・フクヤマ氏と6人の識者が参加している。 この1年間…

朝日地球会議2022の議論

2023年発表の本書は、2022年に「世界の知が読み解くコロナ後の世界」をテーマに、朝日新聞社が主催した<朝日地球会議>の議論紹介。4人の知の巨人のほか、日本の識者4名の対談も掲載されている 前半は民主主義について、暗い歴史学者エマニュエル・トッド…

世界最大の人口を抱える国

2023年発表の本書は、在インド・中国・パキスタンの大使館で調査員を経験した岐阜女子大学准教授笠井亮平氏のインドレポート。副題に「一帯一路」とFOIPが掲げられているように、2つの大国米国と中国との関係がインドの将来を決めるのだが、その見通し・課…

9人の識者が暴く「病根」

2023年発表の本書は、宝島社のスタッフが9人の識者にインタビューして、絶望的となった自民党の「病根」を探ったもの。時は岸田政権の末期で、後に首相を引き継ぐ石破議員までが持論を述べている。9人は自民党のどこに絶望したのか?そのエッセンスを取り…

国家が生き抜くための7箇条

2024年発表の本書は、アジア・パシフィック・イニシャティブ(API)の創設者船橋洋一氏の「国際秩序が壊れた今の地政学」教本。これまで「シンクタンクとは何か*1」など3冊を紹介していて、その最新論説が本書である。 米国の孤立化で国際紛争が頻発してい…

「未熟な資本主義」を示す数値

2022年発表の本書は、IMFエコノミストの経験もある東京都立大教授宮本弘暁氏(労働経済学)の「日本経済論」。日本経済低迷の原因は、その未熟な資本主義にあるとの主張である。 2022年当時岸田内閣の「新しい資本主義」が提唱されていたが、筆者はその前に…

革命が起きてもおかしくない

2024年発表の本書は、経済学者で一橋大名誉教授野口悠紀雄氏の税制論。日本の社会保険料を含む税制は「透明・簡素・公平」には程遠く、政権が行き当たりばったりの改訂を行って、より不透明・複雑・不公平なものになったとある。自民党の裏金問題の本質はこ…