新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政治・経済書

市民運動出身の首長

20世紀の終わりごろ、TVで政治討論番組をよく見ていた僕には、自分からは遠い政党でありながら気になる政治家が2人いた。一人は先週「東電福島原発事故、総理大臣として考えたこと」を紹介した、当時社民連の菅直人議員。もう一人が社民党の保坂展人議員。…

「絶望社会」先進国の肖像

前の文政権が検察力を弱めようとして警察に肩入れし、今の尹政権が検察復権を目指して警察をスポイルした。その結果、梨泰院の事件がより多くの犠牲者を出したという。死者のほとんどは若者、特に女性が多かった。 2020年発表の本書は、在日三世のライター安…

混沌へと向かう米国と世界

「COVID-19」禍の2020年末発表の本書は、笹川平和財団上席研究員渡部恒雄氏の「トランプ以後」の国際情勢論。サイバーセキュリティや経済安全保障の観点から、国際情勢のお話を一度伺いたいと思っていて、その予習のために買ってきたものだ。筆者は米国の戦…

経済社会のエンジン・・・のはず

2017年発表の本書は、一橋大学名誉教授で経済学者の関満博氏の現代中小企業論。日本企業のうち14.7%が中堅企業、85%が零細含む中小企業であって、それらの企業について改めて勉強するために買ってきたもの。 著者は「45年ほど地域経済と中小企業を見てきた…

<子ども家庭庁>が参照すべき本

先月、大竹文雄教授の「競争社会の歩き方」を紹介した。僕にとって初耳の学問、行動経済学の入門書だった。2019年発表の本書は、その大竹教授が推薦する東大経済学部政策評価研究教育センター長山口慎太郎教授の著作。行動経済学を家庭(結婚・出産・子育て…

これも総裁選向けの出版

本書は、自民党総裁選を前にした2021年9月に出版されたもの。事実上、河野太郎候補の政権構想といっていい。DCのジョージタウン大学で学んだことや、父親洋平氏への生体肝移植のことが前半1/3を占めているが、残りは以下の点で政策論を述べている。 ・外交…

新興国・小国から見た中国

2021年発表の本書は、ルポライター安田峰俊氏が(「COVID-19」禍で海外取材が出来なくなって)これまでの取材データや海外ネットワークを使ってまとめたもの。冒頭各国の対中国感情の係数が示してある。日本は尖閣事件などあって2010年代初頭から係数が悪化…

マクロに捉えた47都道府県の産業力

2018年発表の本書は、帝国データバンクと読売新聞の中村記者による、「COVID-19」禍前の日本の産業界(景気)地図。最近デジタル政策もサイバーセキュリティ対策も東京視点だけでは不十分だと痛感させられているので、何かの参考になればと買ってきた。「ご…

闘えるようにするには

2日間に渡り紹介した書で、日本の防衛力の問題が明白になった。市民が防衛に十分な関心を持たないので、政治も行政も本気にならない。闘わないことを前提として、自衛隊は活動してきた。一部メディアや野党の反対コールに、政府全体が及び腰だ。それではど…

闘わなくてもいい軍隊ゆえ

昨日「防衛事務次官冷や汗日記」を紹介した。37年間防衛庁(後に省)の内局に努め、各幕(現場)と官邸・政治家や財務省などと「板挟み」になってきた黒木氏の経験談は、それなりの重みがあった。どの先進国にも、軍の暴走を防ぐ<シビリアンコントロール>…

シビリアンコントロールの37年

本書は「南スーダンPKO日報問題」で防衛事務次官を退いた黒江哲郎氏が、37年間の防衛省(庁)での思い出をつづった回顧録。2020年末から元防衛官僚を中心に作るサイト<市ヶ谷論壇>に掲載された記事を、2022年に書籍化したもの。基本的に防衛省もしくは中央…

「一帯一路」起点の人権

2019年発表の本書は、産経新聞で香港・北京取材が長かったジャーナリスト福島香織氏の新疆ウイグルレポート。習大人のグローバル政策「一帯一路」の陸の起点となる地域だが、ウイグル族他のイスラム教徒が多い地域に漢民族が入植を続けている。 ウイグル他の…

行動経済学の入門書

「競争と言うと、とかく日本では否定的に捉えられるが、自分の強みを見つけ社会を活性化させる機会」というのが、裏表紙の言葉。新自由主義の本かなと思って買ってきたのだが、そうではなく「行動経済学」の入門書だった。 著者の大竹文雄氏は大阪大学の教授…

パンデミック下の政治2020

本書は2020年1年間の、各国の対応状況を政治指導者に焦点をあててまとめたもの。ベルギー在住のジャーナリスト栗田路子氏が、各国の日本人ライターに声をかけて、現地の生々しい状況をレポートしてもらっている。 読んでみて、あらためて日本に入ってくる情…

B20国サウジアラビアの正体

一昨年のB20議長国だったサウジアラビア、別ブログで何度かとりあげているがデジタル屋にとっては中露と並ぶ困ったちゃんである。 行けなくて良かったかも - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com) ところが本書を読んで「国際データ流通に竿差す国」程度…

外交の勘なきは亡国

昨日元外務省分析官佐藤優著「ヤンフスの宗教改革」を紹介して、外交官には神学も必要との主張に(そこそこ)納得した。しかし一国の外交を担う者として、もっと多くの知識や教養が必要なはず・・・と思って手に取ったのが本書(2020年発表)。<外務省研修所>…

パンデミック後の「世界の知性」

本書は、以前「未来を読む」や「未完の資本主義」などを紹介した、PHP新書の「世界の知性シリーズ」。2021年発表で、いつものように、ジャーナリスト大野和基氏が世界の有識者にインタビューしたものだ。<Voice>誌に2020~2021年に連載された記事から9人…

犯罪かどうかの境目

憲法・民法・商法の裏表をわかりやすく紹介してくれたのが、弁護士ミステリー作家和久俊三の「おもしろ事典」シリーズ。実は本書(1977年発表)がその第一弾、「刑法おもしろ事典」である。作者もミステリーを書くにあたっては、殺人をはじめ重大事案を取り…

主張の9割に異論はなく

本書は2021年秋、自民党の総裁選挙を戦うタイミングで出版された、総裁候補の一人高市早苗衆議院議員の政策書。この時の総裁選には敗れたものの、党の政調会長に就任、今回の内閣改造では焦点の経済安保担当相となっている。「サナエノミクス」こと高市議員…

「基地の島・自然の楽園」の真実

僕ら夫婦も大好きな国内旅行先である沖縄、何がいいかと言うと、温暖でアロハで過ごせるところと、物価の安さ。僕は前者が、家内は後者が気に入っている。定宿のある宜野湾市は普天間基地を抱えていて、早く移転が完了してほしいと思ってもいる。 本書は2015…

BIの具体的な試算

昨日、一昨日と新しい分配の在り方についての書を紹介した。 ・井手英策「欲望の経済を終わらせる」 ・井上智洋「現金給付の経済学」 どちらもが取り上げていたのが、BI(ベーシック・インカム)の議論。前者は<維新の会>が主張するBIでは、消費税率を62%…

反緊縮加速主義の提案

本書は以前「人工知能と経済の未来~2030年雇用大崩壊」を紹介した、新進の経済学者井上智洋准教授の最新(2021年)研究。「人工知能・・・」で、AI時代にはBI(ベーシックインカム)が必要との主張をしていた筆者は、その後の「COVID-19」禍で、2030年に来るべ…

反新自由主義の研究

本書は、以前「リベラルは死なない」で旧民進党の制作ブレーンであることを示した慶應大学井手英策教授の近著(2020年発表)。著者は反新自由主義の研究者で、本来「頼り合う社会」であるはずなのに、フリードマンやハイエクらの影響で世界経済が互酬、再分…

インドの勢いと内在する課題

中国包囲網としての「QUAD」に加盟しながら、ロシアに制裁を加える米国主導のG7に背を向けて、ロシア主催の「BRICS」に加わるインド。もうじき人口で中国を抜くだろう超大国インドの動向は国際社会の注目の的だ。しかし僕自身この国のことを良く知らないので…

「COVID-19」禍半年で見られた変化

2020年7月発表の本書は、主として月刊「Voice」に掲載された15の論考(書き下ろしであったり、インタビューをまとめた)を束ねたもの。全体として何かの主張に結び着けようというものではなく、多様な分野の学者、評論家、作家、コンサルタントなどが「COVI…

経済安全保障の特集記事

このブログで「雑誌」を取り上げるのは始めて。週刊誌など、昔は<週刊ベースボール>を買っていた時期もある。空港のロビーなどで<週刊文春>を読むこともあったが、このところはまったくご無沙汰。それなのになぜ<日経ビジネス>を取り上げるかと言うと…

MI6に学ぶインテリジェンス

2020年発表の本書は、国際ジャーナリスト山田敏弘氏が、引退したスパイらにインタビューしてまとめた「インテリジェンス教本」。題名はセンセーショナルに付けてあるが、サイバー空間を含めて日本のインテリジェンス能力やリテラシー向上の方向性を示したも…

中国・韓国に毅然と対する

2020年春に出版された本書は、ジャーナリスト櫻井よしこ氏が自らキャスターとして放映した番組内容を書籍化したもの。放映時期は2019年度下期で、6章(つまり6回放送分)が収められている。放映された番組はYouTubeチャンネルで、「櫻LIVE 君の一歩が明日…

軽やかで意味深い国際情勢論

先月、めいろまさんの「日本人はなぜ世界のニュースを知らないのか」を紹介したが、2021年発表の本書は同じテーマをこのお二人の対談形式で綴ったもの。 ・藤原帰一教授 国際政治学者 ・石田衣良氏 直木賞作家 藤原教授は僕が一番信用している国際政治学者だ…

危機は人々を倫理的にする

本書は以前紹介した「世界史の針が巻き戻るとき」と同じく、ボン大学のマルクス・ガブリエル教授にジャーナリスト大野和基氏がインタビューしてまとめたもの。エマニュエル・トッド教授と同様、Global & Digitalに反対する気鋭の哲学者である。 EUに感じる違…