新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政治・経済書

国際的な反新自由主義運動

2022年発表の本書は、国際NGOで市民運動を続けてきたベン・フィリップス氏の反新自由主義運動論。地球上には種々の格差(国・地域・宗教・性別・嗜好・人種・民族等)があるが、究極的には1%のエリートが権力と富を独占し、99%の人から収奪を続けている。…

「統計王子」の政策論

2021年発表の本書は、今は立憲民主党の中堅議員となった小川淳也議員の政策論。ノンフィクション作家の中原一歩氏がインタビュー形式でまとめたもの。小川議員は旧民主党政権で総務政務官を努めたが、民進党~希望の党~無所属~立憲民主党と所属を変えてい…

「無理ゲー」としての地域活性化

2016年発表の本書は、ベテランジャーナリスト山田順氏が「地方創生の闇」を指摘したもの。僕自身20年近く(デジタル屋として)地域活性化には取り組んできたつもりだが、中央政府の「施策」では地域は元気にならないと感じていて、そのモヤモヤ感を吹き飛ば…

無限の展望があった近代の終わり

2017年発表の本書は、以前「資本主義の終焉と歴史の危機」などを紹介した経済学者水野和夫氏の未来展望論。「資本主義の・・・」で収奪するフロンティアが無くなれば、資本主義は終わる、その前兆が金利ゼロだと述べた筆者が、では未来はどうなるのかを示した書…

帝国主義プーチンの後を見据えて

2022年発表の本書は、ジャーナリスト大野和基氏が世界の知性にインタビューしてまとめたもの。PHP新書で何冊も紹介したのだが、宝島社新書からも出ていた。テーマはプーチンの戦争とその後。6名の識者に加え調査集団「ベリングキャット」創始者エリオット・…

西洋文明の行き詰まりを打破

2021年発表の本書は、何冊も紹介しているVoice編集部編の世界の賢人もの。今回は東洋の賢人たち6人が登場する。欧州の賢人たちも、西洋文明の行き詰まりは認めていて、反グローバリズムや反テクノロジー、倫理への回帰などを訴えているが、東洋の賢人たちの…

移民問題の地道な解決策

いわゆる「西側」欧米諸国を揺るがしているのは、殺到する移民・難民問題。ロシアが難民を意図してNATO諸国に送り込んで、政情不安を狙っているとも伝えられる。 もはや「兵器」と化した難民 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com) 適度に広い海で大陸と…

問題の根源は「日本人の心」

2019年発表の本書は、雇用ジャーナリスト海老原嗣生氏の日本の年金制度論。少子高齢社会になって多くの人が不安を持つ年金問題は、実は日本人の心の問題(病?)だという。年金問題が大きく取り上げられる背景は、政治闘争によるもの。それをメディアが拡幅…

勇気をもって真実を語る

本書は、派閥も無くしてニュースに取り上げられることも少なくなったのに、未だに「次の総理は誰」アンケートで3本の指に入る自民党石破茂議員の近著。<デイリー新潮誌>に2021年2月から1年間にわたって連載したコラムを、1冊の本にまとめたもの。菅~…

本書の発表から1年半

本書は、以前「令和の国防」「歴史の教訓」を紹介した元外交官兼原信克氏の近著。2022年末の出版で、内容としては紹介した両著書をなぞるものとなっている。前2作はそれなりの関心を持って読んだのだが、今年初め「正論」の会合に出席して、僕自身ちょっと…

選挙特番・国会中継に映らないこと

「パリ研修」など国会議員の外遊増に批判が集まっている。国会議員については、一般人は選挙特番や国会中継、精々政治討論番組で目にするくらいだ。その実態と課題、改善策について記されているのが本書(2022年発表)。著者の濱本真輔氏は大阪大学准教授(…

ピンチこそ構造改革のチャンス

本書は、2015年に単行本で出版されたものを、2021年に加筆されて新書版で再版されたもの。8,000億円近い赤字を出して「会社が無くなるかもしれない」との危機から、構造改革でV字回復を成し遂げたマネジメントのお話である。 といっても、本書は僕にとって…

日本型閉鎖組織の改善策

2022年発表の本書は、同志社大学政策学部太田肇教授(経済学)の日本型組織研究。筆者には、同調圧力や承認欲求に関する著書がある。本書の目的は「消極的利己主義」が日本に蔓延している現象と理由、さらに解決策を示すこと。日本型組織は、 ・行政機関や企…

自国通貨建ての国債デフォルト

昨日「強権の経済政策」でジャーナリスト軽部氏の「アベノミクス評価」を紹介したが、では日本経済をどうすべきなのかを改めて見直すために、本書(2022年発表)を買って来た。著者の田村秀男氏は元日経の記者、現在が産経新聞で論説委員などをしている。長…

やはり要諦は人事

2020年発表の本書は、ジャーナリスト軽部謙介氏の「アベノミクス」評価。先に「官僚たちのアベノミクス」(2018年)という著書があるようだが、入手できていない。2012年末の総選挙で政権に返り咲いた自民党は、以降10余年にわたって政権を維持しているが、…

海外の視点で見た「デジタル日本」

2021年発表の本書は、「ルポ貧困大国アメリカ」などを著したジャーナリスト堤未果氏のデジタル日本への警告。以下の点は僕もよく知っていて、推進側を努めているのだが、批判的な視点だとこうなるのかと驚かされた。 ・最高権力を持つ「デジタル庁」 ・政府…

そのバッジの意味は何?

2020年発表の本書は、2019年にNHKスペシャルで放映された「崖っぷち?わが町の議会」の基になったアンケート結果の分析書。日本中の地方議員(県会・市会・町村会・区会)約32,000人に選挙ややりがい、議会の在り方など17項目の質問をし、約20,000回答を得た…

無意識データ民主主義の提案

2022年発表の本書は、イェール大学助教授の成田悠輔氏(専門は非常に広範囲*1)の民主主義の将来像。資本主義と民主主義は近代社会の両輪。資本主義で経済を廻して富を(富裕層や大企業に)稼がせるが、民主主義は一人一票なので大衆の意志が反映して富が再…

過疎「地域」対策の本質論

2022年発表の本書は、地方政策に悩んできた僕に、問題の本質を明らかにしてくれたもの。著者の花房尚作氏は、鹿児島育ちで世界を見たマルチタレント。政府には過疎対策はあっても、過疎地域対策がないと喝破する。その結果「人口が減る」という現象に対応す…

地球経済のマクロ観測2022

2022年発表の本書は、元経済企画庁長官宮崎勇氏と元日銀審議委員田谷禎三氏が書き続けてきた世界経済をマクロに見た書。前作が2012年発表で、宮崎氏が2016年に亡くなってからは、田谷氏一人で改訂作業をされたという。世界経済の輪郭に始まり、貿易、金融、…

反新自由主義ならば考えて欲しい

2020年発表の本書は、財政学・環境経済学が専門の京都大学諸富徹教授の税制論。僕たちがGlobal & Digital化は当然と思っているのに、多くの知の巨人が「それによって格差が拡大したし、容認している各国政府はけしからん」と非難している書を一杯読んだ。国…

チームになれば日本人は強い

2022年発表の本書は、以前「国土と日本人」を紹介した、国交省元技監大石久和氏の近著。自然災害が多く山脈や河川で分断された、脆弱かつ不便な国土で育った日本人は、コミュニティを作るのが巧み。城壁で敵と味方を分断する、欧州の文化とは違うのだと力説…

世界を動かしているのはカネ

2005年発表の本書は、東京銀行を振り出しに国際金融の世界を巡った倉都康行氏の現代金融論。1990年代に「金融Big-Bang」というブームがあり、僕自身金融の勉強をしたとことがあって、最後にたどり着いたのが本書。デリバティブズをはじめとする金融技術が落…

昭和の因習を脱ぎ捨てよ

2022年発表の本書は、何冊か著書を紹介した成毛眞氏と実践的な経済(経営?)評論家冨山和彦氏の共著。今月のNHK日曜討論で、政府の新しい資本主義実現会議メンバーでもある冨山氏が、 「地域や労働現場の現実はこうだと言っても、官僚や大企業社長は理解し…

ゲゼルシャフトが残る日本

2022年発表の本書は、経済評論家加谷珪一氏の日本経済(社会)のそもそも論。筆者のWeb上の論説は時々参考にさせてもらっていて、論理的な思考のできる人だと思っている。書籍としては2年前に「貧乏国ニッポン」を紹介している。この書は日本が安い国になっ…

パンデミックは世界規模の実験場

2021年末発表の本書は、何冊か紹介しているジャーナリスト大野和基氏が世界の識者にインタビューした記事の集大成「世界の知性シリーズ」。元原稿は<Voice>誌に2021年3~12月に掲載されたものである。 「COVID-19」禍は、世界に大きなインパクトを与え、…

「女性初」を追求したジャンヌダルク

統一地方選挙が終わり、政界はしばしの休息に入った。岸田政権の黄金の3年間は、あと2年を残しているが、波乱要因がないわけではない。その一つが<政局の女王>ともあだ名される小池都知事。TV東京のWBS(*1)キャスターから、日本新党で政局入りし多くの…

中国・左派メディア・野党・官僚批判

2021年発表の本書は、ジャーナリスト門田隆将氏の政治書。雑誌「Will」に2014~21年にかけて連載されてきた記事を中心に再構成したもの。著者については今年初めて読んだ「正論」等によく名前の出てくる人だが、著書を読むのは初めて。読んでみると、 勇気は…

Globalization と Mondialisation

2020年発表の本書は、知の巨人エマニュエル・トッド教授の近著。「シャルリとは誰か?」でフランスの危機に警鐘を鳴らした筆者が、先進国における民主主義の危機を取り上げた著だ。もともとグローバル化(Globalization)には反対の立場で、ヒトが自由往来す…

お金の、お金による、お金のための

昨日「アメリカ大統領選、勝負の分かれ目」で、米国有権者の動向を紹介した。本書は直近(2022年)に発表された、政策や選挙にまつわるお金の話である。著者の渡瀬裕哉氏は、機関投資家やヘッジファンドなどの動向を研究するエコノミスト。本書を「米国を理…