新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政治・経済書

人間にとって経済とは何か

2016年発表の本書は、マクロ経済学者吉川洋東大名誉教授が、人口減少ペシミズムを打破する意図で書かれたもの。とかく人口減少続く日本では「失われた30年」もあって意気消沈していると、筆者には見えたらしい。 本書で筆者は、紀元前5,000年まで遡っての人…

静かな侵略「外国人土地保有」

2017年発表の本書は、産経新聞記者宮本雅史氏が、北海道や対馬などで外国資本が土地・施設・水源地・発電設備・観光資源などを買い漁っている実態を告発したもの。現在武蔵野市で外国人に投票券を認めた住民投票条例案が審議されているが、芦別市はじめ北海…

「憲法」の出発点はゼロ

先の総選挙で「改憲派」の勢力が伸び、憲法改正論議(少なくとも来夏の参議院議員選挙までに国民投票を:維新の会)が高まってきている。ただ実際には国民投票まで行くのは難しいような気もする。僕自身ずっと「改憲派」だったのだが、このところいくつかの…

自ら批判されたいと思っているモノ

以前「未来を読む」を紹介したジャーナリスト大野和基氏の、これも7人の経済学者のインタビューした「21世紀の資本主義論」(2019年発表)。前作同様AI等のテクノロジーが現在・近未来にどう影響を与えるかの、経済問題篇である。すでに地球上にフォロンテ…

対外情報機関の「夢」

昨日、政府の内側から見た「日本のインテリジェンス機関」の活動を記した書(2015年発表)を紹介した。本書はそれから4年経ち、今度はジャーナリストの目で捉えたその現状と課題である。中心になって紹介されているのは内閣情報調査室、通称「内調」。官邸…

「官僚支配」にちょっとだけ異論

本書は以前戦後経済論を紹介した元大蔵官僚高橋洋一教授の2017年の書。「森友学園」「加計学園」問題が盛り上がっていたころで、冒頭元官僚の目から見た両事件の姿が語られる。政治家の関与で不正利得を得た者がいるというメディアの論調をとりあげ、筆者は…

地方議会のお仕事

本書は岩手県知事時代「改革派知事」として鳴らし、総務大臣も務めた増田寛也氏の書き下ろした骨子を菅沼栄一郎記者(朝日新聞)が細部を詰めて出版したものである。発表は2010年、国政は民主党政権で、石原東京都知事、橋下大阪府知事というから「もう10年…

オール沖縄、タイムズ・新報

昨日、元自衛隊当幕僚長だった折木良一氏の「国を守る責任」を紹介した。2017年発表の本書は、もう少し市民目線に立った「沖縄・国防論」である。知念章氏は元防衛省職員、しかしデジタル系の技官として補給処勤務だっただけで、制服組ではない。生まれは那…

日本の「真の自立」に向けて

2015年発表の本書は、4年にわたり自衛隊TOPである統合幕僚長の任にあった折木良一氏の「平和安全保障論」。筆者の統合幕僚長在任中のほとんどは民主党政権時代であり、 ・尖閣海域での中国漁船衝突事件 ・東日本大震災と福島第一原発事故 ・震災復旧と米軍…

政治は熱量、ではどう評価する

4年ぶりの総選挙が始まろうとしている。本書は2019年の発表で、 ・元大阪府知事、大阪市長、弁護士 橋下徹氏 ・山猫総合研究所代表、国際政治学者 三浦瑠璃氏 が日本の現代政治(&政治家)について対談したもの。橋下弁護士は「維新の会」の創設者で、大阪…

ダボス人間的世界観への挑戦

紫色に光る御髪と、ドスの効いた毒舌(!)が印象に残る論客、浜矩子氏。安倍政権を「妖怪アホノミクス」とコキ下ろし、「趣味は大量飲酒」とおっしゃる破天荒な経済学者である。本書は2017年の発表、安倍政権真っただ中で、米国にはトランプ政権が誕生、欧…

Green政策の処方箋

菅内閣の基本方針は「Green & Digital」だった。現下の国際情勢における方針として異論はないのだが、どうもGreenの方は僕は苦手だ。とはいえ食わず嫌いは良くないので、少々古い(2008年発表)書だが読んでみた。発表の前には「愛・地球博」や「洞爺湖サミ…

21世紀型経済の処方箋

先日水野和夫氏の著書「資本主義の終焉と歴史の危機」を読んで、今世界で起きていることの多くが説明できる説に驚いた。要は地球上からフロンティアが消え、これを前提としていた資本主義は維持できないというものだ。 超マクロ経済学による説明 - 新城彰の…

4つの分断がむしばむ民主主義

米国バイデン政権の支持率が下落傾向、某誌などは「支持率暴落」とまで書いている。きっかけはアフガニスタン撤兵のゴタゴタなのだが、僕はいずれやらねばならぬことだから政権の決断に拍手を送っている。バイデン政権を悩ませている問題はアフガニスタンや…

この国をどうするのか!

本書は政治ジャーナリストの権化、田原総一朗氏が2019年に発表した(ある種の)回顧録。マスコミ渡世60年の筆者が、政治家・経営者・思想家・科学者などにインタビューした中で、インパクトの強かったことを28編収めたもの。前半の政治家編に、正直目からう…

ポピュリズム政治は問題だが

本書は先年亡くなった中曽根元総理の、非常に短い回顧録である。小泉内閣時代の2003年に55年以上続けた衆議院議員を引退、その翌年に本書が発表されている。「引導を渡した」小泉総理への恨み言も書かれているが、85歳まで政治の一線におられたのだから引き…

知の巨人が示す世界の潮流

2018年発表の本書は、ジャーナリスト大野和基氏が世界の知の巨人8名にインタビューしてまとめ上げた、21世紀の世界の潮流。8名とは世界的に有名な、人類生態学者・軍事史学者・人材組織論の権威・分析哲学者・経済学者・元米国国防長官・女性地位向上の活…

日本人の格差意識2010

巷間「小泉・竹中改革」が日本の格差を拡大したと言われるが、竹中教授は「小泉内閣当時にジニ係数が下がり、それ以外の時代にはずっと上がっている」と反論している。本書は竹中教授が政府を離れ、民主党政権になっていた2010年に発表されたもの。当時の日…

平壌から見る世界情勢2018

本書は2018年に発表された、ジャーナリスト柏原竜一氏の国際情勢論。「北朝鮮発第三次世界大戦」というタイトルを見てかってきたのだが、内容は「世界大戦には至らないよね」というものだ。これまで他の書や情報源から聞いている話が3/4ほどを占めるし、特に…

寿司にはシャルドネが合う・・・かな?

本書は2019年に発表された、「ゴーン事件」の内幕を日産という企業の歴史にまでさかのぼってまとめたもの。著者の井上久男氏は朝日新聞出身のフリージャーナリスト、自動車業界に詳しくゴーン被告にも何度か直接インタビューをしている。 2018年末の日産グロ…

在京6紙のスタンスと新聞の使命

本書(2014年発表)のサブタイトルにあるように、新聞各紙の報道が二極化している。その傾向は、7年経ってむしろ強まっている。朝日を筆頭に毎日・東京は政権に批判的、読売と産経は政権よりである。本書によると、日経も政権よりのスタンスだとある。当家…

正論がどこまで浸透する?

秋の衆議院議員選挙に向けて、永田町はあわただしさを増している。正直「COVID-19」感染拡大より、選挙の方が忙しい状況だ。菅政権の「五輪強行」と「COVID-19」対策への批判が集まり、公明党はもちろん自民党内からも糾弾の動きが出てきた。こうなると普通…

習政権、二期目の課題

本書は以前「巨龍の苦闘」を紹介した現代中国の研究者津上俊哉氏の、2017年発表の著書。「巨龍の」から2年を経て、米国にはトランプ政権が誕生、「Brexit」も成り国際情勢が激変したこの時期、著者は3ヵ月ほど米国に滞在し米国の視点から中国を見たという…

小さくとも光る国

まだ20世紀だったころ、米ソ両大国の狭間にあった日本について、ある政治家が「小さくともキラリと光る国」でありたいと言った。当時の日本人はまだ日本が「小国」だと思っていたのだが、人口1億人を超えていたのだから当時から「大国」の素質はあったのだ…

松沢流東京再生計画

本書の著者松沢成文参議院議員(維新の会)には、神奈川県知事時代に一度パネルディスカッションをご一緒させてもらったことがある。場所は茅ヶ崎市、テーマは東海道新幹線が相模川を渡るところに、新幹線の新駅を作ることだった。他の駅間に比べて新横浜~…

まだ「一億総中流」だったころ

本書の著者飯田経夫教授は、僕の母校で有名な経済学者。たまにノーベル賞学者がでる大学だが、全部理系。文系で有名な先生は、この人くらいかなと思う。僕の学生時代も教鞭を取っておられたのだが、僕自身は受講したことはない。サークルの同僚が、経済学部…

「COVID-19」対応に見る日本の病理

本書は感染症専門医で「ダイアモンド・プリンセス号」に乗り込んで、その実情をYouTubeに公開した岩田健太郎医師が、2020年3月に緊急出版したもの。「COVID-19」とは何かから始まり、巷間言われる感染対策のうち意味のあるもの・ないものを示したうえで、危…

CNBC "Disrupter50" に学ぶ

デジタルを始めとする先端技術が、社会を変えつつある。スタートアップ企業が価格破壊や価値創造で、業界地図を塗り替えることも珍しくない。米国のニュース専用放送局CNBCは、毎年業界構造の破壊者(Disrupter)たりうる企業50を紹介していて、本書はその20…

株式会社3.0を目指して

2017年発表の本書は、「公益資本主義」を掲げて安倍内閣からの諮問で「目指すべき市場経済システムに関する専門調査会」の会長代理を務めた経済人、原丈人氏の手になる者。著者はシリコンバレーでベンチャーキャピタリストをし、英米型の資本主義に限界を感…

「安い国」で暮らすということ

先月後半から、日経新聞が「安いニッポン」と題した連載を始めた。その主張はおおむね本書のそれに沿ったものだ。2019年末に「年収1,400万円は低所得」とする記事が出たが、IT産業らが隆盛な西海岸ではある意味当然のこと。これに反して日本は「年収1,200万…