新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

歴史小説

幕末、京都に咲いた徒花

幕末の中でもほんの一時期、京都で剣を振るい耳目を集めた剣士集団「新選組」。最大でも200名を超えたこともなく、募集・内紛・脱走を繰り返したある意味無頼な浪人の集まりであるのに、日本人の認知度は高い。これは子母澤寛の名著「新選組始末記」に拠ると…

第六天魔王の秘密

加藤廣という歴史作家は、中小企業金融公庫や山一證券を経てビジネスコンサルタントをしていたのだが、2005年75歳の時に「信長の棺」でデビューしている。信長公記の作者太田牛一を主人公に、本能寺の変の真相に迫った出色の歴史ミステリーである。 「信長の…

講談ではない「三国志」

日本人になじみのある「三国志」というのは、正史ではなく後年編纂された「三国志演義」をベースにしているものが多い。「演義」では、主人公は三国中最大の国「魏」を作った曹操ではなく、最初に滅んだ国「蜀」の劉備とその仲間たちである。 従って、劉備は…

ナポレオン軍団の内側

コナン・ドイルは、シャーロック・ホームズシリーズで「サー」の称号を貰ったはずなのだが、実は(自分より有名な)ホームズが嫌いで、SFから怪奇ものまでいろいろな作品を残した。広範な知見と好奇心を持っていたことは間違いがない。 本書は、ナポレオン…

「なっちょらん」

新政府の要である陸軍大将西郷(吉之助改め)隆盛の側で、陸軍少将に就いた桐野利秋であるが、与えられた豪邸や年俸は「身に余る」などと言うものではなかった。月給200円は、職人のそれが7円以下だったというから法外なものである。金は天下のまわりもの、…

唐芋侍、京へ行く

幕末から明治維新にかけては動乱の時代であったが、戦国時代のように大規模戦闘が頻発したわけではない。蛤御門の変、鳥羽伏見の闘い、会津戦争、函館戦争、西南戦争くらいが、正規戦と呼べるものだと思う。上野に彰義隊がこもった件にしても、佐賀の乱/神…

なぜ「太平記」なのか?

池波正太郎著「真田太平記」を読了した。週刊誌に9年間連載された大作である。最後の12巻は「霧の峰」で、大阪夏の陣の後、徳川方大名として生き残った真田信之が松代に転封されるまでを描いている。昔NHK大河ドラマ化された時も、夏の陣で真田幸村こと信繁…

火付盗賊改方

池波正太郎の3大シリーズものと言えば、「仕掛人藤枝梅安」「剣客商売」と、この「鬼平犯科帳」であろう。1967年「オール讀物」に第一作が登場してから合計132編が発表されている。火付盗賊改方長谷川平蔵とその家族や配下、密偵たちを描いた作品で、時代劇…

伊賀と甲賀

昔少年サンデーというマンガ雑誌があり、小学生の僕は「伊賀の影丸」という連載を一番の楽しみにしていた。先年事故で亡くなった横山光輝の作品としては、「鉄人28号」よりずっと好きだった。忍者というものの実像はかなり歪められていたのだが、それは子…

本能寺の変、異聞

加藤廣は2005年本書でデビューしたが、その時すでに75歳。異例の遅咲きデビューであった。とはいえ、職業を選ぶのに何歳からがいいかという話で、「バレエのプロになろうとするなら3歳でも遅い、作家ならば40歳でもいい」というのがあるから、あながち無理…