デジタル社会
2019年発表の本書は、学習院大学の法学者小塚荘一郎教授のデータ関連の法学解説。仮想通貨や自動運転などについての論文はあるが、デジタル化は法制度に極めて広い範囲で影響を及ぼし、それを概観する書としてこれをまとめるのは大変だったという。タイトル…
2022年発表の本書は、昨年惜しくも亡くなった出井伸之氏のビジネスマンに対する「応援歌」。著者には20年ほど前にお会いし、デジタル政策の文書をまとめることのお手伝いをさせていただいた。曰く「官僚に筆を持たせるな」。本書にも、企業が監督官庁を意識…
21世紀は「Data Driven Economy」の時代だが、データの活用は産業界だけのテーマではない。むしろ各国政府にとって、より大きな意味を持つ。いい意味では「Evidence Based Policy Making」のような、確とした統計データに基づく政策決定のようなこともあるだ…
2022年発表の本書は、(一財)日中イノベーションセンター主席研究員小池政就氏の中国のイノベーション事情とそれを日本がどう生かすかのレポート。日中協力・連携を進める視点で、いくつかの主張が盛り込まれている。筆者の専門は国際関係、エネルギー、技…
本書は今年「共鳴する未来~データ革命で生み出すこれからの世界(2020年)」を紹介した、慶應大学医学部教授でデータサイエンティストの宮田裕章氏の近著(2021年発表)。前著は何人かの専門家との対談を交えていたが、本書は全てが著者の手になり、より思…
2018年発表の本書は、プロ棋士王九段がAI囲碁について、開発に携わったこともある棋士の立場で、その本質を記したもの。台湾出身の筆者は13歳から日本で暮らし、剛腕の異名をとったこともあると記憶している。 自身の棋風を「ゾーンプレス型」、局地の戦いに…
2021年発表の本書は、インターネットの過去・現在・未来を「インターネットの父」村井教授と天才プログラマーと呼ばれた実業家竹中直純氏が対談したもの。 1969年に、米国の3大学の研究所をパケット通信網で結んだのが"APANET"。これがインターネットの最初…
2020年発表の本書を、今月来日したMicrosoftの友人から貰った。同社はOSというソフトウエアでPC業界を席巻しながら、スマホではAppleに敗れた。また米国政府と独禁法で争い、法律や常識の異なる各国との軋轢も経験した企業だ。今も世界を支配しようとする凶…
2021年発表の本書は、読売新聞社でIT問題を担当、情報セキュリティ大学院大学で2019年には修士号もとった記者若江雅子氏の「PF規制に霞ヶ関は何をしたのか」論。公取・総務省・経産省・個人情報保護委員会や関係する法曹界・学界の人物が多く登場するが、半…
先週、JCLUセミナーの書籍化で、米国他の政府が市民監視にインターネットを役立てているかを紹介した。本書は、逆に政治家(特に選挙)に対してインターネット経由でどのような影響が与えられるかを論じたもの。2018年の発表で、著者の福田直子氏は「大真面…
本書は、先月「スノーデン日本への警告」を紹介したJCLU(公営財団法人自由人権協会)が、スノーデンらを招いて行ったセミナーの第二弾。前著から1年、2017年のセミナーを書籍化したものである。今回大きく取り上げられていたのが「XKEYSCORE」という市民監…
2020年発表の本書は、中国経済の専門家である伊藤亜聖准教授(東大社会科学研究所)が、多くのデジタル化関連の論文を読み解き、新興国におけるデジタリゼーションの実態とその可能性&リスクを論じたもの。まず中国やインドでの先進的なデジタリゼーション…
本書は、2016年に自由人権協会(JCLU)が開催した「監視の”今”を考える」の内容を書籍化したもの。2013年に米国政府の内部情報をリークしてロシアに逃れているエドワード・スノーデンがビデオ参加し、日米の識者が彼に質問したり討論した記録である。 国家安…
昨日紹介した「ファーウェイと米中5G戦争」が、5Gのアプリケーションについては漠としたスマートシティしか取り上げていなかった、改めて本書を手に取った。同じく2019年発表で、著者は野村総研(NRI)のコンサルタント亀井卓也氏。 別ブログでは何度か申し…
本書の著者志駕晃は、本名勅使河原昭。ニッポン放送のディレクター・プロデューサをしている人。50歳を越えてミステリーを書き始め、「スマホを落としただけなのに」で「このミス大賞」の隠し玉賞を受賞している。この作品は、北川景子主演で映画化もされて…
2020年発表の本書は、慶應大学宮田裕章教授の「Data Driven Society」の解説書。筆者は、医学部医療政策・管理学教室の教授で、専門はデータサイエンス。何度かTVでお見かけし、銀髪と鋭い眼光が印象に残っている。 筆者は医学部で一番カリキュラム制約の少…
本書は先月(2022年3月)末に出版されたばかりのもの。例によって著者からの謹呈本である。著者である「国際経済連携推進センター(Cfiec)」は、半世紀前に「貿易研修センター」として設立され、通産省(当時)の指導の下で国際的なビジネス人材育成や海外…
現役時代、僕が一番長く従事したのは「新事業創出」だった。デジタル技術を使ったものに限定されていたが、今の「Global & Digital」の流れの中で多くのイノベーションを目の当たりにした。本書は「VISITS Technologies」の創業者松本勝氏が、破壊的なイノベ…
これまでいくつもの書で、AIの将来や人類への脅威を論じたものを紹介してきた。2018年発表の本書は、日経新聞社が1年かけて国内外の多くの有識者にインタビューし、シンギュラリティ(AIが人間の能力を超えたものを持つこと)の時代に向けての意見や提言を…
2018年発表の本書は、昨年「デジタル庁」発足にあたり初代TOPに推されながら、過去の事件が蒸し返されて就任できなかった伊藤穰一氏(当時MITメディアラボ所長)が、メディアラボのアンドレー・ウール研究員と共著したもの。本書は技術論ではなく、一般市民…
僕のビジネスは「Global & Digital」の追及なのだが、多くの法規がアナログ時代のまま放置され、その克服に苦しんできた。書面や印鑑を必須としたり、直接面談を求める法律の改訂はそれなりに進んでいるが、実は大きな壁となっているもののひとつが「著作権…
本書は今年9月、出版されたばかりの本。著者辻井重男教授は暗号学会の重鎮で、そろそろ90歳を迎えられるのにお元気である。ある業界団体の理事長をされていて、その団体主催のイベントに参加したところ本書をいただいた。「フェイクとの闘い~暗号学者が見…
2018年発表の本書は、インターネットメディアが従来メディアを凌駕し、その権化ともいえるトランプ大統領の誕生などの事態を受けて、ジャーナリストの津田大介氏が世に問うたもの。筆者はTV朝日などでもよく見かける、金髪のデジタルメディア論者である。 デ…
昨日TVドラマ「CSIサイバー」をご紹介したが、それを実践しているFBIと関連機関の実情を記したのが本書。2017年発表と少し古いのだが、デジタル技術を使った米国捜査機関の活動の流れを追うだけでも意味があると思って買ってきた。 さらに今日本政府で議論さ…
日本でも量子技術に関する研究を、官民連携で進めようとする協議会が設立されるという。米中対立は科学技術分野でも激しさを増していて、宇宙・通信・エネルギーなどの分野での先陣争いが急だ。その中でも次世代のコンピュータとされる量子コンピュータ分野…
今月、中国という困った隣国の高まる脅威に対して、第二次日中戦争のシミュレーションまで(2冊も!)紹介した。実際に戦端が開かれてしまえば、一介の民間人である僕に出来ることは何もない。ただその前に、かの国のデジタル事情を勉強することは可能だ。…
菅政権の目玉政策は、デジタル化と脱炭素。昨年末「トヨタ」の豊田章男社長が脱炭素に掲げられた目標の達成は容易ではないと、日本政府にクレームを付けた。僕はエネルギーや環境問題については知識が少ないのでクレームの妥当性は判断できないが、相当の危…
本書の著者、土屋大洋慶應大学教授とは何度も会合でご一緒し、どぎつい内容をユーモアたっぷりに柔らかく伝える話術に感心させられることが多い。言うまでもなくサイバーセキュリティ研究の第一人者であり、単なるテクノロジーを越えて地政学から安全保障の…
先日「闇ウェブ」を取り上げた時に、インターネットの奥深い闇のところでは、麻薬や児童ポルノ、銃器、クレジットカード番号、口座情報、ID/パスワードなどが売られていて、その支払いには「足のつかないビットコイン」が使われていることを紹介した。今日…
そもそもサイバー空間には国境がなく、明確な国際協定もないため各国の法規が通用せず「無法地帯」だという意見がある。日本の刑法・民法などは国内での問題を解決するもので、海外に殺人事件の容疑者が逃亡しても勝手に捕まえることはできない。昨今の個人…