2021年発表の本書は、立教大学教授金子勝氏の日本再生のための経済・社会論。著者は慶應大教授時代にTV番組の常連コメンテータで、僕もよく勉強させてもらった。副題にあるように安倍・菅政権批判が中心だが、ではどうすればいいかの回答は「地域分散ネットワーク社会の実現」だとある。
「COVID-19」対応、もりかけスキャンダル、自民党議員の政治資金不正などの頻発、日銀の異次元緩和の継続、仲間内資本主義の露呈等々を挙げて、危機管理も出来ずアベノミクスという大失敗をした政権だと一刀両断。アベノミクスの結果、日本経済は、
1)財政金融政策拡大:出口のないネズミ講
2)円安と賃下げ:内需不足
3)無責任体制:産業衰退
の三重苦に陥っているという。ここまではよくある批判、かといって一部の政治家が言う、MMT理論(によるバラマキ)や消費減税、ベーシックインカム導入、大企業/富裕層増税はNG。ではどうすればいいかというと、
・まずは最低賃金のUP
・ベーシックサービス
・消費減税ではなく免税
最後のものは理解できなかったが、まあありそうな話。これらに留まれば金子先生らしくないと思ったら、今は産業・技術の大転換期ゆえ3つの方針が見えるという。
1)より安い再生エネルギーへの転換(原発NO)で電気代ゼロ
2)ICTによるオンラインオフライン融合で、分散型管理システム実現
3)ヒトゲノム解読の成果を活かす、新しい産業としてのライフケア
キーワードは「分散革命ニューディール」。
・エネルギー源も地域分散(地産地消?)
・所得再分配強化の税制
・教育と研究への予算増
・官民ファンド失敗の総括
・原子力ムラと電力会社の解体
・社会保障と食、農も分散
すべきとある。その結果地域分散ネットワークが実現して、安定し成長する社会になる。うーん、分からなくはないですが「Decentralized System」は誰も制御する人はいないのですよ。平時はいいとして有事にはどうするつもりですかね?