2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧
本書が笹沢左保の「木枯し紋次郎シリーズ」の最終中編集、さらに「帰ってきた紋次郎シリーズ」もあるというが、とりあえずはこれで打ち止め。全15巻のうち、13冊は読んだように思う。どうしてもTVドラマの印象が強いので、紋次郎といえば中村敦夫の顔が浮か…
朝日新聞社は、毎秋「地球会議」という国際会議を開催して環境問題その他を議論している。2018年発表の本書は、2016・2017両年の会議に参加した世界の「知の巨人」4名の意見を編集したもの。テーマは「グローバル時代、民主主義の危機」である。4人の巨人…
本書は、松村劭元陸将補の「戦争学シリーズ」の第四作。軍事行動には「決戦」と「持久戦」があるが、そのいずれもが採れないほど劣勢であるなら、本書にあるような「ゲリラ戦」が大きな選択肢になる。筆者によると、ゲリラ戦成功の要因は9つあって、 1)カ…
1957年発表の本書は、女王アガサ・クリスティの「ミス・マープルもの」。ミス・マープルはセント・メアリ・ミード村をあまり出ることはないのだが、本書ではロンドンの北西、パディントン駅から列車で数十分の距離にある、ブラッカムプトンでの事件に巻き込…
上巻は、田所教授の地球物理学的仮説や、小野寺が操縦する深海調査船の活躍が中心だったが、下巻になると主役は日本政府に移る。最後まで名前の出てこない総理、官房長官、防衛大臣らが、田所教授らの調査結果を受けて展開する極秘の「避難計画」である。ま…
本書は日本を代表するSF作家小松左京が、足かけ9年の歳月をかけて書き上げた大作。東日本大震災&福島原発事故を目の当たりにした菅(当時)総理は、最悪5,000万人の避難を要する可能性を聞かされ、本書のタイトルを思い出したという。全800ページに及ぶ壮…
1991年発表の本書は、セーラ・ケリングものをいくつも紹介したシャーロット・マクラウドが他の12人の作家に声をかけて、クリスマスに関わる短編を書き下ろしてもらいアンソロジーとしたもの。 英米の作家ばかりだが、おおむね自らのホームグラウンドを舞台に…
このDVDは、ご存じ「ネイビー犯罪捜査班:NCIS」のシーズン8。シーズン6あたりから、メンバーの過去や家族を交えたエピソードが増えているが、それ以上にアクションやストーリーの規模は大きくなっている。また、これまで出演した登場人物が再度・再々度出…
1991年発表の本書は、アルファベット順に題名を付けてくるスー・グラフトンの「キンジー・ミルホーンもの」の第8作。キンジー自身は腕っぷしにも銃の扱いにも自信はなく、前作「探偵のG」では命を狙われてタフガイのボディガードを雇った。その男ロバート…
2021年発表の本書は、日経編集委員前田昌孝氏の現代株式市場論。「COVID-19」禍も1年が過ぎたころの出版で、個人投資家(含む予備軍)のいくつかの疑問に答えようとした書である。「老後2,000万円問題」などもあり、30年間給料の上がらない日本の労働者にと…
<外務省のラスプーチン>とあだ名された佐藤優元外交官、新自由主義を呪詛する論客法政大山口二郎教授。このお二人が対談した書というのでびっくりしたが、ほぼ15年の交流があったという。確かに主張に隔たりはあるが「政治的立場の違いは本質的な問題では…
本書は日本人の夫君を持ちカリフォルニア在住だというカレン・ブラックと、彼女が生み出したパリのセキュリティコンサルタント、エメ・ルデュックのデビュー作。上智大に学びP・D・ジェイムズの影響を受けたという作者が選んだ舞台は、なぜかパリ。サン・ルイ…
1988年発表の本書は、シャーロット・マクラウドの「セーラ&マックスもの」の第7作。ついに子供が授かったセーラとマックスの夫妻だが、相変わらずケリング一族はお騒がせを続けている。今回の中心になるのは第2作「下宿人が死んでいく」で出会って結婚し…
本書は今年「共鳴する未来~データ革命で生み出すこれからの世界(2020年)」を紹介した、慶應大学医学部教授でデータサイエンティストの宮田裕章氏の近著(2021年発表)。前著は何人かの専門家との対談を交えていたが、本書は全てが著者の手になり、より思…
デモから暴動、治安部隊の弾圧を受けても民衆の炎は消えず、革命に至る。隣国や似た環境の国での様子を見て、自国でもと革命が連鎖する。近年はSNSの普及によって、炎の燃え広がり方が激しくなった。そんな実例となったのが「アラブの春」。2011年1月のチュ…
1961年発表の本書は、直木賞作家水上勉の手になるミステリー。作者は貧しい家庭に育ち一時出家、事実上寺に預けられた。還俗後、様々な職業に就き離婚も経験、血を吐くこともあった。松本清張「点と線」を読んでミステリーに開眼し、社会派の雄となった。本…
2020年発表の本書は、第二次安倍内閣で内閣官房副長官補を努め初代の国家安全保障局次長を兼務した兼原信克氏の近代日本史概説。以前、筆者が陸海空の名将を集めて司会をした座談会をまとめた「令和の国防」を紹介しているが、本書は単独執筆。外交官として…
「本所松坂町、吉良邸に響く山鹿流の陣太鼓・・・」は忠臣蔵のクライマックスで流れる弁士の台詞。ここに出てくる「山鹿流兵法」を現代風の戦争学入門編として解説したのが本書(2003年発表)である。著者の武田鏡村氏は日本歴史宗教研究所所長で、他に「黒衣の…
本書は「本格の鬼」鮎川哲也の、星影龍三を探偵役にした短編集。事情があって光文社と立風書房で初出された4編を、改めて光文社文庫に収めたものだ。作者はクロフツ流の重厚なアリバイ崩しものを鬼貫警部を探偵役に書き、密室ものなどは星影龍三を探偵役に…
本書の著者原田宏二氏は、元北海道警警視長。1995年に釧路方面本部長で退官した後、2004年道警の裏金問題について「告白」をし、以降警察の健全化や冤罪事件撲滅に向けた運動を続けた人。安倍政権が進める刑事訴訟法の改正にあたり、警察の現場や市民生活へ…
今年から警察庁の会合のメンバーに加えてもらったことから、本書を送ってもらった。カラー刷り230ページの「重い」本である。定価は1,600円+税。今年は警察庁の中に<サイバー警察局>が新設された。内部部局としては、長官官房・生活安全局・刑事局・交通…
2021年発表の本書は、伝説のジャーナリスト田原総一朗氏の永田町考察。タイトルにあるように「自民党政権はいつまで続くのか」と思っている人は少なくない。NHK日曜討論に出ると「・・・だから自公政権は終わるしかない」と叫ぶだけの<れいわ新選組>は論外と…
以前「あっと驚く飛行機の話」の中で、第二次世界大戦での軍用機に関するコメントを紹介したが、対象が膨大なのでとても書ききれるものではない。このテーマで二冊目に紹介したいのが本書「忘れられた軍用機」である。 本書には42機の各国の軍用機が紹介され…
本書は光人社NF文庫に2015年に加わったものだが、元稿は雑誌「丸」に掲載されたもので、ほとんどを実際に操縦槓を握って命のやり取りをした人が執筆している。23編の記事の内、1編が対談、1編が編集部による「未完成機の特集」だが、取り上げられている戦…
本書は「海の架空戦記作家」横山信義が、本当に書きたいものを書いたシリーズの1作。第二次世界大戦はどう転んでも日本に勝ち目がなかったことは、何度も紹介している。それでも架空戦記作家たちは、工夫をを凝らして、 ・なんとか善戦できるように ・あわ…
20世紀の終わりごろ、TVで政治討論番組をよく見ていた僕には、自分からは遠い政党でありながら気になる政治家が2人いた。一人は先週「東電福島原発事故、総理大臣として考えたこと」を紹介した、当時社民連の菅直人議員。もう一人が社民党の保坂展人議員。…
1979年発表の本書は、アリバイ崩しの巨匠津村秀介のデビュー第三作。第五作「山陰殺人事件」で登場するレギュラー探偵浦上伸介の前には、作者は所轄の警官を探偵役に社会派ミステリーを書いていた。作者が<週刊新潮>で<黒い報告書>を連載していた事件記…
1958年発表の本書は、以前「不変の神の事件」を紹介した本格ミステリー作家ルーファス・キングの短編集。日本ではなじみの薄い作家なのだが、編集者エラリー・クイーンが、ミステリー短編集の歴史とも言うべき「クイーンの定員」を選んだうちに入っていて注…
本書も三野正洋の「小失敗」シリーズの1冊、対象はヒトラーの軍隊である。副題に「第二次世界大戦戦闘・兵器学教本」とあるように、軍事思想を中心にした日本軍篇とは異なり、兵器の開発や運用が主な話題である。ただ冒頭、第一次世界大戦に学ばなかったと…
昨日、福島原発事故の「時の総理」菅直人氏の著書で「最悪の事態を考える」ヒントをもらったことを紹介した。同じく2012年発表の本書は、「逆説の日本史」で言霊論を展開している作家井沢元彦氏の視点で見た原発事故の背景。とはいえ、その件は全体の1/3、残…