新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

業界情報

大前流、人生100年時代の計

本書は、経営コンサルタントの大前研一氏が「COVID-19」禍が始まった2020年の夏に、「個人が企業を強くする」という単行本の内容を加筆・訂正し、新書化して再出版したもの。もうじき80歳になろうという著者だが、舌鋒はますます鋭い。 テレワークに関して「…

死刑判断は法律論にあらず

2012年発表の本書は、東京地裁などの裁判官を経験して現在は弁護士である森炎氏の著書。裁判員制度施行後3年経ち、死刑判断に変化が出ていることを論考したもの。有罪・無罪だけではなく、量刑まで裁判員が決めなくてはならない。死刑判決を下すにあたり、…

ますます必要なメディア・リテラシー

昨日廣淵升彦著「メディアの驕り」を紹介して、新聞・TVの偏向報道が多くなり、市民は判断力を持たないといけないとの思いが強くなった。「メディア・・・」は2017年発表だがその1年後に、産経新聞出身のジャーナリスト高山正之氏と、NHK出身の自民党参議院議…

市民に求められる判断力

2017年発表の本書は、国際ジャーナリストの廣淵升彦氏が日本メディアの問題点を示し、市民への警鐘を鳴らしたもの。ロシアのクリミア併合などがあり、日本の報道が偏向していることが執筆のきっかけになったと思われる。今やロシア・ウクライナ紛争は「情報…

サラリーマンのサバイバル術

本書の巻末に、筆者(成毛眞)の略歴がある。1979年中大卒、メーカー、アスキーを経て1986年Microsoft入社、日本法人社長となり2000年退社。(株)インスパイアを設立して社長就任、2008年取締役創業者、となっている。僕自身も関わりを持った、同年代の企業…

「COVID-19」は何を変えたか

本書は、昨日紹介した「めいろま」さんのアドバイスVol.2。2020年末の発表で、「COVID-19」禍で世界が大きく変わった後の、日本と世界を考察している。日本でも政府の「COVID19」対応は批判を浴びた。初代担当大臣西村議員の著作の評判も悪い。しかし、筆者…

「めいろま」さんのアドバイス

2019年発表の本書は、元国連職員でイギリス人の夫君を持つ谷本真由美氏の国際情報書。筆者は「@May_Roma」のアカウントで舌鋒鋭いツイートをする人としても知られている。序章「日本人はなぜ世界のニュースを知らないのか」に始まり、日本人が知らないものと…

金正恩はスマホを使う

今年になって再三のミサイル発射を続けている北朝鮮、ロシアのウクライナ侵攻で世界の目がそちらに向いているのが気に入らないらしい。せっかく米国バイデン大統領が極東にやってきたのに、韓国・日本を訪問しオーストラリア、インドとの首脳会談もしたのに…

サスティナビリティ経営は総合格闘技

2020年発表の本書は、サスティナビリティ経営・ESG投資アドバイザーの夫馬賢治氏が、SDGsなどの目標に向けた産業界の動向や、現状の見通しをまとめたもの。サスティナビリティ経営はすでにイメージアップ戦略ではなくなり、多くのグローバル企業が本気で取…

事前捜査をする組織

本書(2004年発表)は、以前「憲法が危ない!」を紹介した鈴木邦男氏が、新右翼・合法右翼の組織である<一水会>の代表として公安警察とは永い付き合いでの経験から書いたもの。本人は1999年に代表を退き引退したつもりだったが、相変わらずマークされてい…

法曹界の中のさらに狭い世界

日本のミステリーでも、法廷ものと言えそうな作品もいくつかある。米国では陪審員制度があって、悪徳弁護士(ペリー・メイスンのことじゃないよ)が詐術で素人の陪審員から無罪評決を出させるシーンも絵になる。しかし日本ではプロの裁判官が判決を下すので…

「白い巨塔」から「ドクターX」へ

業界情報はどの分野のものでも面白いのだが、本書(2017年発表)の面白さは傑出している。筆者の筒井冨美氏は、フリーランスの麻酔科医。もともとは医大の勤務医だったが、40歳ごろフリーランスに転身している。まだ医局が権威に溢れていた「白い巨塔」の時…

NPBは活況だというが

本書の発表は2020年6月、「COVID-19」で種々のものが自粛・閉鎖に追い込まれる前に脱稿していると思われる。書写の安西巧氏は日経新聞の編集委員、企業取材が得意で、幅広い分野に見識がある。本書も日本プロ野球(NPB)を論じているのだが、主軸は経営視点…

個人の「メディアリテラシー」

今月、ネット上の誹謗中傷対策として、侮辱罪の厳罰化が閣議決定されている。これまで「30日未満の拘留か、1万円以下の罰金」だったものを「1年以下の懲役(or禁固)か、30万円以下の罰金」にするというもの。インターネットの拡散力を考えればこれでも軽…

高級料理店の裏側

2014年発表の本書は、その前年起きた「食品偽装事件」を扱っているものの、著者はそのインパクトで書いたものではないという。バナメイエビを車海老と称していたことなど、この業界には一杯あるというのだ。それよりも高級店と称する店のいくらかが堕落しき…

日本型雇用が生んだ孤独な老人

本書は2017年発表、著者の楠木新という名前はペンネームだとある。大手保険会社を2015年に定年退職、現在は楠木ライフキャリア研究所代表。就職する時、さだまさしの「関白宣言」が流行っていたとあるから、僕と同世代の人。自らの研究所でもコンサルなどし…

教育とビジネスの過渡期

2020年発表の本書は、小泉・竹中改革以降の大学組織の変貌により、若い研究者が搾取されている実態を告発したもの。著者の山田剛志氏は、大学教授と弁護士の両面を持つ人。「産学共同研究」は、国立大学を法人にした2003年から推進され、現在まで大学に流入…

「タックスヘイブン」の仕組み

2016年4月、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、パナマにある法律事務所<モサック・フォンセカ>から流出した1千万件を超えるデータを公表した。いわゆる「パナマ文書」である。この法律事務所は違法・合法すれすれの租税回避措置などを扱ってい…

日本メディア再生のヒント

2020年発表の本書は、半世紀にわたり日本を取材してきた伝説のジャーナリスト、ヘンリー・S・ストークス氏が、日本メディアの問題点を指摘した書。筆者は、 ・フィナンシャル・タイムズ ・ロンドン・タイムズ ・ニューヨーク・タイムズ の東京支社長を歴任した…

川上産業としての半導体

経済安全保障の議論の中で注目されているのが「半導体産業」。かつて日本企業の世界シェアは5割を超え「ソ連の後の主敵は日本」と米国に脅威を与えたのだが、今や半導体デバイスの生産ではシェアは1割もない。そこに世界的な半導体不足の波が来て、政府が…

遅れてきた金融対外開放

本書は発表(2019年)時、金融庁の総政局課長兼中国ディレクターだった柴田聡氏が、日中金融協力促進の持論を述べたもの。現役官僚が、この種の本を書くのは珍しいと思う。中国経済を扱った書としては、中国経済の崩壊・危機を扱ったものが8割、残り2割は…

ネットワークに潜む罠

本書は以前「闇ウェブ」を紹介した、セキュリティ集団スプラウトと代表の高野聖玄氏が、2019年に発表した「闇ウェブ」の続編。前著が普通の人は入らないインターネットの奥にある犯罪の巣窟を描いたものだったが、本書はそれを利用して社会に悪を成そうとす…

法人の検死報告集

昨年から「COVID-19」騒ぎで経営苦境にある企業は多い。しかし政府支援もあって、倒産件数は少ない。本書(2017年発表)によると、リーマンショックが落ち着き始めた2009年から日本企業の倒産件数は減少し続けている。地方の若い銀行マンなど「倒産処理をし…

都市戸籍の人達も苦労している

昨日「日本人は知らない中国セレブ消費」で、中国のプチ富裕層が何を求めているか、価値観はどうかなどを紹介した。この書は2017年のものだが、内容は全部「都市戸籍」を持っている人のこと。以前「戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊」を紹介した川島博之…

上海人の金銭感覚、2017

1週間前に別ブログでだが、上海の2年の勤務を終えて帰国した人に聞いた話を紹介した。スマホがあれば財布の要らない便利都市、みんな豊かで政府を信頼しているとのことだった。 中国都市部の今の状況 - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com) 日本での「…

小手先の変革ではなく

2017年発表の本書は、銀行をはじめとする金融機関のAI活用例を紹介し、2030年には銀行はどうなっているかを予測した書。背景にはデジタル化・AI活用で無くなると予想された職業のうち、半分近くが金融業だったことがある。この予測には当時日銀にいた友人が…

真の教育改革への第一歩

今日、海の日から高校生までの子供たちは夏休みが始まる。別に「COVID-19」のせいだけではなく、日本の教育制度は難しい面が多い。 ・大学を出ても社会人として通用しない人も多い。 ・大学の奨学金の重さに耐えかねている社会人。 ・増えすぎた大学と「水増…

ネット時代の旧メディアの姿勢

2020年発表の本書は、ニッポン放送で「OK! Cozy up!」を担当するパーソナリティ飯田浩司氏の初の著作。スポーツ中継をしたくて入社した放送会社で、制作部への配属から現場の記者、ラジオパーソナリティなどを通して、著者なりのメディアのあり方を述べた書…

新聞の劣化と週刊誌の矜持

今年初めには総務省(旧郵政省)の複数の幹部が吹き飛ばされてしまった「文春砲」、その件に限らずスクープ記事を連発しある種の人達を戦々恐々とさせていると思う。その「週刊文春」が常に目標としてきたのが「週刊新潮」、その2誌の考え方や取材方法、過…

たとえオリ/パラは無くなっても

本書の著者兵頭二十八氏の著書は、以前「こんなに弱い中国人民解放軍」を紹介している。自衛官の経験ある評論家で、戦略・戦術や関連技術、戦史にも詳しい人。2018年発表の本書は、2020年に予定されていた東京オリンピック/パラリンピックを前に、日本を狙…