業界情報
2015年発表の本書は、警察官僚で危機管理分野を担当する警察大学校の樋口晴彦教授の危機管理論。多くの危機管理の実例を示した、実践的な書だ。ただ後半は太平洋戦争や幕末の戦争指導の例が多く、あまり新味はない。それよりも前半、福島原発事故など昨今の…
2019年発表の本書は、中部医学会の重鎮齋藤英彦氏が編者となり、日本の医療技術・システムの最前線を8人の著者と共に紹介したもの。編者は名古屋大学医学部教授が長く、著者の何人かも名古屋大学と関係ある人達だ。 名古屋大学は最初に医学部・工学部が設立…
本書は今日(2023年1/30)発売されるもの。なぜそんなものを持っているのかと言うと、著者の一人から事前に貰っていたから。こういうのを「私家版」というのだっけ。テーマは「昨今リスクが急騰しているサイバー攻撃にどう備えるか」である。 サイバーセキュ…
今日は110番の日。2020年発表の本書は、キャリア警察官僚出身のミステリー作家古野まほろの警察組織紹介。ミステリーでは、○○警部や××警視が出てきて捜査の指揮を執る。ある作品には「警部補ともなれば、勝手な越境捜査くらいはできる」とあったが、これはと…
本書の著者原田宏二氏は、元北海道警警視長。1995年に釧路方面本部長で退官した後、2004年道警の裏金問題について「告白」をし、以降警察の健全化や冤罪事件撲滅に向けた運動を続けた人。安倍政権が進める刑事訴訟法の改正にあたり、警察の現場や市民生活へ…
昨日佐々木知子著「日本の司法文化」を紹介して、検挙率95%、無罪率0.1%という日本の犯罪捜査や裁判の状況をご紹介した。ゴーン被告人の肩を持つつもりはさらさらないが、これほど「超精密」な司法文化では法廷弁護士の役割は目立たない。そこで検察から見…
あえて題名は言わないが、TVの検察ものドラマを見ていて「ちょっと外れすぎ」だと思った。確かに「型破りな検事が・・・」と宣伝されているが、いくらなんでも日本の検察官には見えない。そこで10余年前に読んだ本だが、本書(2000年出版)を本棚から出してきて…
本書の著者中村仁一氏は、特別養護老人ホームの「配置医師」である。この見慣れない肩書は、行政用語で老人ホームに常勤する医師の事らしい。筆者は本書執筆の時点(2011年)で、すでに12年も社会福祉法人「同和園」でこの職にある。医師の世界には本来ラン…
普段、本屋と言えばBOOKOFFしか行かない僕だが、この日丸の内オアゾの書店にふらりと入った。雑誌コーナーを見ると、懐かしい軍事史もの(歴史群像)が健在だった。その隣にあったのがこれ。発行社は(株)ジャパン・ミリタリー・レビュー、発刊1966年。50年…
本書は、ちょうど「東京オリ/パラ」の1年延期が決まった、2020年5月に発表されたもの。著者の後藤逸郎氏は、毎日新聞で<週刊エコノミスト>編集などに携わったジャーナリスト。「オリンピック・マネー」という題名通り、このイベントにまつわるカネ・利…
あまりTVは見ないから知らないのだが、TBS系の人気番組に「クレイジージャーニー」というものがあった(2015~19年)そうだ。紀行バラエティ番組なのだが、世界の通常の旅行者が行かない様な所を巡る旅人をスタジオに呼び、その体験談を語ってもらうものだと…
2016年発表の本書は、建築家森山高至氏が自戒を込めて建築業界の課題を公表したもの。冒頭、東京オリ/パラのための新国立競技場の話が出てくる。一旦採択されながら廃案となったザハ・ハディド案は、そもそも建設不能だったという。彼女は「Unbuilt Queen」…
昨日「データ・リテラシー」のメディア論を紹介して、ジャーナリズムのあるべき姿として権力者などの知られたくないことを暴く<アカウンタビリティ・ジャーナリズム:調査報道>について勉強した。これはジャーナリズムの本来あるべき姿なのだが、労力もリ…
2020年発表の本書は、フリージャーナリストであるマーティン・ファクラー氏のメディア論。筆者はAP通信やNYタイムズの東京支局長を20年に渡って務め、日米のメディア業界に精通している。 第四次産業革命の時代、重要なのはデータであるが、データの改ざんも…
2019年発表の本書は、激化する米中対立のなかでヤリ玉に挙がった中国企業(特にHuawei)と、5Gを巡る各国の思惑をレポートしたもの。著者の近藤大介氏は講談社の中国支社長を経験したジャーナリスト。深圳を始めとする、中国デジタル産業の内懐に入ったルポ…
本書は、経営コンサルタントの大前研一氏が「COVID-19」禍が始まった2020年の夏に、「個人が企業を強くする」という単行本の内容を加筆・訂正し、新書化して再出版したもの。もうじき80歳になろうという著者だが、舌鋒はますます鋭い。 テレワークに関して「…
2012年発表の本書は、東京地裁などの裁判官を経験して現在は弁護士である森炎氏の著書。裁判員制度施行後3年経ち、死刑判断に変化が出ていることを論考したもの。有罪・無罪だけではなく、量刑まで裁判員が決めなくてはならない。死刑判決を下すにあたり、…
昨日廣淵升彦著「メディアの驕り」を紹介して、新聞・TVの偏向報道が多くなり、市民は判断力を持たないといけないとの思いが強くなった。「メディア・・・」は2017年発表だがその1年後に、産経新聞出身のジャーナリスト高山正之氏と、NHK出身の自民党参議院議…
2017年発表の本書は、国際ジャーナリストの廣淵升彦氏が日本メディアの問題点を示し、市民への警鐘を鳴らしたもの。ロシアのクリミア併合などがあり、日本の報道が偏向していることが執筆のきっかけになったと思われる。今やロシア・ウクライナ紛争は「情報…
本書の巻末に、筆者(成毛眞)の略歴がある。1979年中大卒、メーカー、アスキーを経て1986年Microsoft入社、日本法人社長となり2000年退社。(株)インスパイアを設立して社長就任、2008年取締役創業者、となっている。僕自身も関わりを持った、同年代の企業…
本書は、昨日紹介した「めいろま」さんのアドバイスVol.2。2020年末の発表で、「COVID-19」禍で世界が大きく変わった後の、日本と世界を考察している。日本でも政府の「COVID19」対応は批判を浴びた。初代担当大臣西村議員の著作の評判も悪い。しかし、筆者…
2019年発表の本書は、元国連職員でイギリス人の夫君を持つ谷本真由美氏の国際情報書。筆者は「@May_Roma」のアカウントで舌鋒鋭いツイートをする人としても知られている。序章「日本人はなぜ世界のニュースを知らないのか」に始まり、日本人が知らないものと…
今年になって再三のミサイル発射を続けている北朝鮮、ロシアのウクライナ侵攻で世界の目がそちらに向いているのが気に入らないらしい。せっかく米国バイデン大統領が極東にやってきたのに、韓国・日本を訪問しオーストラリア、インドとの首脳会談もしたのに…
2020年発表の本書は、サスティナビリティ経営・ESG投資アドバイザーの夫馬賢治氏が、SDGsなどの目標に向けた産業界の動向や、現状の見通しをまとめたもの。サスティナビリティ経営はすでにイメージアップ戦略ではなくなり、多くのグローバル企業が本気で取…
本書(2004年発表)は、以前「憲法が危ない!」を紹介した鈴木邦男氏が、新右翼・合法右翼の組織である<一水会>の代表として公安警察とは永い付き合いでの経験から書いたもの。本人は1999年に代表を退き引退したつもりだったが、相変わらずマークされてい…
日本のミステリーでも、法廷ものと言えそうな作品もいくつかある。米国では陪審員制度があって、悪徳弁護士(ペリー・メイスンのことじゃないよ)が詐術で素人の陪審員から無罪評決を出させるシーンも絵になる。しかし日本ではプロの裁判官が判決を下すので…
業界情報はどの分野のものでも面白いのだが、本書(2017年発表)の面白さは傑出している。筆者の筒井冨美氏は、フリーランスの麻酔科医。もともとは医大の勤務医だったが、40歳ごろフリーランスに転身している。まだ医局が権威に溢れていた「白い巨塔」の時…
本書の発表は2020年6月、「COVID-19」で種々のものが自粛・閉鎖に追い込まれる前に脱稿していると思われる。書写の安西巧氏は日経新聞の編集委員、企業取材が得意で、幅広い分野に見識がある。本書も日本プロ野球(NPB)を論じているのだが、主軸は経営視点…
今月、ネット上の誹謗中傷対策として、侮辱罪の厳罰化が閣議決定されている。これまで「30日未満の拘留か、1万円以下の罰金」だったものを「1年以下の懲役(or禁固)か、30万円以下の罰金」にするというもの。インターネットの拡散力を考えればこれでも軽…
2014年発表の本書は、その前年起きた「食品偽装事件」を扱っているものの、著者はそのインパクトで書いたものではないという。バナメイエビを車海老と称していたことなど、この業界には一杯あるというのだ。それよりも高級店と称する店のいくらかが堕落しき…