新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

犯罪小説

Global TAX Warfare

いわゆるGAFAのような企業が税金を十分に払っていないという指摘は昨年急に脚光を浴びてきて、フランスなどは(ルクセンブルグにEU本社のある某社に)独自の課税をすると息巻いている。EU内のサービス提供は、どこかの加盟国で税金を払えばいいはずなのに・・・…

カジノ船という要塞

ドナルド・E・ウェストレイクは作風の広い作家でユーモア色の強いものから、本書「悪党パーカー」もののようにリアルを追求したものもある。すでに2作ほど紹介しているこのシリーズ、恋人(というより情人?)クレア以外は決まったレギュラーがおらず、パー…

東大法学部の4人

高木彬光は後年の「検事霧島三郎」シリーズが有名だが、デビュー作「刺青殺人事件」(1948年)は怪奇なテイストの本格密室ものだった。その後東大医学部の神津恭介を探偵役にしたシリーズで本格ミステリーを書き続けていたが、社会派ミステリーへの転機とな…

等身大の女性制服警官

本書の作者であるローラ・リン・ドラモンド自身、制服警官であったが事故で警官として勤務が難しくなり大学で学び直した後、作家に転じている。彼女は、自分自身の経験から等身大の女性制服警官を描いた。とかくミステリーでは、警官は素人名探偵や殺人課の…

プライバシー危機、2014(後編)

シンシアはロンドン在住、物語の前半はイギリスで展開するが、ゼロの一人と思しき男がウィーンのWiFiスポットで確認され、シンシアはITに詳しいインド人チャンダーと現地へ向かう。ウィーンの地下水道でゼロのひとりと接触したシンシアは、フリーミー…

プライバシー危機、2014(前編)

僕は日EU政策対話などを通じて、欧州の個人情報保護についていろいろ議論を重ねてきた。欧州各国(全部ではない)のプライバシー保護に関する意識の高さに病的なほどだと驚いた。意識というよりは危機感であって、かつてナチスに支配された国で特に顕著だ…

切り裂きジャック事件の新解釈

1988年ロンドンのイーストエンドの一角で、娼婦が次々に殺される事件が発生した。顔を切り刻んだり内臓を取り出して並べたり、凄惨な連続殺人事件である。人々はこの犯人を「切り裂きジャック」と呼んで恐れた。結局3カ月足らずの間に少なくとも5名の被害…

ドイツの犯罪文学

ドイツのミステリーというのは、過去に1冊しか読んだことがない。ただ最近は、創元社などが少しづつ翻訳して出版している。本屋大賞というものがあって、ある意味書店のキャンペーンのようなものだが、翻訳小説部門があるのを初めて知った。本書は、2012年…

寡作の鬼才

アイラ・レヴィンという作家がいる。足掛け50年間に、7作しか書かなかった。恐らく日本では、そのうちの2作しか知られていないだろう。 ・死の接吻 A Kiss Before Dying 1952年 ・ローズマリーの赤ちゃん Rosemary's Baby 1967年 しかし、この2作とも尋…