犯罪小説
本書は、以前「ロウフィールド館の惨劇」や「殺す人形」を紹介した、英国の心理サスペンス作家ルース・レンデルの1979年の作品。作者には本格ミステリーのウェクスフォード警部シリーズがあるが、総じてノンシリーズの皮肉なサスペンスものに定評がある。 今…
1961年発表の本書は、「女王陛下のユリシーズ号*1」でデビューした冒険小説作家アリステア・マクリーンの犯罪小説。初期のころには巨大な敵と戦う話が多かったのだが、このころから敵が小物になる傾向がある。後年の「麻薬運河*2」は、警察小説になってしま…
1969年発表の本書は、巨匠エラリー・クイーンの犯罪小説。デビュー40周年にあたり、初めてエラリーが登場しない冒険作品(*1)を発表したものだ。舞台は田舎町ニュー・ブラッドフォード。湖畔のリゾートもある牧歌的な町で、製紙会社の経理担当が殺され、24,…
本書は、初めて紹介する英国作家ミネット・ウォルターズが、1999年と2006年に発表した中編2編を収めたもの。英国では「現代のミステリーの女王」と呼ばれていて、邦訳も創元社から10冊以上出ているのだが、ずっと縁がなかった。華麗な推理というものではな…
1990年発表の本書は、アンドリュー・ヴァクスの<前科27犯の探偵バークもの>の第五作。前作「ハード・キャンディ」で最強の敵ウェズリィを倒し(正確には自滅させ)たバークだが、ウェズリィは背後霊のようにバークに憑りついている。何かの折に、ふと彼の…
1955年発表の本書は、「見知らぬ乗客」や「殺意の迷宮」を紹介したパトリシア・ハイスミスのサスペンス小説。原題は「The Talented Mr. Ripley」なのだが、本書を原作にルネ・クレマン監督がアラン・ドロン主演で映画化したため「太陽がいっぱい」の邦題でず…
1989年発表の本書は、「ブルー・ベル」に続くアンドリュー・ヴァクスの<バークもの>の第四作。次々に新しい敵、それも強力な敵が登場するのが、この種のシリーズものの宿命だが、今回バークが対峙するのは悪魔も同然の恐怖の殺し屋ウェズリイ。 このシリー…
1988年発表の本書は、以前「凶手*1」などを紹介したアンドリュー・ヴァクスの<無免許探偵バークもの>。「フラッド」「赤毛のストレーガ」に続く、バーク登場作品の3冊目。解説を「○○の壁」の養老孟司氏(!)が書いていて、「凶手」がヴァクス作品の要約…
1985年発表の本書は、以前「赤毛のストレーガ」や「凶手」を紹介したハードボイルド&ノワール作家、アンドリュー・ヴァクスのミステリーデビュー作。「おれ」ことバークは、前科27犯の無免許私立探偵。あらゆる犯罪や人種がごっちゃになっている、ニューヨ…
2017年発表の本書は、昨年第二作「そしてミランダを殺す」を紹介したピーター・スワンソンの第三作。今度は登場人物の独白形式ではないが、複数の登場人物の視点で物語がすすんでいくことは同じ。時々時間が溯って、例えばケイトの経験したことをアランの視…
これまで幾多のアリバイ崩しもの「伸介&美保シリーズ」を紹介してきた津村秀介は、かつては<週刊新潮>の記者/ルポライター。同誌で「黒い報告書」の連載を担当していたという。<週刊広場>で「夜の事件レポート」担当の浦上伸介と作者とは、まさに表裏…
2017年発表の本書は、志駕晃のデビュー作。<このミス大賞>の15回隠し玉賞を受賞した作品で、以後続編(*1)が発表されている。作者は当時ニッポン放送の開発局長、番組プロデュースなどを手掛けてきた中で、ラジオの番組作りで「情報に対するセンス」を養…
2015年発表の本書は、マサチューセッツ在住の作家ピーター・スワンソンの第二作。デビュー作「時計仕掛けの恋人」もジェットコースターのような展開が話題を呼んだが、作者は本書で一躍注目されるようになった。 各章に登場人物の名前がついていて、その章は…
本書は多芸な才人ドナルド・E・ウェストレイクが、リチャード・スターク名義で書いている「悪党パーカーもの」。1962年に「人狩り」でデビューした犯罪者パーカーものは、1974年の「殺戮の月」を最後に発表されていなかった。それが23年のブランクを経て1997年…
今年になってようやく見つけた「泥棒バーニーもの」を、2冊紹介しているローレンス・ブロック。シリーズ長編も面白いが、特徴がより顕著なのが数ある短編。ハヤカワが独自に短篇集を企画していて、第一集「おかしなことを聞くね」は以前紹介した。今回、第…
本書は、以前「闇に踊れ!」を紹介したスタンリイ・エリンの代表的な短篇集。1946年執筆の傍らEQMM誌の編集に追われていたエラリー・クイーンは、新人作家の短編「特別料理」に舌鼓を打った。編集者としては、大家の書き下ろしも重要だが、新人作家のデビュ…
本書(1953年発表)は、フランス暗黒文壇の大御所オーギュスト・ル・ブルトンのデビュー作。ただ日本では作者の作品は、「シシリアン」「無法の群れ」の2作品しか出版されていない。本書も2003年になって、ようやくハヤカワ・ポケミス>に加わっている。 1950…
本書は2015年にノルウェーで発表された犯罪小説、作者のジョー・ネスボもオスロ在住のサスペンス作家だ。作者は2000年代から、児童向けの<Dr.プロクターもの>や一般向けの<刑事ハリー・ホーレもの>を書いている。 本書の舞台は1977年クリスマス前のオス…
1993年発表の本書は、昨日「赤毛のストレーガ」を紹介したアンドリュー・ヴァクスの「バークもの」とは別のシリーズの第一作。「バークもの」は合計6作を数えたが、解説によると「赤毛・・・」以降、ヒステリックになって幼児虐待などが目立ち、本来シリーズ化…
1987年発表の本書は、アンドリュー・ヴァクスの「私立探偵バークもの」の第二作。デビュー作「フラッド」は入手できていない。バークは、前科27犯で免許もない私立探偵である。ハードボイルドというには闇の世界に近すぎるが、犯罪小説というには矜持があり…
SF「アンドロメダ病原体」から、ミステリー「サンディエゴの12時間」、ノンフィクション「5人のカルテ」まで、才人マイクル・クライトンの諸作をこれまで紹介してきた。1975年発表の本書は、ドキュメンタリータッチの歴史ミステリーである。蒸気機関で機動…
1942年発表の本書はハドリー・チェイス作で、昨日紹介した「ミス・ブランディッシの欄」の続編。発禁になった前作から4年だが、ストーリーとしては20年が経過している。牛肉王の娘ミス・ブランディッシは、ギャング団の殺し屋スリムに監禁され数ヵ月を過ご…
1938年、本書が発表されると英国ミステリー界は騒然となった。作者ハドリー・チェイスは本書がデビュー作、この後多くのバイオレンス・犯罪小説を世に送る。米国のギャングなど無法者ばかりが登場する小説が、ついに大英帝国でも発表されたのだ。しかも本家…
昨日、ペーパーバックライター出身の作家ジョン・D・マクドナルドの初期の作品「ケープ・フィアー」を紹介した。米国では有名な作家なのだが、日本では知る人は少ない。本書(1960年発表)は中期の秀作で、創元社が最初に作者の作品を邦訳したものである。 冒…
1947年発表の本書は、「幻の女」などで高名なサスペンス作家ウィリアム・アイリッシュ(別名:コーネル・ウールリッチ)の作品。熱烈なファンの多い作家で、その哀愁を帯びたサスペンスは他の追随を許さないほどの「高み」にある。徹底して犯罪の中の男女の…
1972年発表の本書は、デビュー作「やとわれた男」や悪党パーカーシリーズを紹介しているドナルド・E・ウェストレイクの、パーカーものとは違うシリーズの1作。これも犯罪者が主人公で、カネの話が中心になるのだが、パーカーものよりはすこしユーモラス。あと…
1994年発表の本書は、ニック・ガイターノのデビュー作。作者についてはシカゴ在住である以上の情報はほとんどなく、手慣れたストーリー展開などからすでに成功を収めた作家の別名義での発表ではないかとも言われている。 原題の「Special Victims」というの…
ローレンス・ブロックという作家にはシリーズものが3種あって、以前何作か紹介したマット・スカダーものが17冊翻訳出版された以外は、泥棒バーニイものも怪盗タナーものも書店で見かけない。ただ米国ではサスペンス小説で名の通った作家である。マットもの…
1956年発表の本書は、フランス作家ノエル・カレフの代表作。作者は同年に「その子を殺すな」でデビュー、パリ警視庁賞を受賞している。本書は翌年にはルイ・マル監督で映画化もされ、今となっては映画の方が有名かもしれない。さらに1958年には、創元社が邦…
2000年発表の本書は、カンザス州ウィチタ生まれのスコット・フィリップスのデビュー作。作者は現在南カリフォルニア在住とのことだが、この作品の舞台もやはりウィチタだ。地図を見るとテキサス州の北、米国のアラスカ・ハワイを除く国土のちょうどど真ん中…