新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

架空戦記

護衛艦「ふゆづき」の海賊狩り

本書は海上自衛隊護衛艦艦長、幹部学校教官、護衛隊司令、総監部防衛部長などを歴任した渡邉直が、ミリタリーマガジンの携帯サイトに連載していた「南海の虎ー小説海賊物語」を文庫出版したものである。時代は20xx年となっているが、登場する艦艇から見て202…

長距離戦闘機の価値

今や警察小説作家となった佐々木譲。1979年「鉄騎兵、飛んだ」でデビューして後、その名を有名にしたのが本書から始まる第二次世界大戦秘録3部作である。元は本田技研に勤めていて、F-1プロジェクトで知り合ったエンジニアに零戦の設計に携わった人がいたと…

関東軍の謀略

檜山良昭という作家は、1980年前後に第二次大戦をテーマにした歴史ものを書いた人である。いわゆる「架空戦記」も多いのだが、「とんでも架空戦記」まではいかない、あり得た歴史ものが中心だったと思う。本書も1983年発表で、当時はやっていた史実を無視し…

漸減要撃作戦で始まったが

横山信義の何作目(もう数えられない)の第二次世界大戦、日米対決ものである。「八八艦隊物語」以降、よく同じテーマで数冊の連続ものを書けると思うのだが、読んでしまう方(僕のこと)もどうかしている。今回はBook-offで数カ月かけて買い溜めておいた、…

ドイツ作家の描く太平洋戦争

作者のハンス=オットー・マイスナーは、ドイツ第三帝国の外交官。第二次欧州大戦が始まる1939年まで、東京で勤務した経験がある。帰国後は、対ソ連の東部戦線で機甲部隊の中尉として戦っている。そんな人が、独ソ戦を書くならともかく、太平洋戦争を書いた…

見捨てられた愛国者

第二次世界大戦の後世界の頂点にたったアメリカ合衆国が、つまづいた最大の事件がベトナム戦争である。もともとフランスの植民地であったベトナムは、大戦後独立気運が高まり共産国に支援されたホー・チ・ミンが勢力を伸ばしていた。旧宗主国のフランスを追…

空の架空戦記

横山信義を海の架空戦記作家とするなら、こちらは空の架空戦記作家と呼ぶべきかもしれない。第二次世界大戦をベースに、少しアイデアを盛り込んでIFの世界を描くという共通点がある。いずれも、20年ほど前に気楽に読んだものである。じゃあ陸の架空戦記作…

大艦巨砲主義

1920年代、世界のビッグセブンといわれた戦艦は7隻。日本の長門級(長門・陸奥)、米国のコロラド級(コロラド・メリーランド・ウェストバージニア)、英国のネルソン級(ネルソン・ロドネイ)である。40cm級の主砲を持った7隻ということだった。戦艦が最…

ヨークタウンは三度死ぬ

太平洋戦争勃発当時、アメリカ海軍は7隻の大型空母を持っていた。巡洋戦艦改装の「レキシントン」と「サラトガ」、旧式になりはじめていた「レンジャー」、新鋭艦の「ヨークタウン」、「エンタープライズ」、「ホーネット」。これにやや小型の「ワスプ」で…

Marche ou mort / March or die

第二次大戦であまりにもあっけなく降服してしまったので、フランスは「戦争に弱い国」という印象があるかもしれない。しかし、大陸制覇に一番近づいたのは、1800年過ぎのフランス皇帝ナポレオンである。グラン・ダルメ(大陸軍)を率いてイベリア半島・地中…

歴史群像大賞の成果

「戦略・戦術・戦史Magazine」というのが、歴史群像という雑誌のコピーである。戦史マニアのNINJAとしては、非常に興味のある雑誌で実際10年あまり買い続けた。そのうちに「なんとなくワンパターンかな」と思うようになって、最近は買っていないが、バック…

日米戦最良の戦略(後編)

ミッドウェイを占領したとして、問題になるのはその基地維持のための補給である。ミッドウェイに一式陸攻などを配備すればハワイ・オアフ島は空襲圏内に入る。これを護衛する長距離戦闘機(零式艦上戦闘機)も日本海軍にはあった。 しかし一方、オアフ島には…

日米戦最良の戦略(前編)

横山信義はもともと本田技研のエンジニア、大鑑巨砲主義の作家と呼ばれ1992年「鋼鉄のリヴァイアサン」でデビューしている。第二次世界大戦の海戦を中心にした架空戦記を多く発表し、僕はこの種の作家としては比較的真っ当なアプローチをしている人だとと思…

貴族たちの戦争

イギリスは、階級社会だ。21世紀に入っても、通うスーパーマーケットによって階層が分かるらしい。妙な話だが、言葉も違うという。昔から"King's English" というのがあって、これが貴族の言葉だろう。では庶民は何を話すのか?あまり経験がないので何とも言…