スパイスリラー
コートの接近を知ったヤコは、強引に予定を早めて女たちを船に乗せた。その中にやはりタリッサの妹ロクサナがいた。組織のTOPであるケイジは、以前ロクサナに言い寄ったことがあり、この絶世の美女をモノにしたいと思っていた。ルート上の者たちには、彼女を…
2020年発表の本書は、マーク・グリーニーの<グレイマンもの>第9作。これまで三人称で語られていた主人公コート・ジェントリーの行動だが、本書は一人称で書かれている。冒頭、ボスニア紛争当時の悪漢を狙うシーンで、これまでとは異なったサスペンスを感…
1991年発表の本書は、3ヵ月連続紹介してきたフレデリック・フォーサイスの<騙し屋4部作>完結編。聴聞会はサム・マクレディに同情する声も上がり始めていたが、最後に紹介された件は、彼がカリブ海にある英領バークレー諸島の独立騒動の折にとった意表を…
本書は、フランスのスパイ小説作家ピエール・ノールのWWⅠもの。激戦地ソンムの(ドイツから見て)背後にある町サン=コランタンは、ドイツ軍の占領下にあった。占領軍司令官ニーデルシュトフ大佐がプロシア貴族(伯爵)で、戦果には満足しているものの、プロ…
1991年発表の本書は、フレデリック・フォーサイスの<騙し屋シリーズ>第三作。これまでの2作品で卓越した諜報能力を示したサム・マクレディだが、その能力について「将来も必要だろうか?」と疑問を投げかけられている。聴聞会の弁護役は、ならばと第三の…
本書は、冒険小説の雄ジャック・ヒギンズが、以前紹介した「審判の日」と同じ2000年に発表したもの。「審判の日」同様、英国首相の私的軍隊ファーガスン少将(准将から昇進)、ショーン・ディロン、バーンスタイン警視のトリオと、米国大統領直属のブレイク…
1991年発表の本書は、フレデリック・フォーサイスの<騙し屋マクレディもの>第二作。冷戦が終わり秘密情報部(SIS)の整理にあたり、スケープゴートにされそうなサム・マクレディは、前作「騙し屋」でソ連軍の戦闘序列マニュアルを取得したことを成果として…
2001年発表の本書は、これまで「千年紀の墓標」から「細菌テロを討て!」まで4作を紹介した、トム・クランシー&マーティン・グリーンバーグ共著の<アップリンク社もの>の第5作。このシリーズは8作発表されていて、あと第6作だけが未入手。 今回の主な…
1972年発表の本書は、冒険小説の雄ジャック・ヒギンズ初期の作品。IRA指導者に率いられた一隊が、英国の輸送船を襲い50万ポンド相当の金塊を奪ったことから物語が始まる。作者の作品の常連で諜報機関の元締めファーガスン准将は、銃器密輸の容疑で拘束されて…
1991年発表の本書は、フレデリック・フォーサイスのエスピオナージ。「騙し屋4部作」の第1作で、ずっと探していたものだ。第2~4作はすでに本棚にあるので、今月から毎月1冊紹介していきたい。 サム・マクレディは英国秘密情報部SIS(*1)のベテラン諜…
1966年発表の本書は、読売新聞の特派員から作家に転じた三好徹のスパイスリラー。日本のミステリーで欧米に後れを取るとしたら、この分野だろう。太平洋戦争前は当然のこと、戦後になってもスパイものはあまり書かれなかった。しかし作者は、特派員だった経…
1975年発表の本書は、昨年末2冊紹介したサイモン・クインの<ヴァチカンの殺さないスパイもの>第三作。元CIAで法皇に直接仕える異端審問官のキリーは、ローマから消えたネリー司教の後を追ってチューリッヒにやってきた。 司教のアパートには高価な調度や…
1980年発表の本書は、冒険小説の雄ジャック・ヒギンズのノンシリーズ。主人公はクレタ人のピアニスト、そして殺し屋のジョン・ミカリ。ギリシアの名家の出身だが幼くして両親を亡くし、大物の祖父に育てられた。3歳の頃からピアノに才能を発揮するが、20歳…
1980年発表の本書は、スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの<スマイリー三部作>の完結編。デビュー作「死者にかかってきた電話」以降、作者の作品によく登場した中年スパイであるジョージ・スマイリーが、ついに宿敵カーラとの決着を付ける。 三部作第一作で…
スマイリーは解雇された要員の内から何人かを復職させたのだが、その中にサム・コリンズという男がいる。抜け目のない男で、コウ兄弟らの件についても役に立つのだが、スマイリーは信頼できない部分があると思っている。前作でのモグラの息が掛かっている可…
1977年発表の本書は、先月紹介した「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」に続くジョン・ル・カレ<スマイリー三部作>の第二作。作者の最高傑作との評価され、英国推理作家協会賞も受賞した900ページを越える巨編である。 前作で英国諜報部<サーカ…
2020年発表の本書は、これまで「スマホを落としただけなのに*1」「同囚われの殺人鬼*2」を紹介した、志駕晃のサイバーサスペンス。全2作の続編で、ハッカー浦井、刑事桐野だけでなく、最初の被害者だった富田麻美らも登場する。 初登場は、電力会社の子会社…
「砂漠の嵐作戦」に参加した陸軍特殊部隊員だったダンカンも、すでに50歳を越え血友病に悩んでいる。心身ともに追い詰められた中で、ジンドルクが仕掛けるテロを未然に防がなくてはならない。オージーは、ジンドルクの戦力はサイバー空間では凄まじいが、リ…
2018年発表の本書は、第42代米国大統領ビル・クリントンと「ナッシュビルの殺し屋」でデビューし総売り上げ3億部をほこるベストセラー作家ジェイムズ・パタースンが共著した政治スリラー。クリントン元大統領は学生時代からスリラー好き、いつかは書いてみ…
1974年発表の本書は、昨年「寒い国から帰ってきたスパイ」を紹介した、英国スパイスリラーの巨匠ジョン・ル・カレの<ジョージ・スマイリーもの>。スマイリーは50歳代で、小太り短足のベテラン諜報員。「寒い国・・・」にも脇役で登場していたのだが、本書に始…
MI5のプレストンは、ついに国防省高官で情報漏えいをしていた者を特定した。しかし彼は、友好国南アフリカの外交官に操られていただけだった。南アに飛んだプレストンは、この停年間際の外交官の素性を洗うために、南アじゅうを走り回る。 外交官はWWⅡでドイ…
1984年発表の本書は、「King of Story Teller」フレデリック・フォーサイスの<政治スリラー>。今年「戦争の犬たち」を紹介しているが、それは軍事スリラーではあるが発展途上国の独裁者を倒す話と、金融市場での陰謀がからみあっていた。本書はさらに政治…
1986年発表の本書は、冒険小説の雄ジャック・ヒギンズの「D-Day秘話」。多くの作家が取り組むテーマだが、「鷲は舞い降りた」をはじめとする歴史冒険小説を得意とし、リアリティにこだわる作者ゆえなかなかの傑作に仕上がっている。 舞台となるのは、ドーバ…
以前レン・デイトンのリアルなスパイもの<バーナード・サムソン3部作(*1)>を紹介した。三作目「ロンドンマッチ」でシリーズは終了したと思ったのだが、実はその後3作が発表され、さらに1990年の本書で「7部作完結」となっていた。3部作はベルリンの…
2010年発表の本書は、ウィリアム・ピーター・ブラッティのスパイスリラー。この作家の名前は知らなかったのだが、映画「エクソシスト」の原作者(1971年)とある。他にユーモア小説も発表しているが、根底にあるのは宗教観だと解説にある。宗教への関心が「…
1994年発表の本書は、以前デビュー作「警察署長」を紹介したスチュアート・ウッズのスリラー。アメコミ誌風の表紙で損をしているが、秀逸なサスペンスミステリーである。妻を亡くし一人娘のキャリーとも引き離されて服役しているウォーデンは、元DEAの麻薬取…
1995年発表の本書は、いくつも紹介してきたジャック・ヒギンズの<ショーン・ディロンもの>。以前「悪魔と手を組め」でのディロンが一番いいと評したのだが、本書はディロン以外の登場人物もみんな格好いい。全体として、一番好きな作品である。 北アイルラ…
2020年発表の本書は、長くヤングアダルト向けのアクション小説やTV番組脚本を手掛けてきたディヴィッド・ギルマンが、本格的なスリラーに挑んだシリーズの第一作。こういう言い方がいいかは微妙だが、ハードボイルドに<軽ハードボイルド>があるように、<…
2002年発表の本書は、元CIAで日系企業の弁護士もしていたというバリー・アイスラーのサスペンス小説。日本語を流ちょうに操り、日本滞在経験もあるという作者は、日系の殺し屋レインが主人公のシリーズを書き続けている。 舞台は東京、日英バイリンガルのレ…
アリステア・マクリーンの冒険小説をデビュー作「女王陛下のユリシーズ号」以降、第四作「最後の国境線」まで紹介してきた。本書は「最後の・・・」と同じ1959年に発表された第五作。舞台は酷寒の大地、グリーンランドである。 マイナス70度にもなる極北の地で…