本格ミステリー
1930年発表の本書は、先月デビュー作「レイトン・コートの謎」を紹介した、アントニー・バークリーの<名探偵シェリンガムもの>。シチュエーションの意外性にこだわった作者ゆえ、本書も面白い趣向のミステリーに仕上がっている。 高名な探偵作家ヒルヤード…
1987年発表の本書は、アリバイ崩しの大家津村秀介の<浦上伸介シリーズ>。比較的初期の作品で、まだ後年の<伸介&美保>のコンビになっていない。<週刊広場>記者の伸介(このころまだ20歳代)が<毎朝日報>の先輩谷田実憲とひたすら呑みながら真犯人を…
1996年発表の本書は、コリン・デクスターの<モース主任警部もの>。英国でTVでシリーズ放映されたことによって、モース主任警部は英国一有名な探偵となっている。叩き上げで独身、警視への昇進もあるかどうかわからないが、事件を見る目は確か。ただ、部下…
2016年発表の本書は、ロンドン生まれロンドン育ちの歴史好きで、クリスティらに影響を受けて育ったというミシャル・バークビイのデビュー作。コナン・ドイル財団公認のホームズ・パスティーシュ(仏語で模倣作品の意)で、主人公はハドソン夫人とメアリー・…
1925年発表の本書は、寡作ながら印象深い作品を遺したアントニー・バークリー・コックスのデビュー作。これまで「毒入りチョコレート事件」やアイルズ名義の倒叙もの「殺意」などを紹介している。作者が一番多く登場させた探偵役がロジャー・シェリンガムで…
1932年発表の本書は、S・S・ヴァン・ダインの<ファイロ・ヴァンスもの>第6作。中国陶器の蒐集家コー兄弟が殺された二重殺人事件にヴァンスが挑むのだが、作者の他の作品にもまして複雑怪奇な事件で捜査は難航する。 2階の寝室で安楽椅子に座って死んでいた…
本書は、巨匠エラリー・クイーン最後の短編集だが、最後の長編「心地よく秘密めいた場所」の次の長編になるはずだった「間違いの悲劇」のシノプシス(梗概)が中心になっている。1929年「ローマ帽子の謎」でデビューした、フレデリック・ダネイ(1905-1982)…
1940年発表の本書は、不可能犯罪の巨匠ジョン・ディクスン・カーの<フェル博士もの>。2023年になって、60年ぶりの新訳で創元社が出版してくれたもの。中学生の頃にすでに絶版になっていて、僕にとっては全くの新作と同じである。 エセックス州サウスエンド…
2020年発表の本書は、米陸軍やメリーランド州警察に勤めた後、本書でデビューしたエリカ・ルース・ノイバウアーの本格ミステリー。アガサ賞最優秀新人賞を受賞した作品である。 舞台はWWⅠ後1926年のエジプト。22歳で結婚した夫を戦争で亡くし、未亡人暮らし…
1990年発表の本書は、以前短篇集「謎解きはディナーの後で」を紹介した、ジェームズ・ヤッフェの<ママシリーズ>。珠玉の安楽椅子探偵ものだったが、後年このユダヤ人一家は、ブロンクスからロッキー山脈の麓、メサグランデの街に移ってきた。NYPDで警視に…
1971年発表の本書は、多作家西村京太郎の初期作品。出版社の勧めで往年の名探偵が登場する作品を書くことにした作者が、4部作を書き下ろした第一作。クイーン、ポワロ、メグレと明智が集められて、三億円事件に挑むことになる。大富豪佐藤大造は、模擬「三…
蒲田のBookoffで見つけた本書が、マージェリー・アリンガムの<キャンピオン氏の事件簿:第一集>。これまで日本で再編出版された3冊の短編集のうち、2冊を紹介している。探偵役のアルバート・キャンピオンは、1900年生まれ。1929年の「The Crime at Black…
1949年発表の本書は、女王アガサ・クリスティのノンシリーズ。レギュラー探偵は登場せず、警視庁副総監ヘイワードの息子チャールズが私として登場する。ノンシリーズゆえ買う気になれなかったので、ほぼ最後の未読女王作品となった。 WWⅡで長く英国を離れて…
1930年発表の本書は、F・W・クロフツの凡人探偵<フレンチ警部もの>。以前紹介した「フレンチ警部と紫色の鎌」の次の作品にあたる。今回警部は、アイルランド島とグレート・ブリテン島の間にあるノース海峡(幅21km)を巡る陰謀に挑戦する。 ロンドンに引退し…
本書は、昨日紹介した斎藤栄「2階建て新幹線殺人旅行」とほぼ同時期(1985年)に発表された、やはり新幹線車中の殺人事件を扱ったもの。舞台や時期は同じなのに、全く違った重厚な社会派ミステリーなので、あえて今日紹介したい。 作者森村誠一はデビュー二…
1940年発表の本書は、不可能犯罪の巨匠ディクスン・カーの<H・M卿もの>。前作「かくして殺人へ」でもWWⅡの始まりが事件に影を落としていたが、本書はまさにその渦中。貨客船<エドワーディック号>は、米国から軍需物資を載せて英国へ向かうのだが、その航…
本格ミステリーが行き詰ったかに思われた20世紀末、日本では僕と同世代の若い作家たちがパズラーを続々発表し始めた。「新本格の時代」がやってきたのだ。その代表的な作家の一人が有栖川有栖。小学生の時にミステリーにはまり、中学生の時に「オランダ靴の…
1995年発表の本書は、津村秀介の「伸介&美保もの」。アリバイ崩しで延々シリーズを書き続ける作者だが、山陰地方を舞台にした作品は多くない。多分、 ・山陰殺人事件(1984年) ・宍道湖殺人事件(1986年) と本書の3冊だけだ。それには理由があって、米子…
峰隆一郎という作家は、時代(剣豪)小説家だと思っていた。確かに120冊を超える時代小説を執筆している。しかし、アリバイ崩しを中心に50冊近いミステリーも書いている。食わず嫌いもいけないので、初めて買ってきたのが本書。1988年発表と比較的初期の作品…
1988年発表の本書は、これまで「火車」や「蒲生邸事件」などを紹介した宮部みゆきの本格ミステリー。作者は本書で、日本推理サスペンス大賞を受賞している。作風の広い筆者だが、本書では一見つながらない3つの事件から話が始まり、16歳の少年守が運命に翻…
1907年発表の本書は、オースチン・フリーマンのデビュー作。最近のミステリーファンには知られていないかもしれないが、最初の法医学探偵ソーンダイク博士が登場した記念すべき長編である。ホームズ譚が人気を集める中、その後継者の座を争う名探偵が特に英…
1940年発表の本書は、不可能犯罪の巨匠ディクスン・カーの<H・M卿もの>。1920年代後半から始まる本格ミステリーの黄金期は、ちょうど映画界興隆の時期に重なる。高名な作家は、次々にハリウッドに招かれた。交流嫌いのヴァン・ダインでさえ当時の女優グレイ…
本書は、以前第三集「クリスマスの朝に」を紹介した、マージェリー・アリンガムの「アルバート・キャンピオン氏の事件簿」の第二集。第一集「窓辺の老人」はまだ入手できていない。作者はクリスティのライバルとも考えられた、英国女流ミステリー作家。彼女…
2日連続で「そして誰もいなくなった」をモチーフにした作品を紹介したので、今日は本家のご紹介を。1939年発表の本書は、女王クリスティの最高傑作であるとともに、ミステリー界に巨大な足跡を残したもの。孤島インディアン島に集められた10人の老若男女が…
1996年発表の本書は、乗馬と考古学が趣味という北アイルランド在住の女流作家ジョー・バニスターのミステリー。著作は20冊以上あるとのことだが、他の作品はお目にかかっていない。 ロンドン「シティ」の中心街、建造中の40階建てホテルのペントハウスに、7…
1930年発表の本書は、「ピーター・ウイムジー卿もの」で知られるドロシー・L・セイヤーズのノンシリーズ。全編は登場人物が親戚や愛人などに宛てた手紙と、何人かの供述、および新聞記事で成り立っている。主要な登場人物は、極めて少ない。 ジョージ・ハリソ…
1939年発表の本書は、巨匠エラリー・クイーン初期最後の作品。この後3年ほどブランクがあり、中期の傑作「災厄の町」に続く。エラリーは、父リチャードの警官仲間だった男の息子ボー・ランメルと探偵社を設立することになった。実際の探偵業はボーがやり、…
1949年発表の本書は、以前「緑は危険」を紹介したクリスチアナ・ブランドの<コックリル警部もの>。クリスティの後継者として英国に現れた何人かの女流作家の中でも、「Who done it?」に関して右に出るものはいない。探偵役は「ケントの恐怖」と犯罪者から…
1964年発表の本書は、「Who done it?」の名手D・M・ディヴァインの初期作品。デビュー作「兄の殺人者」がクリスティに高く評価され、第二作「五番目のコード」もヒットして、本書の発表に繋がっている。英国の顔の見えるコミュニティである、田舎町での殺人事…
1928年発表の本書は、以前「フレンチ警部最大の事件」を紹介したF・W・クロフツのレギュラー探偵フレンチ警部もの。かつてコメントした「スターヴェルの悲劇」の次にあたる作品である。本格ミステリー黄金期の作品だが、かつて東京創元社が翻訳を多く出版して…