新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

警察小説

大都会のボランティア警官

本書(1975年発表)は、「87分署もの」などで知られるエド・マクベインの「ノン・シリーズ」の1作。先月西海岸を舞台にした「ホープ弁護士もの」の「金髪女」を紹介しているが、本書はアイソラではない架空都市での引退警官の活躍を描いたものだ。都市は多…

8人の青年たちの秘密

1993年発表の本書は、ポーラ・ゴズリングの第11作。「モンキーパズル」あたりからレギュラー探偵を登場させている作者は、前作「ブラックウォーター湾の殺人」でこれまでのストラーカー&ケイトに加えて、ブラックウォーター郡の若き三世保安官マット・ゲイ…

三世保安官マット・ゲイブリエル

1992年発表の本書は、ポーラ・ゴズリングの「ストライカー警部補&ケイトもの」の第三作。「モンキー・パズル」の事件で知り合った剛腕警部補ジャック・ストライカーと気の強い大学教授ケイト・トレボーンは、「殺意のバックラッシュ」事件で緊密な仲となり…

証拠しか相手にしない

以前「死の冬」を紹介した「CSIニューヨーク」の邦訳第二作が本書。原本となったのは、2009年に放映されたCBSのTVドラマである。科学捜査班の活躍を描く人気のドラマで、本家はラスベガス、スピンアウトとしてマイアミとこのニューヨークがある。ニューヨー…

田舎町の警官連続殺人事件

1989年発表の本書は、一作ごとに作風を変えレギュラー主人公を持たなかったポーラ・ゴズリングが、初めて連続性ある作品としたもの。米国東部オハイオ州の田舎町グランサムを舞台にした第二作ということになる。前作「モンキー・パズル」では大学内の事件を…

幼馴染の女医、没落貴族そして警部

作風をカメレオンのように変える女流作家ポーラ・ゴズリング、全て水準以上の作品ばかりでアクション・ラブサスペンスから本格ミステリーまで変身を繰り返している。発表時系列に読んできて、本書が第七作。前作「モンキー・パズル」から警察小説っぽい雰囲…

CSI、もう一つのスピンアウト

以前CBSのTVドラマシリーズ「CSI:科学捜査班」のラスベガス版とスピンアウトのニューヨーク版を紹介した。2006年発表の本書は、もう一つのスピンアウト「マイアミ版」である。このシリーズのノーベライゼーションは、サスペンス/SF作家のドン・コルテスが…

西ドイツからの木彫りの動物

昨日紹介した「サディーが死んだとき」から2作空けて、1974年に発表された「87分署シリーズ」が本書。これもボロボロの装丁で買ってきた。舞台は真夏のアイソラ(架空都市)、刑事部屋にはエアコンもなく扇風機が生ぬるい風を送ってくるだけ。この時期には…

妻が死んでくれて、本当に嬉しい

本書も藤沢の古書店で見つけた「87分署シリーズ」の1冊、1972年発表のものでシリーズ26作目にあたる。作者のエド・マクベインはこのシリーズを「刑事群像もの」として書き続けていて、だれかひとりのヒーロー刑事を描くつもりはなかった。だから「麻薬密売…

「補聴器の男」の陰謀

しばらく前に、藤沢のBook-offの帰り道、昔ながらの古本屋の店頭に、エド・マクベインの「87分署シリーズ」で、ハヤカワミステリのカバーもないものを数冊見つけた。その中で未読のものが3冊あって買ってきたので、今日からそれをご紹介したい。 まず本書(…

2月の凍てつくニューヨーク

以前「CSI:科学捜査班」のラスベガスシリーズをご紹介しているが、「CSI」にはスピンオフとしてマイアミとニューヨークがある。本書は、そのニューヨーク版のノベライゼーション。一流作家にTVドラマとしてのCSIのシチュエーションだけ使わせ、自由にミステ…

「象牙の塔」の異常殺人者

本書(1985年発表)は、ポーラ・ゴズリングの第6作。毎回テーマやスタイルを変える作者は本当につかみどころがない。前作「赤の女」はスペインを舞台にしたラブサスペンスだったが、本書は米国北部(ラストベルト?)の田舎町にある大学で全てが完結する。…

赤ん坊殺しと100万ドルのブツ

1989年、本書の発表でエド・マクベインの87分署シリーズは41作目になった。本書の帯によると、マクベインがこのころ初来日しているらしい。1956年「警官嫌い」で始まったシリーズは34年続いているわけだ。刑事たちはほとんど年を取らないし、昇進もしない。…

刑事たちが追った「鬼畜事件」

今日12/16は、9年前の2012年に「ルーシー・ブラックマン事件」の判決(無期懲役が東京高裁で下りた日である。2014年発表の本書は、この事件を追った警視庁捜査一課の刑事たちの実録を記したドキュメンタリーである。 2000年7月、麻布署にやってきた英国人…

身の上を知らない男と仲間たち

このDVDは「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」のスピンアウト。先月紹介した「NCIS:シーズン6」で、ギブスたちがロスアンゼルスで捜査にあたったエピソードがあった。その拠点となったのが「NCIS:ロスアンゼルス」の組織。潜入捜査官カレンはギブスとは旧知の仲…

連続殺人犯と模倣犯

本書(2009年発表)は以前「死の天使」を紹介した「CSI:科学特捜班」の、日本に紹介された第6作。今回は寒さも忍び寄るラスベガスで、CSIグリッソムのチームが猟奇連続殺人犯を追う。ご存じCBSの人気TVドラマシリーズだが、絵になるように捜査班のチームに…

8月のラスベガス

本書(2008年発表)も、CBS系の人気TVドラマ「CSI:科学捜査班」のノベライゼーション。本家ラスベガスを舞台にしたシリーズの(日本での出版では)5冊目にあたる。このシリーズ、通常の映画のノベライゼーションと違って、舞台や登場人物は踏襲するけれど…

サイバー犯罪科学捜査班

これまで、米国CBSのドラマNCISとCSIを取り上げてきた。前者は国際線のフライトで英語に耳を馴らすために見始め最近はDVDを購入しているし、後者はノーベライズされた翻訳ものを買ってきた。前者のノーベライズはないようだが、後者のDVDは見つけた。いずれ…

5区警察署長アダムスベルグ

フランスのミステリーというと、多くはサスペンス。本格ミステリーと言われるメグレ警部(警視)ものにしても、英米の本格とはちょっと味の違ったものだ。しかし近代には本格ミステリーも増えて来て、本書(1996年発表)の作者フレッド・ヴァルガス(女性で…

捜査検事霧島三郎

高木彬光が産み出した名探偵は、神津恭介に始まり、百谷泉一郎夫婦、大前田栄策、墨野隴人などがいるが、TVドラマにもなったせいか本書の霧島三郎の知名度が高い。神津恭介シリーズもTVで放映されるのだが、何しろ天才過ぎて長続きしなかったようにも思う。…

現在19シーズン目・・・

海外ドラマNCISのシーズン1から3までのDVDを紹介しているが、放送そのものは現在17シーズン目になっているらしい。大変な長寿番組だが、日本にはそれを上回る19シーズン目に突入しているシリーズがある。それがTV朝日系で放送されている「相棒」。連続ドラ…

ニューヨーク湾岸地区1982

1994年発表の本書は、エド・ディーのデビュー作。ニューヨーク市警本部組織犯罪部の2人の刑事が活躍する、「刑事ライアン&グレゴリー」シリーズの第一作でもある。作者自身この組織犯罪部で20年勤務したということで、その活動や相手方となる犯罪組織の細…

「太陽の国」の雪国で

イタリアと言えば「太陽の国」、陽光降り注ぐイメージだがフランス・スイスに国境を接する一番小さな州ヴァッレ・ダオスタ州が本書の舞台。スイスアルプスの麓にあり、ウィンタースポーツが盛んなところだ。2013年発表の本書は、ローマっ子作家アントニオ・…

マニピュレーションの研究

本書の作者深谷忠記の作品を、ずいぶんたくさん紹介してきた。とはいえ著作は80冊を越えているので、その何分の一に過ぎないが。作者はもう80歳に近いはずだが、なかなかの健筆である。2010年代になってから、「文庫書下ろし」が目立ってきた。以前紹介した…

科学捜査ドラマの決定版

何度かNCIS(ネイビー犯罪捜査班)の紹介をしているが、同じCBS系列で少し先輩格の捜査ドラマと言えば、CSI(科学捜査班)が挙げられると思う。両者はこの種のドラマのTOP争いを長く繰り広げた。 CSI:2000~2015 ラスベガスの科学捜査チームの活躍を描く。C…

黒江家自身の事件

深谷忠記の「壮&美緒シリーズ」は、2010年を過ぎたころから名探偵黒江壮の出番が減ってきた。全体で400ページほどあるのだが、50ページも出てきてくれない。これまで「壮の頭脳と勝部長刑事の足」で難事件を解決してきたのだが、その比重が「足」の方に移っ…

フェア島のペレス家

アン・クリーヴスの<シェットランド四重奏>は、本書(2010年発表)で一応完結する。「一応」と言ったのは、この後に「Dead Water(2013年)」という作品があるからだ。ただ作者がもくろんだ「冬⇒夏⇒春⇒秋」の季節毎の4作品の流れは、これで一区切りという…

スタンガン連続殺人事件

深谷忠記の「壮&美緒」シリーズは、トラベルミステリーとしては他の作者よりも叙情性で優れていると以前紹介した。また1箇所だけではなく複数の現場で事件が起きるので、「xx~xx殺人ライン」などと題して複数の風光明媚な場所を紹介してくれることもある…

警官を主人公にしてみると

何度か深谷忠記の作品を取り上げているが、下記の記事で書いたように壮&美緒シリーズは探偵役は魅力的なのだが素人探偵ゆえに事件への関わり方が難しい。そこで作者は「ハーメルンの笛を聴け」などの単発ものミステリーを二作に一作ほど書くようになってい…

国分寺からの西武線沿線にて

本書(2006年発表)も、深谷忠記の「壮&美緒シリーズ」の比較的後期の作品。以前「千曲川殺人悲歌」を紹介した時に、叙情の美しいトラベルミステリーと評したのだが本書もその流れである。ただ今回の舞台は、もう少し都会的なところだ。 冒頭、美緒が仕事仲…