社会派ミステリー
1986年発表の本書は、女流作家フェイ・ケラーマンのデビュー作。ロサンゼルスに近い正統派ユダヤ教コミュニティを描いて、マガウティ賞の最優秀新人賞に輝いた作品である。原題の「The Ritual Bath」とは、身を清めるための特殊な水風呂のこと。例えば、夫婦…
2015年発表の本書は、ミルウォーキー在住の作家ニコラス・ペトリのデビュー作。国際スリラー作家協会賞など、複数の賞を獲得した作品である。以前紹介した「NCIS」のビデオでも再三イラクやアフガンからの帰還兵の悲劇が描かれる(ギブス自身帰還兵である)…
1986年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第12作。前作「秘跡」は、愛の物語だったが凶悪犯罪はなかったので、ミステリーの線からは外れかけていた。しかし本書でカドフェルは、正々堂々の司祭殺しに挑む。 スティーブン王が捕虜…
1985年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第11作。内戦は激化していて、相変わらずスティーブン王は女帝モード一派の捕虜になったまま。代わってモードに対抗していたのは、王妃の軍勢。その中間でウインチェスターのヘンリー司…
今日10/14は鉄道の日。多作家斎藤栄には、いくつものシリーズやレギュラー探偵がいるが、本書に登場する江戸川警部は鉄道警察官。作者はこのキャラクターを使って、トラベルミステリーも書いた。いつかは1冊読もうと思っていたシリーズで、たまたま見つけた…
1984年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第10作。前作で州の執行長官が亡くなり、カドフェルの親友ヒュー・ベリンガーが副長官から昇格し跡を継いだ。スティーブン王は幽閉されたままだが、女帝モードもロンドンに入城できない…
2020年(ヴァルキリーという題名で)発表された本書は、以前<ゼロ三部作*1>を紹介した安生正のバイオレンススリラー。8月末に日本で開催されるG20の時に、日本の首相を暗殺する計画と、これを防ごうとする公安警察チームの暗闘を描いたもの。 難民支援NPO…
1984年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第九作。以前から不穏な動きを見せていた北部チェスターのレイトン伯らが叛旗を翻し、スティーブン王は苦境に陥る。王に忠誠を誓っていたシュルーズベリも軍勢を繰り出す(*1)のだが、…
1978年発表の本書は、多作家西村京太郎の初期の作品。同年の「寝台列車殺人事件」以降、作者はトラベルミステリーを量産するが、それ以前は「海洋ミステリー」というジャンルを築いていた。これまでも「消えたタンカー」「消えた乗組員」などを紹介している…
1983年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第八作。かつて十字軍兵士として従軍し、殺されかけたことも殺したこともあるカドフェルは、壮年になって英国へ戻り、修道士の道に入った。しかし普通は20歳までには、この道に入るもの…
1997年発表の本書は、ノルウェーの女流作家カーリン・フォッスムの<セイエル警部もの>。本書がシリーズ第三作で、北欧5ヵ国ミステリーの大賞にあたるガラスの鍵賞を受賞した作品。 7月のノルウェーの街では、陽は2時間ほどしか沈まず、ひどく蒸し暑い。…
1989年発表の本書は、南カリフォルニア州ニューポートビーチ在住のエリザベス・C・ウォード作の社会派ミステリー。以前は素朴な港町だったニューポートビーチは、なだれ込む不動産投資資金や移民難民によって、様相を一変させていた。金持ちのリゾートとしての…
1983年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第七作。イングランド南部の内戦は続いていたが、シュルーズベリの町はスティーブン王の勢力圏で平穏さを取り戻していた。しかしある金曜日の夜、ラドルファス院長以下修道士たちが祈り…
1960年発表の本書は、巨匠松本清張が10ヵ月間<読売新聞>に連載したミリオンセラー。日本の社会派ミステリーの金字塔である。新書版で500ページ近い大長編で、何度も映像化されている。 蒲田駅に近い場末のトリスバーに、中年と青年の2人が入ってきた。注…
1982年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第六作。スティーブン王と女帝モードの内乱は激しさを増し、近隣の街ウスターでも殺戮が行われた。大勢の避難民がシュルーズベリの街にもやってきて、修道院は彼らを救うので手いっぱい…
本書は多作家西村京太郎の初期の作品、本書と同年の1978年にはトラベルミステリー「寝台特急殺人事件」が出版されていて、以降十津川警部ものが作品の主流になる。あまりにも多くの作品が発表されているので、後期のこれらのシリーズは「書き流し」の傾向も…
多希は暴落当日、自らの応札値では大きな損失が出たと思ったが、実は上司の古賀が入札直前に価格を書き換え、損失は出していない(*1)ことを知る。なぜ書き換えたのか詰め寄る多希を古賀は突き放すが、その日の帰路タクシーで野田同様の襲撃を受ける。 メモ…
2000年発表の本書は、債券ディーラー出身の作家で最近はTVコメンテータでもある幸田真音氏のフィナンシャルスリラー。特捜刑事の佐島は「一匹狼」、日系証券会社の間宮部長を容疑者とする巨大な贈収賄事件を数ヵ月にわたって追っている。その過程で名前の浮…
1981年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第五作。これも光文社文庫版である。現代教養文庫版に比べ、カドフェルが得意とする薬草のイラストが表紙に描かれていて、装丁が美しい。 イングランドの内戦は激化しているが、シュルー…
1981年「占星術殺人事件」でデビューした島田荘司は、当時若手本格ミステリーの旗手である。特に初期の頃は、デビュー作を含めて奇抜なトリックを駆使して読者を驚かせた。1986年発表の本書も、作者独特の奇想の世界を描いたもの。現代都市「東京」の一角で…
2014年発表の本書は、ジャーナリスト出身のジュリア・ダールのデビュー作。全米ミステリ大賞の新人賞をさらった話題作だという。主人公は、ブルックリンでタブロイド紙の記者になったばかりのレベッカ。偶然スクラップ置き場で見つかった女性の全裸死体に遭…
1981年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>。先月紹介した「修道士の頭巾」に続く第四作。シュールズベリ大修道院は、厳格な修道院長ラドルファス体制になり、1年前は内乱でできなかった聖ペトロの祭りを行う夏を迎えた。聖ペトロ…
2000年発表の本書は、これまで4冊を発表順に紹介してきたローラ・リップマンの「テス・モナハンもの」の第5作。荒事は苦手ながら、ボルチモアの街で徐々に探偵としての実績を積んできたテスだが、今回は大きな「敵」と渡り合うことになる。今回初めてテス…
1978年発表の本書は。これまで「愚か者の祈り」「事件当夜は雨」を紹介したヒラリー・ウォーのサスペンスミステリー。前2作は作者の初期から中期の作品だが、後期の本書は殺人犯に付け狙われる家族の側から、警察の活動(の制約)を描いている。 9年前、英…
1980年発表の本書は、昨年「聖女の遺骨求む」から紹介を始めたエリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第三作。薬草園を護る60歳近い無口な修道士カドフェルは、40余年前に別れた初恋の人リチルディスと再会する。十字軍に従軍するためやむなくの別…
1999年発表の本書は、この3ヵ月デビュー作から1冊/月読み進んできた、ローラ・リップマンの「テス・モナハンもの」の第四作。貧しくなってしまい格差もひどいボルチモアに住む人たちを中心に描いた、質の高い社会派ミステリーである。ただ本書ではテスは…
1979年発表の本書は、先月「聖女の遺骨求」を紹介したエリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第二作。実は現代教養文庫で17作目まで買ったのだが、3冊欠けていた。それが光文社文庫版で入手できた。本書と、第五作、第十作である。装丁はもちろん…
本格から社会派ミステリー、犯罪小説など幅広い作風で社会課題を追求した巨匠、松本清張。ヘビースモーカーだったことは有名だが、カメラ趣味もあったらしい。その特徴が顕著に表れているのが本書(1981年発表)。 A新聞が主催する「読者のニュース写真年間…
本書は、西村京太郎の初期の短編集。5編が収められているが、発表年月や最初の掲載紙は記載されていない。解説を詩人の郷原宏が書いていて、作者のファンになった経緯を述べている。解説者によれば、作者は「消えた・・・」シリーズなど大掛かりなトリックや仕…
このDVDは「NCISニューオリンズ」のシーズン4。前シーズンで最初から仇敵同士だったハミルトン市長の悪事を暴いて逮捕し、貧しい人が暮らす地区を守ったドゥエイン捜査官だが、本部やFBIからの監視は一層厳しくなった。DCからはセラピストまで派遣されてき…