社会派ミステリー
今日(12/1)は、日本では映画の日である。1990年発表の本書は、長年ハリウッド(街だけでなく俳優や映画関係者を含む)を取材してきた記者ジョン・オースティンの手になるもの。彼はハリウッドを「寡頭政治の街」と呼んだ。高名な俳優やプロデューサーが巨…
1957年発表の本書は、生涯で7作の長編ミステリーを遺したクリストファー・ランドンの代表作。第二次世界大戦で英国の野戦医療部隊に所属し、少佐にまで昇進した筆者は、退役後いくつかの職業を経て作家に転じた。北アフリカを舞台にした戦記ものから、スパ…
1990年発表の本書は、100冊ほどの長編を著わし現在も作家活動を続ける山田正紀の中期の作品。作者は、1974年「SFマガジン」に「神狩り」を載せてデビューを果たした。 ・1978年「地球・精神分析記録」で星雲賞 ・1980年「宝石泥棒」で星雲賞 ・1982年「最後…
1987年発表の本書は、「伸介&美保シリーズ」でお馴染みの津村秀介の長編ミステリー。ただし、伸介や美保は登場しない、珍しいノンシリーズである。作者は海外旅行好きで、15年間毎年一度は海外旅行に出かけていたという。特に欧州がお好みで、1960年代から…
本書は以前「Wの悲劇」を紹介した、夏樹静子の社会派ミステリー。1992年の発表だが、時代設定は1987年10月からになっている。冒頭被害者の家庭内で交わされる会話などに、当時の流行TV番組だったりタレント同士の結婚話が出てくる。事件の背景となっている…
空港や航空機内、あるいは航空業界に携わる人たちの日常を描いたミステリーは航空ミステリーと呼ばれる。アーサー・ヘイリー「大空港」のような巨編もあれば、トニー・ケンリック「スカイ・ジャック」というハイジャックものも海外では多い。さらにルシアン…
このDVDは、ご存じ「本家NCIS」のシーズン12。ますますスケールアップした舞台で、ギブスチームが躍動する。モスクワからコラ半島に展開する「深い森」、ギブスはロシアからの亡命者輸送の任務にあたる。これを阻止しようとしているのはロシア系のパレスチナ…
本書は、寡作家天藤真が1979年に日本推理作家協会賞を受賞した傑作。今日「敬老の日」にふさわしい、紀州の大地主柳川とし子(82歳)が誘拐された事件の顛末である。なぜふさわしいかというと、このおばあさんは誘拐されたにも関わらず、犯人たちを手玉に取…
2015年発表の本書は、シアトル生まれのグレン・エリック・ハミルトンのデビュー作。アンソニー賞ほか3つの最優秀新人賞を獲得した作品で、書評では「初球ホームランだ」などの賛辞が目立つ。確かに500ページほどの長さを感じさせない、スピーディな展開と工…
本書は、TV朝日・東映系ですでにシーズン22まで続いている科学捜査ドラマ「科捜研の女」の、劇場版のノベライゼーション。映画(科捜研の女~劇場版)は2020年のシーズン20の最終回で制作が発表され、一昨年封切られている。 何作か紹介しているが米国CBS系…
2002年発表の本書は、いくつも作品を紹介してきたポーラ・ゴズリングの、僕の本棚に残っている最後の1冊。最初シチュエーションの異なる作品を立て続けに発表してきた作者も、ある時点から五大湖沿岸の町ブラックウォーター・ベイと近くの街グランサムを舞…
本書は、1995年の乱歩賞&直木賞を同時受賞した藤原伊織の作品。同作者の別作品によるW受賞はあるものの、同一作品としては史上初のものである。作者は本書の主人公たちと同じ東大仏文科卒、電通勤務時代に「踊りつかれて」(1977年)と「ダックスフントの…
本書は、多作家内田康夫の「浅見光彦もの」。1998~99年にかけて<文芸春秋>に連載されたもの。いつもは光彦の厳しいお目付け役ながら、ちょっとしか出番のない兄浅見陽一郎刑事局長が大活躍する。 美しい利尻富士や美味しいウニなどの観光資源を持つ利尻島…
このDVDは、NCISの2つ目のスピンアウト「NCISニューオリンズ」のシーズン1。以前紹介した本家のシーズン11に、ニューオリンズを舞台にした2話が含まれていた。この支局のボスは、スコット・バクラ演じる”King”ことプライド捜査官、警官上がりのラサール捜…
本書は巨匠松本清張の1968年の作品。「宝石」に2年半の間連載されていたもので、作者はこの期間、後に単行本化された長編だけでも少なくとも6本の連載を持っていた。後年の作家内田康夫が「連載が始まった時点では、犯人が誰かは私にもわかりません」と言…
このDVDは「NCIS:ネイビー犯罪捜査班」のシーズン11。統計によると全米TVドラマランキングで年間1位を最初に取ったのがシーズン10、その勢いを駆ってよりスケールアップした内容になっている。前シーズンでモサド局長だった父イーライを亡くしたジヴァが、…
先日「当代一流の読み手」佐野洋の、一風変わった連作短編集「検察審査会の午後」を紹介したが、本書は正々堂々作者の代表的な本格長編ミステリー。1970年の発表で、よくある雑誌等への連載ではなく<カッパ・ノベルズ>への書き下ろしである。それゆえ全編…
本書(2018年発表)は、自身もユタ州の検察官・弁護士であるヴィクター・メソスのリーガル・サスペンス。ユタ州は中西部の南部よりの州で、2018年になっても黒人の人種差別が顕著なところだ。主人公のダニエル・ローリンズは、30歳代後半バツイチのお人よし…
このDVDは、ご存じ「ネイビー犯罪捜査班:NCIS」のシーズン10。このころの作品は、海外出張を一杯したフライト上でよく見ていたものだ。10年近く前のことなのに、いくつかのシーンを覚えている。 それを今回、全編を通してみることで、個別のエピソードだけ…
1965年発表の本書は、高木彬光の「検事霧島三郎」シリーズの第三作。1948年「刺青殺人事件」でデビューした作者のレギュラー探偵は、天才神津恭介だった。初期の神津シリーズは、ある意味米英の「探偵小説」を基にしたもの。しかしデビューから20年近く経っ…
本書は、以前デビュー作「百万ドルを取り返せ」を紹介したストーリーテラー、ジェフリー・アーチャーの短編集。デビュー作以下、多くの長編サスペンスを発表している作者だが、意外なことに短編集は1980年に発表された本書だけらしい。作者はオックスフォー…
このDVDは、ご存じ「ネイビー犯罪捜査班:NCIS」のシーズン9。この中の14作目「運命の分かれ道」で通算200話を達成している。記念すべき200話は「ファンのためのギブスの物語」と位置付けられ、シーズン1からずっと主役を続けてきたギブス捜査官(マーク・…
本書は、TV朝日の人気ドラマ「相棒」の最初の映画脚本をノベライズしたもの。2008年公開の映画で、脚本は戸田山雅史、ノベライズは司城志朗。2時間ドラマでスタートしたこのシリーズ、今はシーズン21を放映中である。映画も、スピンアウト2作(鑑識米沢守…
昨日に引き続き、本書も西村京太郎の「十津川警部もの」。1999年に発表されたものだ。初期の頃の趣向を凝らした作品群と違い、このころの作品は2時間ドラマの脚本のようになった印象を持っている(大家に対して誠に失礼ながら)。 昨日の「特急北斗1号殺人…
1987年発表の本書は、トラベルミステリー作家として名高い西村京太郎中期の作品。昨年「華麗なる誘拐」「D機関情報」と初期の作品を紹介してきた。1作ごとに大掛かりな仕掛けをした作品群で、ミステリーという枠を大きく広げたものと捉えている。それに比…
このDVDは、ご存じ「ネイビー犯罪捜査班:NCIS」のシーズン8。シーズン6あたりから、メンバーの過去や家族を交えたエピソードが増えているが、それ以上にアクションやストーリーの規模は大きくなっている。また、これまで出演した登場人物が再度・再々度出…
本書は日本人の夫君を持ちカリフォルニア在住だというカレン・ブラックと、彼女が生み出したパリのセキュリティコンサルタント、エメ・ルデュックのデビュー作。上智大に学びP・D・ジェイムズの影響を受けたという作者が選んだ舞台は、なぜかパリ。サン・ルイ…
1988年発表の本書は、シャーロット・マクラウドの「セーラ&マックスもの」の第7作。ついに子供が授かったセーラとマックスの夫妻だが、相変わらずケリング一族はお騒がせを続けている。今回の中心になるのは第2作「下宿人が死んでいく」で出会って結婚し…
1979年発表の本書は、アリバイ崩しの巨匠津村秀介のデビュー第三作。第五作「山陰殺人事件」で登場するレギュラー探偵浦上伸介の前には、作者は所轄の警官を探偵役に社会派ミステリーを書いていた。作者が<週刊新潮>で<黒い報告書>を連載していた事件記…
1984年発表の本書は、英国推理作家協会(CWA)賞新人賞受賞作。作者のエリザベス・アイアンサイドは英国生まれで、欧州各地やインドを巡り歩いたと解説にある。今や人口で中国を抜く大国インドだが、その国土の広さも半端ではない。作者がインドで暮らした3…