新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

社会派ミステリー

刑事たちのホームドラマ

エド・マクベインの87分署シリーズでは、何人かの刑事たちが主人公である。メインキャラクターは(殺すことができなくなったので)不死身のキャレラ二級刑事。このほか、長身・金髪の二枚目クリング三級刑事、薄い頭髪を気にするマイヤー二級刑事、海軍上…

スペンサー、ハリウッドに立つ

先日爛熟期にあるハリウッドでプリンス・マルコが活躍(例によって女性相手が主体だが)する、ジェラール・ド・ヴィリエの「インディアン狩り」を紹介した。それから12年、今度はロバート・B・パーカーのレギュラー探偵スペンサーがやってきた。ほとんどホー…

デフ・マン三度目の挑戦

1956年に第一作「警官嫌い」が発表されてから、エド・マクベインはコンスタントに87分署シリーズを発表し、1973年に出版された本編は27作目である。12作目「電話魔」で登場しキャレラ刑事に重傷を負わせ、22作目「警官(サツ)」でもおなじみの刑事たちを…

陪審員たちの闘い

ミステリーのひとつのジャンルに「法廷もの」がある。有名なのはE・S・ガードナーの「ペリー・メイスンシリーズ」だが、これはハイライトを法廷に持って行った普通のミステリーと言えなくもない。法廷もののマニアの中では「最初から最後まで法廷だけを描写…

等身大の私立探偵

本書はインディアナポリスで一番安い私立探偵だと、自らも言うアルバート・サムスンの二度目の登場作品である。1日$35+経費というのは確かに安い。フィリップ・マーロウは$100、スペンサーは$200だった。本書の発表は1973年だから、マーロウよりは大分…

リンカーン・ライムシリーズへのステップ

「どんでん返し職人」ジェフリー・ディーヴァーの1995年の作品が本書。同年の前作「監禁」については、少々辛口のコメントをした。その後ほぼ全身不随の捜査官リンカーン・ライムを主人公にしてブレイクしたディーヴァーだが、それまではそこまで傑出した作…

ミステリーの長さ

ミステリーの創始者と言われるエドガー・A・ポーが著わしたのは、短編小説だけだった。(翻訳の文庫本で:以下同じ基準)20~40ページくらい。中学生なら興味を切らさず、読み終えることができる長さである。その後ウィルキー・コリンズが500ページ級の「月…

インディアナポリスの探偵

ハメット・チャンドラー・マクドナルドという正統派ハードボイルド小説も、第二次大戦後特に1970年代になるとかなり変わってきた。以前紹介したロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズもそのひとつだが、マイクル・Z・リューインのアルバート・サムスン…

カナダからのミステリー

2年前初めてカナダという国を訪れ、トロントという街で数日過ごした。ホテルの側に野球場があったり、ホットドッグ屋台に人が列を作っていたり、まあアメリカと大差はないなと思った。物価もニューヨークなどよりは安いような気がして、好意を持った。それ…

アイソラでの人種差別

エド・マクベインの「87分署シリーズ」も、33作目になった。最初の作品「警官嫌い」から23年が経ち、何人かの刑事が殉職した。例によって不死身のキャレラ刑事は主役として活躍を続けているが、23年間昇進することなく二級刑事のままである。 ろうあ者の妻…

天使と悪魔、弁舌の対決

二人の40歳代の男性が本書の主人公である。ひとりは悪魔的な犯罪者アーロン、ウソをつかせたら右に出るものなしと称されている。もうひとりは天才的な弁護士テイト、欲があればドナルド・トランプ並みの財を成していたとある。(大統領になれるとは書かれて…

誘拐という重犯罪

ウィリアム・P・マッギヴァーンは第二次世界大戦後にデビューし、1ダースあまりの警察小説を書いた。そのうちのいくつかは映画化されている。本書は彼の代表作のひとつで、マンハッタンを舞台に富豪の孫娘の誘拐事件に挑むFBIの捜査を描いたものだ。 19…

マエストロの習作

本書は1980年代のマンハッタン、レンタルビデオ店で働く20歳のパンクな女の子が100万ドルのお宝探しに島中を駆け巡る青春小説である。彼女はルームメイトと共にビルの屋上を不法占拠して暮らしている。映画好きで、それゆえにレンタルビデオ店で働いているの…

サイバー空間、2001

「どんでん返し職人」ジェフリー・ディーヴァーは、人気のリンカーン・ライムシリーズは1年おきに発表するとして、その間には単発ものを発表している。2001年に発表されたのが「青い虚空」。護身術のカリスマのような女性が、警戒していたにもかかわらず惨…

アイソラの好敵手

エド・マクベイン「87分署シリーズ」は、分署刑事たちのチームプレイを描いた大河ドラマのようなものである。刑事やその関係者は、殉職含めて入れ替わってゆく。読者は刑事たちになじみができて、ひいきの刑事が活躍すると嬉しくなる。 作者はシリーズ12作…

新幹線を狙ったテロ

中学生で翻訳ミステリーにはまり込み、高校生になってミステリー漁りに拍車がかかった僕は、日本のミステリーも読むようになった。かなり初期に読んで感動したのが、森村誠一「新幹線殺人事件」だったことは、昨日紹介した。 しばらくして、同じように新幹線…

大都市アイソラの刑事たち

1950年代の繁栄していたアメリカ。第二次世界大戦が終わり、米ソ対立の時代に入ろうとしていた時だったが、アメリカは世界の盟主だった。ハリウッド発の映画は自由主義陣営にくまなく供給され、TVドラマも世界に流れていった。アメリカは新しい文化の源だっ…