軍事スリラー
1998年発表の本書は、「海のディック・フランシス」と異名をとった英国冒険作家サム・ルウェリンがアリステア・マクリーン公認で「ナヴァロンの要塞」シリーズを書き継いだもの。このシリーズは、 「ナヴァロンの要塞」1957年(*1) 「ナヴァロンの嵐」1968…
1940年発表の本書は、冒険小説の先駆者ハモンド・イネス初期の作品。1939年9月、ナチスドイツはポーランドに侵攻した。これまでオーストリアやチェコ、スロバキアなどを併合してきたヒトラーは、常に「これが最後の領土の要望」といいながら、さらに次を狙…
2001年発表の本書は、トム・クランシーとマーティン・グリーンバーグのコンビが送る私設特殊部隊<剣>シリーズの第四作。クランシー作品としては比較的短いのがこのシリーズの特徴だが、全8作のうち本作だけが上下巻になっている。巨大防衛産業アップリン…
1983年発表の本書は<シカゴ・トリビューン紙>出身のボブ・ライスが描く軍事スリラー。1942年夏の米国東海岸における、ナチスドイツの軍事行動がテーマである。先年の真珠湾攻撃によって米国は第二次世界大戦に正式に参戦するのだが、それ以前から英国やソ…
1986年発表の本書は、英国作家アレグザンダー・フラートンのフォークランド紛争もの。作者は第二次世界大戦で潜水艦勤務と情報部勤務(ロシア語を買われてソ連班だった)をし、戦後も潜水艦に乗り組んだ後1953年から作家に転じている。重厚な作風で<海の異…
在シチリア島の海軍士官たちが殺され、米国内でも将軍級の暗殺が起きる。「死のカルト集団」と化したアル=マタリの兵士たちは、もちろん殉教を怖れない。逮捕されそうになると、アル=マタリは遠隔で自爆ベストを爆発させるので、警官にも死傷者が続出する。…
2016年発表の本書は、マーク・グリーニーがトム・クランシーから引き継いでいる「ジャック・ライアンもの」。グリーニーも本書でこのシリーズから手を引くことになり、共著としての最終作になる。前作「欧州開戦」で、バルト海を巡るロシアの挑戦を退けたラ…
1984年発表の本書は、昨日「襲撃指令」を紹介した英国のスリラー作家ジェラルド・シーモアが、ソ連侵攻時のアフガニスタンでのSAS士官の活躍を描いたもの。この地はアレクサンダー大王やジンギスカンら世界史の英雄たちが支配を試み、その多くが長続きしなか…
2014年発表の本書は、元国務省アフリカ局次官補代理トッド・モスのデビュー作。作者はタフツ大・ロンドン大で博士までの学位を取り、世界銀行にも勤務したエリート学者。ジョージタウン大学客員教授、シンクタンクCEOの傍ら、執筆活動をしているというから驚…
2019年発表の本書は、戦闘級のチャンピオンであるマーク・グリーニーの「暗殺者シリーズ」。前々作に登場した<ロシアのグレイウーマン>ゾーヤ・ザハロフと、コート・ジェントリーの共同作戦が見ものだ。 CIAの中にモグラがいるようで、作戦が漏れて妨害や…
1977年発表の本書は、以前デビュー作「百万ドルを取り返せ」を紹介した、ジェフリー・アーチャーの第二作。ややコミカル(&アイロニカル)だった前作にくらべ、「ジャッカルの日」なみのシリアスなスリラーである。 米国第40代大統領に、ケネディ兄弟の末弟…
2009年発表の本書は、SAS出身の覆面作家クリス・ライアンの軍事スリラー。これまで「テロ資金根絶作戦」「暗殺工作員ウォッチマン」などを紹介している。作者自身湾岸戦争で狙撃手として活躍、ミリタリー・メダルを送られている。同じく覆面作家のアンディ・…
1999年発表の本書は、トム・クランシー&マーティン・グリーンバーグの<剣>シリーズの第三作。軍事システム開発会社アップリンク社の私設部隊<剣>の名前の由来は、アレキサンダー大王がゴルディアスの結び目を剣で断ち切ったとする故事にちなんでいる。…
2018年発表の本書は、マーク・グリーニーによる「暗殺者グレイマン」シリーズの第七作。前々作「暗殺者の反撃」でCIAの陰謀を打破し、追われる身ではなくなった<グレイマン>ことコート・ジェントリー。前作「暗殺者の飛躍」では、CIAの外郭工作員として自…
1960年発表の本書は、これまで「黒海奇襲作戦」など4冊を紹介した英国冒険作家ダグラス・リーマンが、今話題の東シナ海を舞台に描いた活劇。作者の本領は、小型もしくは老朽の戦闘艦が、より強大な敵と戦う姿。本書では、本来河川で運用される旧式の河川砲…
2009年発表の本書は、真保裕一の日本人作家には珍しい軍事スリラー。作者はアニメータ出身の作家・脚本家で、ドラえもん映画の脚本も手掛ける。1991年「連鎖」で江戸川乱歩賞を受賞するなど、多彩な作品で吉川英治・山本周五郎・新田次郎賞も獲得している。…
2001年発表の本書は、以前「テロ資金根絶作戦」などを紹介したSAS出身の匿名作家クリス・ライアンの軍事スリラー。作者は1984~94年の間、SAS正規連帯に所属し湾岸戦争などい従軍した。恐らくは下士官だったと思われる。レジメントと呼ばれるSASの兵士は、極…
近代軍事スリラーの大家トム・クランシーは、多くの共著者を活用した。死後も、マーク・グリーニーが<ジャック・ライアンもの>を書き続けてくれている。数多くの共著者の中で、本書(1997年発表)に始まる<剣>シリーズのマーティン・グリーンバーグは、…
1984年発表の本書は、グローヴァー・ライトの第三作。元はミュージシャンだった作者は、60年代に米軍の依頼で各地の慰問に行き、軍隊との接点を持った。後にドバイのクラブで歌うようになり、支配人になって現地の特殊部隊員らと交流を持った。英国特殊部隊…
1991年発表の本書は、CNN記者から軍事ジャーナリスト、作家に転じたマイケル・スキナーのフィクションデビュー作。軍用機がいっぱい(さすがに戦闘はしなかったが、日本のF1支援戦闘機まで!トルネードやミラージュも)出てくる。作者はパイロットではないが…
ヴォローディン大統領は国営TVの美人ニュースキャスターを使って、 ・NATOの東方拡大 ・カリーニングラードの危機 ・米国ライアン大統領の好戦的な所業 を喧伝、インタビューでもそつのない応答をして市民の結束を呼び掛ける。一方ライアンの方は、NATOの首…
2015年発表の本書(4冊組)は、クランシーの<ザ・キャンパス>ものをマーク・グリーニーが書き継いだもの。今年紹介した「米露開戦」「米朝開戦」「機密奪還」に次ぐ作品だ。今回の悪役は「米露」に続いてロシアのヴォローディン大統領。プーチン氏をほう…
2019年発表の本書は、いずれも海軍兵学校卒業のデイビッド・ブランズ(潜水艦乗り)とJ・R・オルセン(情報将校)の共著による、サイバー軍事スリラー。2人は2つの軍事スリラーを自費出版したが、本書は大手出版社から出版された「公的な」デビュー作。日米…
以前「テロ資金根絶作戦」などを紹介した、SAS出身の作家クリス・ライアン。60冊余りの作品があるが、多くは軍事スリラー。「テロ・・・」のマット・ブラウニングのように複数の作品の主人公を務めるヒーローものも多いが、本書(2005年発表)は単発もの。主人…
2014年発表の本書は、ベテランミステリー作家ドン・ウィンズロウが本格的な軍事スリラーに挑戦した作品。作者は入院中に構想して産み出した探偵ニール・ケアリーものでデビューし、注目を集めた。多くの作品が邦訳されているのだが、実は読んだのは初めて。3…
2014年発表の本書は、マーク・グリーニーが書き継いだトム・クランシーの「ジャック・ライアンもの」。このところの主人公はライアン大統領ではなく、ジャック・ジュニアも所属する民間情報機関<ザ・キャンパス>である。大統領が先頭に立ってドンパチと言…
2014年発表の本書は、寡作家スティーヴン・ハンターの「スワガーもの」。伝説のスナイパーで<ボブ・ザ・ネイラー(釘付けボブ)>とあだ名されるボブ・リー・スワガーも68歳になった。日向ぼっこをしながら孫と遊ぶ日々だが、スナイパーに係る謎を与えられ…
先月、狙撃手だったコグリンとベテラン作家デイヴィスの共著「最強のガニー、スワンソン狙撃手もの」を3冊立て続けに紹介した。2018年発表の本書も、狙撃手だったニコラス・アーヴィングが、軍事アクション小説で実績あるA・J・テイタの助けを借りて発表した…
2010年発表の本書は、これまで「不屈の弾道」「運命の強敵」を紹介してきた、ジャック・コグリン&ドナルド・A・デイヴィス共著による「最強のガニー、カイル・スワンソンもの」の第三作。 狙撃手として、特殊部隊の兵士として最高の技量・勇気・体力を持つカ…
2009年発表の本書は「狙撃手スワンソンもの」の第二作。海兵隊屈指のスナイパーだったジャック・コグリンが、ベテラン作家ドナルド・A・デイヴィスの助けを得て書き続けるシリーズは好調だ。 昨日紹介した前作「不屈の弾道」で、シリアで人質になっていた海兵…