新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

軍事スリラー

高速スパイ機パイロットを守れ

スカンジナビア半島の北端、そこは完全に北極圏で日本人には馴染みのないところだ。ここが歴史に登場するのは、第二次世界大戦中ナチスドイツと戦うソ連へ連合国が物資援助をする船団を送った時である。輸送船にはM4シャーマンやM3ハーフトラック、小火器、…

民主党政権、2020の悲劇

本書はいわゆる「架空戦記」とは一線を画した、ヴィヴィッドな政治ドラマである。著者の中村秀樹は、潜水艦「あらしお」艦長など主に潜水艦畑を歩んだ海上自衛官(最終階級は二佐)、「本当の潜水艦の戦い方」などの著書がある。これは入門編の軍事的な解説…

トム・クランシーの遺作

戦闘級のチャンピオンであるマーク・グリーニーをパートナーに、よりリアルな国際紛争小説を発表してきたトム・クランシーは、2013年に急逝した。66歳だった。事実上の遺作となったのが、本編「米中開戦」である。ただ、実際に両国が宣戦布告しての全面戦争…

仮装強襲コマンド母艦(後編)

今回アマンダが指揮することになったのは、仮想強襲コマンド母艦「ギャラクシー・シェナンドー」号。戦艦アイオワに匹敵する66,000トンの排水量を持ち、かろうじて(拡張前の)パナマ運河を通過することができる。外観はバラ積貨物船に見えるが、内部には26…

仮装強襲コマンド母艦(前編)

J・H・コッブのアマンダ・ギャレットシリーズも5作目になった。2005年発表の本書以後、新しい作品はみかけていないのが残念である。4作目「攻撃目標を殲滅せよ」で、好敵手であるインドネシアの大富豪ハーコナンと知りあい、愛し合い、そして戦ったアマ…

圧倒的な1,000ページ(後編)

欧州委員会、各国政府、電力会社などが右往左往して実態もつかめない時、スマートメーターに異常なコードを発見した元ハッカーの中年男ピエーロ・マンツァーノはこの停電がサイバー攻撃によるものだと気づく。しかし政府への反対運動での逮捕歴もあるマンツ…

圧倒的な1,000ページ(前編)

以前「ゼロ」を紹介した、オーストリアの作家マルク・エルスベルグのデビュー作が本書。正面から重要インフラに対してのサイバー攻撃を描いた作品で、1,000ページを長く感じさせない迫力がある。インフラへのサイバー攻撃というと映画「ダイハード4.0」が有…

朝鮮半島、2003(後編)

生き残った北の特殊部隊員チョン・ヒチョル上尉は、南に潜入したかつての恋人リ・ガウンの案内でソウルにたどり着く。この過程で「南の先輩」であるガウンが教え諭すことが面白い。 ・北で一般に言われていること違い、社会主義と資本主義のどちらがいいかは…

朝鮮半島、2003(前編)

本書の作者ファン・セヨンは、韓国気鋭のミステリー作家と解説にある。いわゆる386世代(30代で、80年代に大学に入学、60年代生まれ)である。最近は聞かれないが、本書発表当時2003年には、韓国の「新人類」的な扱われ方をしている。ちなみに386の意味はも…

インテリジェント海賊との闘い(後編)

この種のシリーズで難しいのは、主人公(アマンダ&カニンガム)により大きく困難なミッションを与え続けないといけないという宿命にある。また主人公も昇進するので、立場が変わってしまうのだ。例えば(オリジナルの)「Star Treck」では、カーク艦長はず…

インテリジェント海賊との闘い(前編)

本書は、J・H・コッブのアマンダ・ギャレットシリーズ第四作である。第一作でステルス駆逐艦DDG-79「カニンガム」艦長としてアルゼンチン海空軍を一手に引き受けて戦った彼女は、第二作で揚子江を遡上するという荒業を見せ核戦争の危機を防いだ。この戦闘…

第二次朝鮮戦争、1989(後編)

いかに100万人の陸軍や10万人の特殊部隊を持とうとも、米韓軍も60万人規模であり、海空戦力では比較にならないほど戦力差が大きい。だから北朝鮮軍の南進にはかなりの好条件が整わなくてはならない。作者のラリー・ボンドもよく心得ていて、かの国の指導者に…

第二次朝鮮戦争、1989(前編)

「レッドオクトーバーを追え」「レッドストーム・ライジング」の2作で、トム・クランシーの重要な協力者を務めた元海軍の分析官でゲーマーのラリー・ボンドが、自ら執筆したのが本書である。北大西洋での潜水艦追撃戦から西ヨーロッパでの大規模戦闘にスケ…

戦隊指令、アマンダ・ギャレット

「現代のホーンブロワー」アマンダ・ギャレット、三度目の登場である。アルゼンチン空・海軍を単身引き受けて戦い、中国軍の核攻撃を阻止するため長江を遡上したステルス艦「カニンガム」は、中国軍との戦闘で傷つき兵装強化の改装も含めてドック入りしてい…

中台もし戦わば

21世紀初頭、民主化勢力の蜂起によって内戦が拡大した中国に対して、民主化勢力と呼応した台湾軍が本土に逆上陸するというIFを描いたのがこれ。以前紹介した「ステルス駆逐艦カニガム」の第二作である。前作で単艦でアルゼンチン軍のほとんど全てを相手取る…

「ズムウォルト」の目指した戦い

アメリカ海軍の新鋭駆逐艦ズムウオルト級のネームシップ「ズムウオルト」が、いよいよ就役して3年になるが、相変わらず「初期不良」のせいか母港をはなれられないようだ。排水量16,000トンというのは、1世紀前の基準では「戦艦」にあたる。事実上最初のス…

第二次太平洋戦争(後編)

ハワイを占領し西太平洋全てを手中にした中露同盟に対して、有力な戦闘部隊のほとんどを失った米軍に味方するのはイギリスとオーストラリアなど旧英連邦の国だけになってしまう。ドイツなど欧州大陸諸国は中立を保っているとあるが、朝鮮半島はもとより日本…

第二次太平洋戦争(前編)

ひと昔前だったらこのような小説はSF(Science Fiction)とよばれていただろう。最近Book-offを巡っていても、(もちろん新刊本書店でも)SF小説の凋落は著しく感じられる。理由は簡単で、SFのように思っていたことが、現実になってしまったことがある…

原潜「チャレンジャー」バルト海へ

ジョー・バフの2作目。再びセラミック外装の原子力潜水艦「チャレンジャー」と元SEALSのフラー艦長代理の登場である。作者はMITで数学の修士過程を終え、マンハッタン計画などで有名なアルゴンヌ研究所に勤めた経験もある。そこで得た核関連のノウハウを使…

竹島奪還作戦

このところの文政権を見ていると、ほとんど北朝鮮の属国ではないかと思えることもある。あるメディアは、文大統領を正恩クンのスポークスマンさと揶揄したし、あのトランプ先生までその言動に苦言を呈している。慰安婦・徴用工・旭日旗など、日本政府や国民…

戦術核魚雷の応酬

実験でならともかく、核兵器が実戦で使用されたのは人類史上2回しかない。それも70年も昔のことで、その後核兵器の改良はどのくらい進んでいるのだろうかと思う。核兵器の応酬がどうなるのか、専門家でない僕たちには想像が難しい。映画「博士の異常な愛情…

第三次欧州世界大戦の実相

「レッドオクトーバーを追え」でデビューしたトム・クランシーは、第二作に第三次欧州大戦ともいうべきNATO軍とソ連軍の全面戦争をテーマに選んだ。デビュー作同様、有名なゲーマーであるラリー・ボンドを協作者にしている。デビュー作は北大西洋での潜水艦…

北大西洋、水面下の攻防

ソ連崩壊前夜の北大西洋、最新鋭原子力ミサイル潜水艦「レッド・オクトーバー」が亡命の意図を隠して処女航海に出発する。その日から延べ18日間の米ソ両国の暗闘を描いて、トム・クランシーは衝撃のデビューを果たした。非常に豊富な兵器についての知識、第…