新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

アンソロジー

大戦間の黄金時代を舞台に

1992年発表の本書は、13人の作家が2つの条件を提示されて「アガサ・クリスティに捧げる短編」を書き下ろしたアンソロジー。その条件とは、 ・黄金期たるWWⅠ~WWⅡの時期を舞台 ・少なくとも一つの死体を登場させる殺人物語 であるが、何人かの作家は尻込みし…

高木彬光レギュラーズ

本書は光文社文庫の企画で、高木彬光が創造した5人の名探偵が登場する中短編を、各1作収めたもの。実はもう一人墨野隴人という探偵役がいるのだが、本書には収めてもらえなかったようだ。この探偵については「実は・・・」があるので、また別途ご紹介すること…

日本の21世紀ミステリー

欧米のミステリーは1930年代に一つのピークをつけ、その後バラエティ豊かなものになって、現在は本格的なパズラーは比率を大きく減らした。僕自身も21世紀の欧米作品で一番多く読んでいるのは、軍事スリラーかスパイものである。 しかし(奇跡的に)日本では…

13作家の特別書き下ろし

1991年発表の本書は、セーラ・ケリングものをいくつも紹介したシャーロット・マクラウドが他の12人の作家に声をかけて、クリスマスに関わる短編を書き下ろしてもらいアンソロジーとしたもの。 英米の作家ばかりだが、おおむね自らのホームグラウンドを舞台に…

昭和20年代の「宝石」

本書は「本格の鬼」鮎川哲也の編集による、昭和20年代の「幻の本格作品」を集めたアンソロジー。第二次世界大戦後、日本のミステリー界は空前の本格ブームを迎えた。江戸川乱歩、横溝正史ら戦前からの作家に加え、高木彬光・鮎川哲也らの登場で、一気に花開…

不可能犯罪アンソロジー

子供のころに読んでいたのは、主に創元推理文庫。ハヤカワ・ポケットミステリーより値段が手ごろだったし、ポケミスの2段組みは読みにくかった。それがいつの間にかハヤカワもミステリー文庫を出すようになって、選択肢が増えた僕は喜んだものだ。この文庫…

編集者としてのエラリー・クイーン

中学生だった僕をミステリーの世界に引きずり込んだのは、「Xの悲劇」(バーナビー・ロス名義1932年発表)とそれを貸してくれた中学校の国語の先生である。中学校の図書館で、戦記ものやホームズ、ルパンものばかり読んでいるのを知っておられたのやもしれ…