1991年発表の本書は、フレデリック・フォーサイスの<騙し屋シリーズ>第三作。これまでの2作品で卓越した諜報能力を示したサム・マクレディだが、その能力について「将来も必要だろうか?」と疑問を投げかけられている。聴聞会の弁護役は、ならばと第三の…
2017年発表の本書は、ミシャル・バークビイのホームズ・パスティーシュ第二弾。本書でも、先月紹介した「ベイカー街の女たち*1」同様、ハドソン夫人とメアリー・ワトソンが探偵役を務める。 ハドソン夫人は腸閉塞の激痛で意識を失い、目覚めると病院の一室だ…
1930年発表の本書は、先月デビュー作「レイトン・コートの謎」を紹介した、アントニー・バークリーの<名探偵シェリンガムもの>。シチュエーションの意外性にこだわった作者ゆえ、本書も面白い趣向のミステリーに仕上がっている。 高名な探偵作家ヒルヤード…
2025年発表の本書は、2024年の総選挙にあたり政界引退を表明した、維新の会の足立康史氏の「ぶっちゃけトーク本」。彼は通産省のキャリア官僚だったが、東日本大震災を機に退官。日本維新の会から立候補し、12年間衆議院議員を務めた。主張には面白いところ…
1988年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第15作。折からの大雪でシュルーズベリ修道院の屋根が破損し、修理をしていた修道士ハルインが転落して重体となった。死を覚悟した彼は、治療をしてくれているカドフェルと、修道院長に1…
1987年発表の本書は、アリバイ崩しの大家津村秀介の<浦上伸介シリーズ>。比較的初期の作品で、まだ後年の<伸介&美保>のコンビになっていない。<週刊広場>記者の伸介(このころまだ20歳代)が<毎朝日報>の先輩谷田実憲とひたすら呑みながら真犯人を…
2025年発表の本書は、社会批評の著述家物江潤氏の「有権者自立論」。2024年の兵庫県知事選挙で、失職した斎藤前知事が下馬評を覆して再選を果たした。SNSが猛威を振るった選挙を見て、筆者は民主主義の危うさを感じた。 兵庫県知事選挙では、パワハラ等で旧…
2001年発表の本書は、同年封切られた映画「Enemy at the Gate」の脚本のノベライゼーション。監督したジャン=ジャック・アノーがアラン・ゴダールと共に脚本も書いた。言わずと知れたWWⅡの天王山となった激戦地で、独裁者の名を冠した街をヒトラーは是非に…
本書は、デンマーク在住のフード&トラベル・ジャーナリスト、マイケル・ブースが、妻のリスン(デンマーク人)と長男アスガー(6歳)、次男エミル(4歳)を伴って来日、3ヵ月の日本滞在で得た経験をまとめたもの。後にNHKのアニメ「英国一家日本を食べる…
2017年発表の本書は、以前「本当の潜水艦の戦い方*1」や架空戦記などを紹介した元海自潜水艦長中村秀樹氏の自衛隊総括。筆者は生粋の潜水艦乗りで、短い艦長時代に米軍の潜水艦との戦闘演習で、18勝1敗1分の成績を残したという。自分だけでなく日本の自衛…
2014年発表の本書は、以前同名の書(*1)を紹介した、元国交省河川局長竹村公太郎氏の歴史探訪。前著の続編にあたり、文明や文化の視点でまとめられたものだ。歴史の定説について、「地形」と「気象」に着目して異説を唱えるお話しが18章詰まっている。 欧米…
1996年発表の本書は、コリン・デクスターの<モース主任警部もの>。英国でTVでシリーズ放映されたことによって、モース主任警部は英国一有名な探偵となっている。叩き上げで独身、警視への昇進もあるかどうかわからないが、事件を見る目は確か。ただ、部下…
本書は、以前「ロウフィールド館の惨劇」や「殺す人形」を紹介した、英国の心理サスペンス作家ルース・レンデルの1979年の作品。作者には本格ミステリーのウェクスフォード警部シリーズがあるが、総じてノンシリーズの皮肉なサスペンスものに定評がある。 今…
本書は元財務省官僚で、西日本シティ銀行会長の久保田勇夫氏の官僚育成論。2002年に発表されたものだが、その後リクエストが増えたようで少々加筆して2018年に再版されている。 筆者の財務省での経験(新人時代の文書配布、課長補佐時代の各省との交渉、財務…
2000年発表の本書は、何冊か技術的な戦史を紹介している日大三野正洋講師の「改善・改良・改革のススメ」。筆者の主張は「変化のないところに進歩はなく、改善・改良・改革なくしては何者も生き延びられない」である。組織の中で、 ・批評厳禁 ・自由奔放 ・…
本書は、以前「ジーヴズの事件簿」2冊を紹介したP・G・ウッドハウスの短編集。1915~37年発表の短編13編を収めたもので、舞台は同じ<ドローンズ・クラブ>だが、間抜けな青年貴族バートラム・ウースターとその才気煥発な執事ジーヴズは登場しない。しかし、…
1994年発表の本書は、女優から脚本家に転じ本書でミステリーデビューを果たしたリンダ・ラ・プラントの作品。なんとも言いようのない、悲惨なハードボイルドだ。 ロレイン・ペイジは、ロス市警に勤務する美貌の女警部補。欠点は飲酒で、酔っていて14歳の少年を…
本書は何度か紹介している、20,000体の検視をしたという伝説の検視医上野正彦先生の「死因についての考察書」。2008年までの目立った事件から、漫画・映画などのシーンについてもコメントしている。「死体は語る」が著者のデビュー作だが、本書によれば「語…
1968年発表の本書は、以前「シュロック・ホームズの冒険」を紹介したロバート・L・フィッシュのシリーズ作品「殺人同盟」の第一作。主人公はかつては売れっ子だったがこのところ何も書けず、自分たちが創設したミステリ作家クラブの特等席を占めるだけになって…
朝日新聞取材班は大阪・関西万博の推移を取材し、開催前の2025年2月に本書を発表した。まだ始まってもいない時点でも、ある程度結果は見えていたようで、「二度目の万博」は大阪維新の会から始まる改革ムーブメントを終焉させたとの主張である。 始まりは「…
1988年発表の本書は、海軍兵学校出身のスポーツマン作家デイヴィッド・ポイヤーのアクション小説。10冊余の作品があるようだが、読むのは初めて。ペンシルヴァニア州ヘムロックの山岳地帯、冬はハンティングの季節だ。雪山の自然は過酷だが、やってくるハン…
本書は、冒険小説の雄ジャック・ヒギンズが、以前紹介した「審判の日」と同じ2000年に発表したもの。「審判の日」同様、英国首相の私的軍隊ファーガスン少将(准将から昇進)、ショーン・ディロン、バーンスタイン警視のトリオと、米国大統領直属のブレイク…
喜多喜久という人の本を読むのは、このシリーズが初めてである。本書はキューリーという名前のフランス人の祖父を持つクオーターの化学者、沖野准教授が主人公の学園連作ミステリーである。長身痩躯、うっすらと不精髭をはやしたオタク的な人物だが、学会で…
2024年発表の本書は、日本保守党百田尚樹氏の「日本社会の歪み論」。今年初めのNHK日曜討論で「男女共同参画3兆円、子ども家庭庁7兆円の予算はムダ」と切り捨て、女性司会者を呆然とさせた作者だが、その主張の原点は本書に顕れていると感じる。 作者はニ…
1987年発表の本書は、「暗黒小説界の魔犬」と自称するジェイムズ・エルロイの社会派ミステリー。以後「ビッグ・ノーウェア」「LAコンフィデンシャル」「ホワイトジャズ」と続くLA四部作の第一作にである。作者は10歳代で両親を亡くし、酒や麻薬に溺れ何度も…
1991年発表の本書は、フレデリック・フォーサイスの<騙し屋マクレディもの>第二作。冷戦が終わり秘密情報部(SIS)の整理にあたり、スケープゴートにされそうなサム・マクレディは、前作「騙し屋」でソ連軍の戦闘序列マニュアルを取得したことを成果として…
2022年発表の本書は、先週紹介した「戦闘国家」で小泉准教授と対談した日大危機管理学部小谷賢教授の「戦後日本のインテリジェンス史」。日本のインテリジェンス力が低いというのは通説だが、筆者は本書で、 1)戦後日本はなぜインテリジェンス・コミュニテ…
1987年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第14作。スティーブン王は女帝モードを包囲しているが、女帝側の軍勢もフランスから舞い戻ってきている。シュルーズベリ周辺は平穏なのだが、近くの荘園主ルーデルが死んだ。彼はリンカ…
2003年発表の本書は、日本中世史が専門の谷口研語氏の、地形と合戦名の研究。原、川、山、島、峠、畷などの地名が付いた合戦や軍事行動を、平安時代から幕末まで70ほども集め、どのような戦いが行われたかを「地の利」を中心に解説している。 「関ケ原」に代…
2020年発表の本書は、元対戦車ヘリのパイロットであるドン・ベントレーのデビュー作。シリアのアサド政権下で起きる化学兵器開発阻止のため、元レインジャー大隊員でいまは国防情報局(DIA)員であるマット・ドレイクが満身創痍の闘いをする。そのリアルな活…