新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

コンパクト五輪という嘘と国家の負担

 今週、パリ五輪が幕を開ける。前回の夏の東京大会が1年遅れだったこともあって「もう来たのか」との印象がある。その東京五輪だが、途方もない金満集団IOCによって「アスリートそっちのけの商業イベント」になってしまったとする書(*1)も紹介している。

 

 2021年発表の本書は、より具体的に東京五輪の問題点をあぶりだしたもの。著者の本間龍氏は博報堂出身の著述家。広告が政治や社会に与える影響、メディアとの癒着などを告発し続けている、著書に「原発広告と地方紙」などがある。

 

 2013年に招致が決まった時点で、著者はかすかに期待することもあったが、アテネやリオの大会が国家に大きな負債をもたらしたことを考え、大きな不安を持ったとある。

 

        

 

 当初は、7,400億円でできるコンパクト五輪とされていたが、結局、

 

組織委員会の経費 1兆6,440億円

・国による追加の税金投入 1兆600億円

・東京都の関連経費 8,000億円

 

 と、3.5兆円ほどの費用がかかってしまう。開催の意義として2点挙げられていたが、経済的意義も精神的意義も観光客の受け入れを断念し、無観客としたことで無くなっていた。にもかかわらず計画は進み、懸念された酷暑対策やボランティアの搾取などは改善されなかった。そんな大会を止める機会は3回あったと筆者は言う。

 

・2016年、費用がかかりすぎることが分かり、税金投入やむなしとなった時

・2020年、「COVID-19」禍で1年延期を決めた時

・開催直前の3月、海外からの観光客受け入れを断念した時

 

 しかし、いずれも企業スポンサーとそれを束ねている広告代理店(*2)やJOC/IOCの商業的意図で、中止の議論は封殺された。

 

 済んでしまったことは仕方ないとして、パリ五輪はどうなるのでしょうか?そしてその次は・・・いつまでやるんですかね?

 

*1:巨大利権を持つNPO - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)

*2:電通がすべてを仕切っていたとあるが、博報堂出身の筆者の主張はやや割り引く必要があるだろう