2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧
本書で2002年に文壇デビューしたジム・ケリーは、いくつかの新聞社を渡り歩いた記者。1987年にはその年の最優秀経済記者にも選ばれているが、1995年にノンフィイクション作家の妻と共にロンドンを離れ、本書の舞台ともなっているケンブリッジ州の小さな町イ…
本書は松村劭元陸将補の「戦争学シリーズ」の第三作、2,600年間の軍事史や20世紀の軍事革命を綴った前2作に続き、戦争学の理論を名将の言葉を借りて紹介したもの。野党や一部メディアは日本の軍事費について「削減して福祉等に廻せ」と言うが、 ・軍事費ほ…
1984年発表の本書は、英国推理作家協会(CWA)賞新人賞受賞作。作者のエリザベス・アイアンサイドは英国生まれで、欧州各地やインドを巡り歩いたと解説にある。今や人口で中国を抜く大国インドだが、その国土の広さも半端ではない。作者がインドで暮らした3…
前の文政権が検察力を弱めようとして警察に肩入れし、今の尹政権が検察復権を目指して警察をスポイルした。その結果、梨泰院の事件がより多くの犠牲者を出したという。死者のほとんどは若者、特に女性が多かった。 2020年発表の本書は、在日三世のライター安…
先々月「ワインの便利手帳」、先月「イタリアの食卓・おいしい食材」を紹介した。僕ら夫婦も、ただワインをガブガブ呑んでいる時代は終わり、本当の美味しさを味わう(人生の)時期に来ている。だから勉強を始めているのだが、ワインの選び方・味わい方を知…
昨日佐々木知子著「日本の司法文化」を紹介して、検挙率95%、無罪率0.1%という日本の犯罪捜査や裁判の状況をご紹介した。ゴーン被告人の肩を持つつもりはさらさらないが、これほど「超精密」な司法文化では法廷弁護士の役割は目立たない。そこで検察から見…
あえて題名は言わないが、TVの検察ものドラマを見ていて「ちょっと外れすぎ」だと思った。確かに「型破りな検事が・・・」と宣伝されているが、いくらなんでも日本の検察官には見えない。そこで10余年前に読んだ本だが、本書(2000年出版)を本棚から出してきて…
「COVID-19」禍の2020年末発表の本書は、笹川平和財団上席研究員渡部恒雄氏の「トランプ以後」の国際情勢論。サイバーセキュリティや経済安全保障の観点から、国際情勢のお話を一度伺いたいと思っていて、その予習のために買ってきたものだ。筆者は米国の戦…
1972年発表の本書は、デビュー作「やとわれた男」や悪党パーカーシリーズを紹介しているドナルド・E・ウェストレイクの、パーカーものとは違うシリーズの1作。これも犯罪者が主人公で、カネの話が中心になるのだが、パーカーものよりはすこしユーモラス。あと…
斎藤栄は東大将棋部出身のミステリー作家、以前「殺人の棋譜」「Nの悲劇」「奥の細道殺人事件」を紹介している。デビュー作「殺人の棋譜」では将棋タイトル戦の影で進む誘拐事件の捜査を描き、江戸川乱歩賞の候補になった。その勢いを駆って発表(1967年)…
2005年発表の本書は、米国における「トンデモ訴訟」を集めたもの。米国は訴訟社会で、和解金などを含まない純粋な訴訟費用だけで、GDPの2%に達するという。1992年、79歳のステラさんはマクドナルドの熱いコーヒーを膝にこぼしてやけどをした。本人の過失が…
2018年発表の本書は、プロ棋士王九段がAI囲碁について、開発に携わったこともある棋士の立場で、その本質を記したもの。台湾出身の筆者は13歳から日本で暮らし、剛腕の異名をとったこともあると記憶している。 自身の棋風を「ゾーンプレス型」、局地の戦いに…
2020年4月に出版された本書は、「COVID-19」のパンデミックを予言した小説。作者のローレンス・ライトは<ニューヨーカー誌>のスタッフライター。ジャーナリストとして、ノンフィクションや脚本を手掛けたが、1998年の映画「マーシャル・ロー」の脚本を書…
2021年発表の本書は、インターネットの過去・現在・未来を「インターネットの父」村井教授と天才プログラマーと呼ばれた実業家竹中直純氏が対談したもの。 1969年に、米国の3大学の研究所をパケット通信網で結んだのが"APANET"。これがインターネットの最初…
先月、日本の自衛隊の問題点について、どうすればいいのかの提言をまとめた「令和の国防」まで3冊の書を紹介した。 闘えるようにするには - 新城彰の本棚 (hateblo.jp) 2014年発表の本書は、小説の形を借りて「闘えない自衛隊」の問題点と、その解決策を示…
昨年までに、第五長編「毒を喰らわば」までを紹介してきたドロシー・L・セイヤーズの「ピーター・ウィムジー卿もの」。作者はクリケットが得意な青年貴族ピーター卿の登場するミステリーを、長編11、短編21発表している。本書には、5冊ある短編集の中から創元…
1940年発表の本書は、以前「幽霊の2/3」や「家蠅とカナリア」を紹介したヘレン・マクロイの「心理探偵ベイジル・ウィリングもの」の1冊。作者は15作のウィリング博士を主人公としたミステリーを書いているが、翻訳出版された順番が発表順と異なり、すべてが…
本書の著者中村仁一氏は、特別養護老人ホームの「配置医師」である。この見慣れない肩書は、行政用語で老人ホームに常勤する医師の事らしい。筆者は本書執筆の時点(2011年)で、すでに12年も社会福祉法人「同和園」でこの職にある。医師の世界には本来ラン…
普段、本屋と言えばBOOKOFFしか行かない僕だが、この日丸の内オアゾの書店にふらりと入った。雑誌コーナーを見ると、懐かしい軍事史もの(歴史群像)が健在だった。その隣にあったのがこれ。発行社は(株)ジャパン・ミリタリー・レビュー、発刊1966年。50年…
1956年発表の本書は、女王アガサ・クリスティの「ポワロもの」。学生時代に多くの本格ミステリーを読んだ僕だが、ヴアン・ダイン、クイーンはもちろんカー、クロフツなどの著作は手に入るものはみんな読んだものの、クリスティの特にポワロものには未読が多…
本書はいくつも紹介した、深谷忠記の「壮&美緒シリーズ」の中期(1992年発表)の作品。後にようやく壮が36歳の准教授の時に二人は結婚するのだが、この時点ではまだ29歳。婚約した二人は、初めて壮の実家を訪れる。場所は山口県の萩市、言わずと知れた長州…
本書は、エラリー・クイーン後期の中短篇集。1954~65年の発表作品5編を収録している。3編が短めの中編、2編がショートショートだ。原題の"Queens Full"は、クイーンが一杯と、クイーンが3枚のフルハウスを掛けている。 中編のうちの2つは、作者が中期…
これまで「11枚のトランプ」「亜愛一郎の狼狽」などを紹介している泡坂妻夫の、時代小説が本書。「亜智一郎の恐慌」は幕末ものの短編集だったが、本書は安政時代の江戸を舞台にした長編冒険小説だ。 徳川御三家筆頭尾張62万石、その下屋敷が江戸の西北、今で…
2020年発表の本書を、今月来日したMicrosoftの友人から貰った。同社はOSというソフトウエアでPC業界を席巻しながら、スマホではAppleに敗れた。また米国政府と独禁法で争い、法律や常識の異なる各国との軋轢も経験した企業だ。今も世界を支配しようとする凶…
米中衝突の可能性が高まる中、2021年に出版された軍事スリラーが本書。作者は海兵隊特殊部隊出身の作家エリオット・アッカーマンと現役時代「最も優れた戦略家」と讃えられたジェイムズ・スタヴリディス提督。恐らくスタヴリディス提督が構想と監修を担当し…
以前、戦後ミステリーの大家のひとり高木彬光のデビュー作「刺青殺人事件」を紹介した。作者は戦前からのミステリーマニア、恐らく原語でヴァン・ダインやクイーン、クリスティらの諸作品を読んでいたのだろう。冶金工学の技術者で中島飛行機に勤めていたの…
2017年発表の本書は、一橋大学名誉教授で経済学者の関満博氏の現代中小企業論。日本企業のうち14.7%が中堅企業、85%が零細含む中小企業であって、それらの企業について改めて勉強するために買ってきたもの。 著者は「45年ほど地域経済と中小企業を見てきた…
これまで夏樹静子「裁判百年史ものがたり」などで、死刑の実態を見てきたが、その中でも一度に12人を処刑したという<大逆事件>について、もっと詳しく知りたいと思って買ってきたのが本書。直木賞(復讐するは我にあり)作家の佐木隆三が、膨大な当時の記…
本書(1975年発表)は、「87分署もの」などで知られるエド・マクベインの「ノン・シリーズ」の1作。先月西海岸を舞台にした「ホープ弁護士もの」の「金髪女」を紹介しているが、本書はアイソラではない架空都市での引退警官の活躍を描いたものだ。都市は多…
ロバート・B・パーカーの「スペンサーシリーズ」も本棚に残っているのは本書(2009年発表)を含めて2冊だけ。作者は2010年に急逝し、40冊のスペンサーものが遺された。この後には2冊しか発表されておらず、そのうちの1冊「盗まれた貴婦人」は僕が手に入れる…