2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧
本書は「本格の鬼」鮎川哲也の編集による、昭和20年代の「幻の本格作品」を集めたアンソロジー。第二次世界大戦後、日本のミステリー界は空前の本格ブームを迎えた。江戸川乱歩、横溝正史ら戦前からの作家に加え、高木彬光・鮎川哲也らの登場で、一気に花開…
正直まったく評価できない、韓国文政権の5年間が終わった。前の朴政権の最後がひどかった(支持率5%)から、当初80%という高支持率を得て始まったのだが、その後は失政続き。今回の大統領選挙では、激戦の末保守系野党「国民の力」の尹候補が、進歩派の…
昨日紹介した明石元次郎大佐(日露戦争当時)が「日本情報戦力の父」なら、本書の秋山好古少将(同)は「日本騎兵の父」と呼べるだろう。伊予松山藩の士族の出身で、弟の真之(東郷艦隊の参謀)が海のヒーローなら兄は陸のヒーローだった。 小柄で愛嬌のある…
昨日5/27は「帝国海軍記念日」、1905年のこの日東郷艦隊が対馬沖でバルチック艦隊を撃破、ロシアの海軍力を壊滅させて日本海の制海権を握った日だった。海上では優位を得たとはいえ、陸上ではロシア軍は決して敗軍ではなかった。 奉天会戦は事実上の引き分け…
光人社NF文庫の兵器入門シリーズ、今月は「戦艦」である。1940年代に海の主役を「空母機動部隊」に譲ってからも、海軍マニアに夢を抱かせる艦種といっていい。架空戦記作家横山信義は、多くの作品で「空母機動部隊が潰し合った後の戦艦同士の決戦」を描いて…
1945年発表の本書は、アガサ・クリスティーの時代推理小説。作者の二番目の夫マーロワンは考古学者で、作者もエジプトなどにはよく出かけていた。名作「オリエント急行の殺人」も、ポワロがエジプトから帰る列車内での事件。「メソポタミヤの殺人」など中近…
本書は、菅内閣で政府の成長戦略会議委員を務め、 ・中小企業は小さいがゆえに問題を引き起こし、低生産性を招いている。 ・合併などで大きくなれない企業は、消えてもらうしかない。 ・特に実質税率ゼロの小規模事業者は、減らすべし。 と発言して物議を醸…
一昨日外交官の認識(1993)、昨日ジャーナリストらの目(2004)で日本がどう見られていたかを教えてくれる書を紹介した。本書は2021年時点での「日本人ジョーク集」、すでに3冊出版されているシリーズの「令和編」だ。著者の早坂隆氏はノンフィクション作…
昨日「日本外交現場からの証言」で、1993年までの日本外交状況を現役官僚が記した書を紹介した。これが公式なものとすれば、2004年発表の本書は日本外交についての「10年後の民間からの評価」とも言えるだろう。主要な7ヵ国について各々の専門家(ジャーナ…
本書の発表は1993年、ほぼ30年前の書である。現役外務省官僚(駐ウズベキスタン大使)だった孫崎享氏が、日本外交の過去・現状・課題を述べたもの。ソ連崩壊・冷戦終了で、米国が「敵は日本の経済力」と思っていた時代。日本も先ごろ亡くなった石原慎太郎氏…
著者の紅山雪夫氏の紀行本は、何冊も持っている。日本旅行作家協会理事を務めた人で、特に欧州への旅行の助け(期待を膨らませることも含めて)となる著書が多い。本書の内容は、1991年に<トラベルジャーナル誌>に掲載されたものを再構成して文庫化されて…
「Brexit」やトランプ現象などを受けて、世界が変わりつつあると警告する書は多く紹介した。2018年発表の本書もその一つだが、特徴はこのお三方が鼎談していること。まえがきにジャーナリスト田原総一朗氏が「空気を読まない榊原英資元財務官、竹中平蔵元経…
アルファベット順にタイトルを付けるスー・グラフトンの「キンジー・ミルホーンもの」。これまで「証拠のE」までを紹介してきて、本書(1989年発表)が第六作。32歳のバツ2女キンジーは、生まれ故郷のサンタ・テレサで私立探偵をしている。身寄りのない彼…
1962年発表の本書は、「名探偵トビー&ジョージ」シリーズでおなじみのエリザベス・フェラーズの中期の作品。レギュラー探偵は登場せず、アフリカ帰りの34歳の土木技師ロビンが探偵役を務める。ロビンは海外で長く働いてきたが、久し振りにロンドンに戻り新…
僕は湾岸戦争のころから政治討論番組を見るようになったが、「朝まで生TV」と並んで必ず見ていたのが「サンデープロジェクト」。いずれも田原総一朗氏の司会になるものだが、「サンプロ」のコメンテータに本書の著者高坂正堯教授がいた。関西弁でトボけた語…
本書の著者竹村公太郎氏には、ある団体の役員をしていた時に知り合い、いろいろ教えていただいた。国交省の技術官僚(土木工学)で、河川局長まで務めた人。現行ダムの2倍の嵩上げ(貯水量は10倍以上になる)が持論だった。 政策勉強会などでご一緒し、新し…
1990年発表の本書は、エド・マクベイン「87分署シリーズ」の第42作目。1950年代、まだ米国が元気だったころから始まったこのシリーズも、徐々に都会の退廃の色が濃くなってきた。ニューヨークをモデルにしたらしい架空都市アイソラでは、移民の地区が点在し…
意外なことだが、一橋大学野口悠紀雄名誉教授の著作を紹介するのは初めてらしい。Web上の記事(現代ビジネス等)をしょっちゅう拝見しているので、著作も呼んだつもりになっていたらしい。本書は2021年末に発表されたもの。もうBook-offの110円コーナーに並…
本書(2004年発表)は、以前「憲法が危ない!」を紹介した鈴木邦男氏が、新右翼・合法右翼の組織である<一水会>の代表として公安警察とは永い付き合いでの経験から書いたもの。本人は1999年に代表を退き引退したつもりだったが、相変わらずマークされてい…
1ヵ月前、新疆ウイグル自治区での中国政府の残虐行為を告発した「ジェノサイド国家中国の真実」を紹介した。その3人の著者のうちの一人でモンゴル出身の楊海英静岡大学教授が、故郷内モンゴル自治区での中国政府の所業を書いたのが本書(2018年発表)であ…
以前大家司馬遼太郎の「新選組血風録」を紹介したが、そこでは全15編の脇役だった土方歳三が、本書では全編を貫く主人公である。京都の街で血なまぐさい風を吹かせる以前の三多摩での田舎道場の時代に始まり、甲府・下総・会津から箱館に転戦して戦死するま…
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が好調だという。何十年も大河ドラマを見ていない僕が見るくらい、三谷脚本の面白さは抜群だ。鎌倉幕府創設の舞台裏で、どんなことが起きていたか気づかされることも多い。 ただ歴史というのは、一辺を切り取っても十分な理解…
2019年発表の本書は、2017年に起きた「蓮舫二重国籍問題」を受けて、弁護士・法学者・ジャーナリストらで結成された<国籍問題研究会>のレポート。日本は二重国籍を公式には認めていない国だが、少なくとも90万人の重国籍者がいる。特に「一つの中国」原則…
昨日デイル・ブラウンの「幻影のエアフォース(2002年)」を紹介したが、その中にパイロットの脳が直接操縦する戦略爆撃機やMig戦闘機の話があった。本書はそれより20年早く1980年に出版された、類似アイデアに基づくもの。作者のスティーヴン・L・トンプスン…
本書は以前「ロシアの核」や「空爆指令」を紹介した、航空冒険小説作家デイル・ブラウンの2002年の作品。作者のレギュラーであるマクナラハン将軍ものとは別の「ドリ-ムランド」シリーズの第二作にあたる。 「ドリームランド」は、ネヴァダ砂漠の中に位置す…
1956年発表の本書は、フランス作家ノエル・カレフの代表作。作者は同年に「その子を殺すな」でデビュー、パリ警視庁賞を受賞している。本書は翌年にはルイ・マル監督で映画化もされ、今となっては映画の方が有名かもしれない。さらに1958年には、創元社が邦…
以前E・R・バローズの「火星のプリンセス」を、スペースオペラの始まりと紹介した。南軍の兵士カーターが火星に降り立ち、知恵と勇気で火星人と戦い、美女と結ばれ大元帥になるという物語だった。その後SF界では、ヒューマノイド型ではない宇宙人が登場する「…
日本のミステリーでも、法廷ものと言えそうな作品もいくつかある。米国では陪審員制度があって、悪徳弁護士(ペリー・メイスンのことじゃないよ)が詐術で素人の陪審員から無罪評決を出させるシーンも絵になる。しかし日本ではプロの裁判官が判決を下すので…
これまで何冊か「憲法改正」についての本を読み、緊急事態条項がないと困るという話を理解した。しかし発展途上国のクーデターなど見ていると「軍が議会を制圧、憲法を停止して夜間外出禁止令を布告」などということもある。緊急事態になったら日本だって「…
ボストンの私立探偵「スペンサーもの」で知られる作家ロバート・B・パーカー、スペンサーもの以外でも先日紹介したノンフィクション風の「ダブルプレー」のような単発ものをいくつか発表している。 https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/2020/07/09/000000 こ…